実際はインカム支給されないって本当ですか?

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大統領閣下ミズ・プレジデント、ご報告します。日本上空にあった13個の円盤のうち、4個は撃墜されました」


 デイビス国防長官が報告すると、ランカスター大統領は思わず安堵の笑みを浮かべた。数十年にわたる同盟国に致命的ダメージがあって欲しくはない。


「また、残る9個の円盤についてはE-767早期警戒管制機が現地に到着次第TADIL-Jネットワークにより、リアルタイムで画像をご覧いただけます」


 TADIL-Jというのはアメリカと日本により運用されている軍事用情報ネットワークの愛称である。インターネット回線の軍用バージョンに近い。


ジョニー・J・マ 大統領補佐官が軽く拍手をした。

「さすが日本、早かったですね。お一人亡くなられたのは残念でしたが」

「でも、これで安保条約の存在意義を疑問視する日本人が多くなるのではないかしら?」

 アンナ・ロバーツ大統領補佐官が心配そうに言うとデイビス国防長官が少し反応した。

「あら、何かあったの? 国防長官?」

「撃墜したのは……アメリカ空軍の戦闘機です」

「つまり、安全保障の一時停止が伝わっていなかったの?」

「伝わっています」

「では命令違反ですね」

 ウォルター・H・シュミット大統領補佐官が言い切る。

「いえ、彼は『自衛権を行使しただけ』と言っています」

「呼び戻してください。その司令官には軍法会議が相応しい」


 マ 大統領補佐官が「ちょっとちょっと」と慌てて国務長官とシュミット大統領補佐官の間に入り込んだ。

「基地を守るのが司令官の仕事でしょう?」

「そうです、そして軍法会議にかけるかどうかは大統領補佐官ではなく憲兵隊または監察官または私の判断になります」

「そうですか」

 あまり納得した声色ではなかったが、シュミット大統領補佐官は引き下がった。


ジェームズ大統領補佐官が大きなメモ帳を手にして大統領に日程の確認を始める。

「大統領閣下、日本の篠山外務大臣が面会を希望していますがどうされますか?」

「まだ状況は変わらないわね」

「この後、商工会議所との懇談があります」

「そうね、打ち合わせに入りましょうか。あっと、そうそう、ウォルター、日米同盟について停止を継続するかどうか、廃止するのか近いうちに話し合いましょう?」

「もちろんです、閣下」

 シュミット大統領補佐官は「準備に取り掛かる」として部屋を出て行った。ロバーツ大統領補佐官が大統領の傍らに立っている。

「そうね、アンナ、調べて頂戴」


 デイビス国防長官は執務室を辞した。控室では制服を着た男女が待っている。

 国防長官の背後で大統領執務室のドアが閉まる。統合参謀本部最先任下士官と統合参謀本部議長が長官の左右に立った。


「CIAから諜報運営局長を呼んで貰いたい。0900以降の午前中に国防総省で会おう」

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