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 01時00分。防衛装備庁 下北試験場にある巨大な格納庫にも見える倉庫には国籍不明機の破片が続々と並べられていた。


 試験場の職員は全員招集をかけられていた。

 井上いのうえ試験場長を中央に幹部が会議室の正面にずらりと並んでいる。


「早朝にご集合いただきまして、ありがとうございます。

 皆様、ご存じかと思いますが、先日発生いたしました国籍不明機14機による領空侵犯につきまして、機密事項を共有させていただきます。あくまでも我が国防衛にかかわる重大な機密事項ですので、これまでどおりご家族ご友人、この場にいる同僚といえども試験場外では決して口外なさらないようにご注意願います。

 さて、動画サイトやテレビのニュースでご存じの通り、国籍不明機は我が国のF-15戦闘機1機を粉砕いたしました。そして、その後も9機が南下しております。5機はすでに航空自衛隊とアメリカ空軍により撃墜されております」


 研究員たちからざわめきが起こった。撃墜されたことはまだ世間には発表されていないのだ。

「陸上自衛隊により回収されました国籍不明機の残骸はすべてこの下北試験場に運び込んでおります。みなさまにはぜひ、こちらの破片の分析により未知の航空技術や装備品強化方法について確認していただきたいと思います。

 とはいえ、破片は海上に墜落したものを除いて3機体分ありまして、かなりの数がございます。勝手ながらイ、ロ、ハの3班に分かれて、イ、ロ、ハ号機の解析をいただきます。全ての破片はID番号と写真がサーバー上に載せてございますので班内で話し合いの上、全ての破片を解析ください」


 試験場長の説明兼挨拶が終わると、来賓挨拶のように壇上の幹部(官僚たちである)が挨拶を始めた。研究員たちはほとんど聞いていない。手元のタブレットに夢中になっている。


 研究員福井ふくいと研究員高松たかまつはペアを組んで解析に当たることなり、破片の写真をタブレット上でスクロールし始めた。


「どうします?」

「どうせお仕事するならおもしろそうなの……ってことは大きいヤツかねぇ?」

「タンパク質っぽいものは見当たらないね、UFOなのに乗員がいなかったのかな?」

「グレイ型宇宙人みたいな? 痕跡ぐらいあるかな?」

「燃えちゃったとか?」


 じっくり破片の品定めをしている班員たちにむかって班長の井上が声をかける。

「ひとペア5破片以上必須でお願いしますー」

「うっわ、えげつな。今日から泊まり込みかい」

「我々イ号機担当はイ号機の解析目途がつくまで、または残り9機が立ち去るまで帰宅できませんのでよろしくお願いします。あ、アメリカ軍から協力申し出ありますので安心してくださいー」

「井上さん、それって試料を空輸できるってことですか?」

「日本は国籍不明機により東関東以北の空域をロックダウンしてますので、九州地方から試料を送付して解析協力依頼できるそうです。ですが、明るくなったら海自が海中から引き上げるもう1機分が優先して輸送トラックに載せられるそうですので、あまり期待できません」

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