ヒロインみーんな彼氏持ち!?なラブコメ〜〜〜俺を助けたセクシーギャルも、俺と結婚を誓った美少女幼馴染も、俺の下駄箱に手紙をいれた童顔ツインテール女子も、もれなくみんな彼氏がいる……
第11話 シスコンじゃない。妹が可愛すぎるだけだ
第11話 シスコンじゃない。妹が可愛すぎるだけだ
北の大地に輝く我が愛咲大学高等学校は、主に3つのクラスに分けられている。
まずは普通進学クラス。指定校推薦やAO入試なども活用しつつ、有名私立大学を目指すコースだ。まあ、半数近くの生徒は付属の愛咲大学に進学するんだけどね。部活にも力を入れていて、野球部エースの岩村くんもここに所属している。
次に卓進クラス。一応難関国公立への合格を謳うが、結局ほとんどの生徒が地元の中堅国公立に落ち着くという、非常に自称進学校らしいコースだ。佐倉&風戸カップルと双葉、そして俺が所属している。
最後にスーパーSクラス。総勢10人、我が校の精鋭が集うコースだ。H大学を中心に、難関国公立にも毎年合格者を輩出しており、愛崎高校の合格実績はすべて彼らが背負っているといっても過言ではない。
都久志さんと彼方くんが所属しているのだが、特に文系トップの彼方くんは先生方からかなり期待されているらしい。双葉が『光琉、デート中も隙あらば単語帳見ていて萎えるんだよねぇ』と愚痴っていた。お前も少しは勉強しろ。
「士郎、それまじ!?」
佐倉日向の声が教室に響き渡る。
相変わらずセーラーの丈は短く、立ち上がった拍子におへそが見えかけていた。
「まじもまじよ! すごいっしょ?」
士郎、と呼ばれた男も同じ音量で返す。
陽キャってほんと声でかいよな。友だちとお喋りしてるだけで、クラスの中心みたいな雰囲気が出るもん。まさに強者だ。弱者たる陰キャは指をくわえて見ていることしかできない。
「いやあ、まさか中田に彼女ができるとはな」
風戸遥輝の発言により、苗字と名前のパーツが揃った。どうやら
「しかも聞いて驚けよ。相手は大学生だ!!!」
「うわっ、まじかよおい。どこで会ったん?」
「それは……内緒で頼む」
「え~教えてよ。うちらの仲じゃん」
「すまんな日向。これだけは言えないんだ」
「え~、けち~」
人に言えない出会い……ナンパでもしたのか。この辺りでも街の方だと、夜はけっこう女子大生が遊んでるって聞くもんな。まあ、俺には一生縁が無いだろうけど。
「それよりさ。おすすめのデートスポットとか教えてくれよ。カップルの先輩としてさ」
「おい中田、あんまり調子乗んなよ。……知らんけど、デートなら水族館とかじゃね?」
「それいい! 昨日もめっちゃ楽しかったもん。ねっ、海堂」
何の脈絡もなく、佐倉は3mほど離れたところに座る俺を、突然会話にねじ込んだ。
「う、うん……そうだね……」
「なにー? きこえなーい」
格の違いを示すかのように、佐倉は俺の10倍の声量で話す。
だめだ、俺が戦える相手じゃない。
「お前ら、海堂と水族館行ったん?」
「うん。つぐとか心優も来てたよ」
「へぇ、それはいいな……あっ。でも彼女も昨日、水族館行ったって言ってたわ」
「あ~、じゃあ別の場所の方がいいかもね。観覧車とかは? ビルの屋上にあるやつ」
「ありよりのあり!」
既に俺の存在は忘れられ、爆速で会話が展開されている。やはり陰キャについていける世界ではないようだ。
そういえば佐倉と風戸って、教室だとあんまり2人だけでいることないよな。友だち交えて話してることが多い気がする。やっぱり人前だと照れくさいから、学校終わってからベタベタしたりするのかな……妬ましい。
「ねえ、遥輝。今日の放課後、時間ある?」
「すまん。士郎たちとカラオケの約束してて」
「めっちゃ歌うっしょ」
「日向も来るか?」
「あぁ……ううん。うちは遠慮しとく」
「おけ。わかった」
……放課後はいつも一緒ってわけでもないのか。まあ恋愛も大事だけど、友情も同じくらい大事だもんな。どっちを取るべきか、究極の二択である。
ま、俺は恋愛も友情も知らないから無問題だね。やっぱり陰キャが一番偉い。
「お~はよっ」
「いっっって!!!」
「あっ、ごめん。強く叩きすぎた。てへっ」
「てへっ、じゃねーよ。いてーよ。挨拶で許されるレベルじゃねーよ」
「ははは〜、清忠は朝から元気だね〜」
……それはこっちのセリフだ。まだ背中がジンジン痛む。そんなに元気が有り余ってるのに、いつも登校がギリギリなのはなんなんだよ。
「ところで妹ちゃん。タオル喜んでくれた?」
「それはもう!!! かわいい~ってはしゃいでたし〜、めっちゃ嬉しそうだったし〜、おにいちゃんだいすきって言ってくれちゃったり〜えへへ。ほんっと、頑張って買った甲斐が──なんだよ、そのジトーッとした目は」
「いやー、ニヤニヤしてて気持ち悪いなーって。シスコンなの?」
「違うわい」
ただ清蘭が宇宙1可愛いだけだ。
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