日米安全保障条約効力再開

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 国会中継がされている。

 野党の論客である蓮沼はすぬま 清香さやか議員が質問に立っていた。かなり拡大したせいで粗い画像になっている黒い円盤の写真をパネル状にしたものを持っている。


「総理! これは一般的に言われる宇宙から来たUFOととてもよく似た形をしていると思いませんか? 異星人が我が国を訪問しているのだとは考えられませんか?」

「相手との対話ができておりませんので何とも判断しかねます」

「対話ができていないのであれば、敵対しているとも言い切れませんね? どうなんですか! 総理!」

「円盤の行動で我が国の自衛隊の戦闘機が1機失われております。また、同じような円盤型飛行物体によりオーストラリアのメルボルン、シドニー、ブリスベンは壊滅的な状態となっております」



「荒れてるわねー」

 楽しそうに犬上いぬがみ 美月みつきが国会中継を見て笑っている。木村きむら 桜花さくらは居室から持っていたクッションに顎をうずめた。

「どうしたの? 調子悪そうじゃない?」

「うーん、なんか今月は生理痛がひどくって」

「そっかぁ……シス女性は大変だね」

「あ、えっと、オーストラリアの例を見ればあの円盤が脅威じゃないわけがないのに、どうして撃墜命令出さないんだろうね」

「『専守防衛』だからじゃない? 先制攻撃は悪だって言いたいのよ」

「そっかぁ……」


 美月は黒い円盤がメルボルンに爆弾を落としている映像に眉をひそめた。

「あれって爆弾に見えるわね」

「うん、爆撃してるから爆弾なんじゃない?」

「違うわ、いわゆる爆弾の形をしているのよ」

「あ、ホントだ」

 美月がスマホを取り出して電話をかけ始める。


「高松さん? 美月です、犬上美月。そう。……例の破片のことなんだけど、気になることがあって、え? 家に帰ってない? だから? もしかしたら黒い円盤の破片と一緒に爆弾の破片も回収されたんじゃないかと思って。……そう、白っぽいかも、テレビで見てたけど、あれってロシア製OFZAB-500じゃない?……キリル文字? あー、じゃあ連絡しておくわ。それじゃあね」


 電話を終えた美月と桜花の目が合う。

「今の? 防衛装備庁 の高松って試験官なの。撃墜したのは東北地方だったし、ひょっとしたら運び込まれてるかもって思ったらそうだったわ」

「ロシア製って?」

「ああ、形といい色といい、ロシア製のOFZAB-500っていう焼夷弾だわ」


「えっじゃあ、日本に来てる円盤はツンドラ地帯から来たっていわれてるし、やっぱりロシアの兵器ってこと?」

「ロシア製兵器なんか世界中が使ってるわよ? NATOと日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドは使ってないけど」

「そうなの?」

「だけど、ロシア製兵器を積んでるっていうことは、異星人ってことはないでしょうね」

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