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「(Abel 2-1、了解、適切な距離を保って並走してください)
Abel 2-1, roger, please maintain safe distance and follow the objects and continue report.」
――(了解、目標を追跡して5分後に経過報告する)Roger, pursuing the objects ,will report update in 5 mics.
河野基地司令は一歩前に出た。その方が管制室にあるレーダーが良く見える。管制室の一隅では普段は管制業務を行わないが、管制官が足りないので招集された通信隊の隊員たちが様々な周波数で国籍不明機に呼びかけていた。
レーダーでは緊急発進させた2機が徐々にこの三沢基地へ接近してきているように見えた。河野基地司令の隣でブラック大佐がいつの間にか用意された事務椅子に座って言った。
「(んー、どうやらヤツらこの基地に向かって来ていますね。ボクは僕の部下と家族を守らないといけません。同士討ちを避けるために、攻撃機はヒロタカサンに報告するようにしましょう)
Hmmm , it looks like they are coming up to this Air base, I need to protect my people on base.To prevent friendly fire, I am directing our forces to report to Hirotaka-san」
「(スティーヴさん、わかっていたのか)Steve、you knew it.」
通訳の田中さんに翻訳して貰わずとも空将補である河野も日常会話に苦労はしない。思わず言葉が漏れていた。
基地に設置された拡声器が「ロックダウン、ロックダウン」と繰り返している。どうやら
流れるようにF-16が緊急発進していく。どの戦闘機も完全装備状態である。
「(ヒロタカサン、母体の9機は東京に向かっているようですね。横田空域に達したら、ハミルトンが怒るでしょうね)
Hirotaka-san, the primary cluster is heading towards Tokyo. Once they reach Yokota's airspace, [Colonel] Hamilton will bite them.」
ハミルトン大佐というのは横田基地の司令官サリー・モニーク・ハミルトン 大佐を指している。生真面目で大人しそうな黒髪の女性である。河野基地司令は戦闘機を持たない横田基地の司令が応援要請をしてくる、という意味であろうと判断した。
「河野司令、入間基地の岡本司令が浜松基地よりE-767早期警戒管制機を緊急発進させました」
栗原尉官が報告する。
E-767早期警戒管制機とは早期「発見」のために導入された、いわば斥候の役割を期待されているジェット機である。形状としてはジェット機が背中に平皿を背負ったような形をしている。警戒監視、情報収集及び指揮管制を担うことができる、つまり移動式中継車が不審者発見のために警戒もしてくれるような飛行機である。もちろん、不審者を発見した際は生中継もしてくれる優れものである。難点と言えば武装できない点である。したがって戦闘空域で使用するためには戦闘機による警護が必須となる。
――(管制塔、こちらOxide4-1、2機の友軍機と黒い円盤4機を目視した。)
Control, this is Oxide 4-1 , I've got eyes on our two friendlies and four of black discs.
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