ヒロインみーんな彼氏持ち!?なラブコメ〜〜〜俺を助けたセクシーギャルも、俺と結婚を誓った美少女幼馴染も、俺の下駄箱に手紙をいれた童顔ツインテール女子も、もれなくみんな彼氏がいる……
第6話 5歳の妹にも彼氏はい──えっ? いや。嘘だろ……? お兄ちゃんは絶対認めませんからね!!!
第6話 5歳の妹にも彼氏はい──えっ? いや。嘘だろ……? お兄ちゃんは絶対認めませんからね!!!
「まふちゃん、まじ天使……」
家に帰った俺は、明日に備え、部屋で水族館の公式PVを見ていた。
いま俺が夢中になっているのがまふちゃん。クリッとした瞳がチャームポイントのゴマフアザラシだ。水面からヒョコっと顔を出すのがか~い~んだ、これが。汚れ切った俺の心が洗われる。明日が少しだけ楽しみになってきた。
「おにーちゃーん。はいっていい?」
愛しの妹、清蘭の声。もちろんお兄ちゃんはいつでも大歓迎である。
「どうぞー」
「おじゃましまーす」
かちゃりとドアを開ける清蘭。お気に入りの、マジカルフロッピーの光るパジャマを着ている。カエルが美少女に変身して世界を守るアニメで、お子様に大人気らしいんだけど……なぜカエルヒロインが支持されるのか。園児のツボはよくわからんな。でもマジフロパジャマの清蘭は宇宙一可愛い。
「おにーちゃん、あしたおさかなさんみにいくんでしょ?」
「あれ、何で知ってるの?」
「おかーさんいってた」
そういやさっき、明日水族館行くって話したわ。俺に友だちができたことに感動され、お小遣いまでくれたので、非常に申し訳ない気持ちになった。
「せーら、おにーちゃんにおねがいがあるんだけど……」
「いいとも、何でも言ってごらん」
「あのねあのね。せーら、マジカルフロッピーとまふちゃんのタオルがほしいの」
「それが、水族館に売ってるの?」
「うん! まふちゃん、きのうのマジカルフロッピーにもでてたんだよ」
まふちゃんってそんな全国区だったのか。知らなかった。なんか遠くへ行ってしまったみたいで寂しい。
「わかった。任せとけ」
「わーい。おにーちゃんありがとー」
可愛い妹のためなら当然のこと。そう、たとえ周りが悪女だらけだろうと、俺には清蘭という心のオアシスがいるのだ。
兄バカだと思うなかれ。清蘭だって去年、『あたち、おおきくなったらおにーちゃんとけっこんする!』と言ってくれたのだ。彼女なんかいなくてもなーんにも困らない。ここ最近はお兄ちゃんべったりでもなくて少し、いやかなり悲しいけど。
「そういえばおにいちゃん。あしたのおようふくきまってる?」
「服? まだだけど」
「せーらがえらぶのてつだってあげる」
「大丈夫だよ。自分で選べるから」
すると、どこで覚えてきたのか、清蘭はやれやれと首を振りながら言った。
「あのね、おにーちゃん。おともだちとあそびにいくときは、いつものぱじゃまみたいなおようふくじゃだめなんだよ」
「パ、パジャマ……?」
「おにーちゃんかっこいいんだから、おようふくもちゃんとかっこよくしないと。せーらもたっくんとあそぶとき、ぱじゃまみたいなおようふくだったらかなしくなっちゃうもん」
「……はい」
お兄ちゃんをかっこいいと言ってくれる妹が、俺は大好きだ。そっかぁ、何着てもいいわけじゃないんだぁ。6歳児に教えられちゃったな……ん?
「清蘭。たっくんって誰?」
「かれしだよ」
――は? そんな……うそ、だろ?
「せせせせ、清蘭」
「おにーちゃんどうしたの」
「そこに座りなさい」
「え、なんで?」
「いいから!」
俺は座布団を2つ用意し、清蘭と向かい合う。
「誰ですか。彼氏って」
「たっくんだよ。きょうね、せーらのことすきっていってくれたんだー。すっごくやさしいんだよ」
「……清蘭」
「なーに?」
「彼氏なんてお兄ちゃん許しません!!!」
交際なんてぜっっっっったいに認められない。認めていいはずがない。
だって清蘭はまだ5歳だぞ? たっくんだかぱっくんだか知らないが、本当に清蘭を想うならせめて二十歳を超えて告白するのが筋ではないだろうか。悪い虫は早めに排除しないと。
「はぁ」
清蘭はため息を付き、またもやれやれと首を振った。
「あのね、おにーちゃん。せーらもいつまでもこどもじゃないんだよ」
「ぬっ」
「おにーちゃんこそ、すきなひといたらがんばらないと。おにーちゃんかっこいいんだから」
またも6歳に説教されてしまった。俺の方が10年以上長く生きてるんだけどなぁ。
でもこういう時でも、ナチュラルにかっこいいと言ってくれる妹が、やっぱり俺は大大大好きなのだ。
明日の服選び、後で手伝ってもらお。
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