手、出して。わたしたち、一緒に。……はい
「わたし、あなたの前ではふざけてるように、あなたにいじわるばかりしてるように見えると思うけれど、でも、でもでもでも! あなたの横でしか心の疲れは癒せないの! 優等生のフリは疲れるの! …………あなたが、あなただけがわたしの心の止まり木なの。だから…………」
「手、出して。わたしたち、一緒に」
「…………はい」
ミハエルも『手を出した』
「
ドキュウウウウウウウウウン!
ミハエルの手から大きな光り輝く蛇竜がその場に現れたと思った人もいるであろう光景。
「お、アリウスくんの方法で仮想空間でも霊波動使えるわ。
ごめん。フリーウィルで動いてるだけのハリボテと恋愛ごっこするつもりはないんだ。わたしにはいきなり現れた3Dモデルを好く道理も、きみに好かれる道理もない。
自分で作り上げた3Dモデルなら好きになるけど。それは愛情籠ってるからね」
「きゃあああぁぁぁぁああぁああぁぁぁぁぁぁああっ!?」
その光輝く衝撃波は
「その『手を出す』じゃあ、ねえんだよなあ。でも
フレッドが笑いと共に(笑うしかない)つぶやく。
「もうオーサム! じゃなくて、あうぇそめー! だねこれは…………」
アリウスがやけくそ気味に呟く。awesomeを別の呼び方して。
「最悪…………なんでデートの盛り上がる時に女の子に黒竜光波撃つの……」
「はぁ…………、ミハエルくんならすると思ったよ。わたしは」
アリウスがため息とともに言葉を吐く。
「きゃあああああああああぁぁぁぁああああぁあああぁぁぁぁぁぁああああっ!」
ちなみに
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ゲームで処理しきれないミハエルの行動にゲームがバグったのか、いきなりマップが観覧車の中に変わった、ミハエルと
アリウス、フレッド、
ミハエルが、また、
必死にミハエルに何かを訴えかけている。
彼女は、霊気が溜まっているミハエルの左手を両手で抱え込むように掴み、自分の胸に当てて泣きながらにこりと笑いかける。
ミハエルの表情は背中越しなので見えない。
「あれ、どんな会話してるのかしら」
となりの観覧車からでは声が聞こえないのがもどかしい。
いたずら好きな彼女に似合わない、その物悲しい笑顔を見ながら、ミハエルは――
「
キィィィィィィィィィイン!
ミハエルの掌にある霊気の球が大きくなる。
それを見て、
「あ…………あ…………!」
もはや絶望が顔全面に出ている
ドキュウウウウウウウウウン!
容赦なくミハエルの手から大きな光り輝く蛇竜が
「AIが人間を惑わすな、そこまで男に固執しておいて生霊も出さない女いないよ。わたしが飛ばされた世界から元の世界、
眠る時いつもあの子の生霊がわたしの周りを這いずり回ってた。
ヴァーレンスに帰る前日は生霊じゃなく
ベッドから追い出したら、ベッドの下に一日中いるつもりだったし。トイレ我慢して。
で、少々口喧嘩になったら、あのプライドの高い彼女が鼻水まで垂らして大泣きして、部屋に閉じこもった。それが彼女との別れだったな。
『へへ~ん。わたしのいたずら好きあなたならわかるでしょう? ずっとあなたにまとわりついてやるんだから、トイレの時ですら! わたしがトイレ行ってる間に永遠にわたしの前からいなくなるんでしょう! トイレ行かない! あなたが逃げないって確認出来る時しかトイレに行かない! 行ってやるもんか!
このベッドの下わたしのおしっこで汚れちゃうかもだけど、あなたが悪いんだから!
あなたがわたしをここまで病ませたんだからね! わたしも、びっくりだよ自分にこんな一面があるなんて! もっとカラカラに明るい女だと思ったのに自分の事!』
ってね。
お前は
女が今の君みたいに恋に病んだ状態なら、男に生霊をつけないはずはないんだ。あのいたずらっ娘な
こんな恋愛事情がどこにあっただろうか。
「え…………?」
信じられないといった表情で
エネルギー波に呑まれてみる景色は新鮮で彼とじゃなければ見ることはなかった景色である。それはとっても良い思い出になったのかもしれない。
命の危険にさらされていなければ。
「ぐっ…………ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!
ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!」
「
ドキュウウウウウウウウウン!
また容赦なくミハエルの手から大きな光り輝く蛇竜が
だが
「ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーっっっ! お前は恋愛の喜びを知らないからこんなことができるんだ!!!! 恋した瞬間の女の子の気持ちがお前に分かるかーーーーーー!!」
あまりの仕打ちに
「いや、わたし嫁10人いる――――」
「うるせえよ! 10人も毒牙にかけておきながらわたしには毒牙つきたてられないって~~~!? わたしの女としての魅力は11番目ですか~~~~!? すごい傷つくんですけど、その事実!?
それに黒竜光波ばっかり撃ちやがって、お前出る漫画間違えてねえか!?
ここ少女漫画の世界なんでーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
バトル漫画の世界じゃないんでーーーーーーーーーーーーーーーー!
二人が幸せなキスをしてエンディングを迎える世界なんでーーーー! 残念でしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
女心分かってねえくせに数だけで威張り散らしてんじゃねえよ! わたしをそのハーレムの中に入れろってんだよ!!」
「あの…………」
そしてミハエルに思いのままを告げる。
「うるせえよハゲ! 早くわたしとキスしろよ!! あまいあまーい脳みそとろけちゃう、舌からみあうキスしろよ! 唾液交換しろよ! ちゃっちゃとわたしの愛を受け入れろ!! こっちはお前とのキスシーンが頭ん中飛び回っていて頭狂いそうなんだよ!
この
エネルギー波に呑まれるのもうたくさんなんだよ!
怒りと悲しみと成就しない恋心で、髪の毛金髪になって逆立つわ、くそっ!
やめろよエネルギー波に吹っ飛ばされている最中ずっと、泣きたくなるから! そんなに………ぐすっ、わたしを、ひっぐううぅ、泣かしたいのかよ……ふえぇ……!!
スカートまくれ上がってもエネルギー波きつすぎてスカート元に戻せないし!
ここは、あと5分で爆発してなくなってしまう星か? 5分って言ってその5分も長いし! どこにも宇宙の帝王見えないんだけど! 宇宙の帝王に仕えるデブとイケメンの宇宙人もいないし!
何でもするって言ってんだろ! あなたのためなら! なんでここまで言われてわたしを受け入れないの!
このスペックの高いわたしで満足しろ! 優等生の演技も完璧だろわたし! マジでお前危機感もてよ! モテ期すぎたらお前なんて……お前なんてパーンじゃハゲ!! そんな顔して、わかってんのか!! パーンパーンパ~ン!!
おらあっ、何か言ってみろよ、このフラグクラッシャー! 何か言ってみろって言ってんの! 信じられねぇ、てめえの頭じゃ愛は男同士でしか育むものだって思ってるんですか!? 非生産的な! お前、自分が何言って、いじらしい女の子になにしてるのかわかってんのか!
何で恋愛で顔赤らめてる恋人に
もう優等生キャラ演じているのでも素の自分で話しているわけでもない。100%ブチ切れキャラという、
また、景色が強制的に入れ替わった。もう恋愛のセオリーに従わないミハエル自体がバグとみなされているかもしれない。
いきなり彼女の部屋っぽい。
フレッド、アリウス、
「こんな男に可愛く見られたいからミニスカートぎりぎりのを履いてきた女の子が何でもするっていったら、
『ん? 今何でもするって言ったよね?』
っていやらしい雰囲気ただよわせて、両手わしわしさせて寄ってくるのが男のマナーでしょハゲ!?
わたしみたいな仮面かぶる女でも、キセキとか青春に溺れたっていいだろう!? いいだろう!?」
「どこのマナーよ……」
ミハエルは疲れたようにそううめいた。
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