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ワシントン特別区、ホワイトハウス。篠山外務大臣は緊張した面持ちで大統領と向かい合っていた。
「篠山外務大臣、私は再びアメリカが日本とともに世界と地域の安全と平和を守ることができることを嬉しく思います」
「え……?はい……」
「不幸な誤解から日米安全保障条約の一時停止を宣言してしまいましたが、あれは間違いでした。私は間違いを認め、正して未来へ向かって進んでいきたいと思います」
ランカスター大統領がにっこり笑って右手を差し出す。
何が起きているのかよくわからなかった篠山外務大臣ではあったが、全てがわかっているようなフリをして握手を交わし、お抱え記者団に写真素材を提供する。
◇◇◇
太平洋、硫黄島の東方900km付近を空母ジョージ・ワシントンを中心とした空母打撃群が横須賀へ向けて航行していた。ヘンダーソン艦長の元へ下士官から報告が入る。
「日米安全保障条約、停止解除されました」
「いいねェ じゃ、出撃しちゃって。早いモン勝ちで撃ち落としちゃっていいよ」
前方上空に豆粒状の黒い点が複数浮いている。双眼鏡を使えば今一番再生回数の高いビデオに映っていた黒い円盤だとわかる。
空母ジョージ・ワシントンのヘンダーソン艦長は管制塔にいる部下の司令官に出撃許可を出した。
4台すべてのエレベーターが作動し、次々と格納庫からF/A-18戦闘機がフライト・デッキと呼ばれる甲板上の滑走路に持ち上げられる。エアクラフト・ダイレクターと呼ばれる誘導員が十数人フライト・デッキ上に散在している。一人が手信号でF/A-18をカタパルトへと誘導していく。デッキ脇の階段からヘルメットを被りながらF/A-18へ近づいて行くのは続く戦闘機に乗り込むパイロット達だ。
パイロットがシートへ乗り込み、昇降用のステップが機体に収納される。
カタパルトが蒸気で圧縮されていく。
肩甲骨あたりに
2秒後にF/A-18は空中へ発射された。
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