国家安全保障会議

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 07時45分、北部航空方面隊 第2航空団(千歳基地)所属のF-15戦闘機2機が通常通り警戒飛行を行っていた。国籍不明機による領空侵犯に対応するためのスクランブル発進はもちろんのこと、通常の警戒は24時間365日決して怠らない。


 2001年9月11日の同時多発テロ事件以来、戦闘機に実弾を装着しての警戒は各国で行われている。それが警戒にあたる隊員一人ひとりの心構えでもあった。


 星野ほしの空尉(注:空尉は航空自衛隊の階級名)と内田うちだ空尉はそれぞれF-15で警戒態勢で進んでいた。コックピットにあるレーダーに機影は無い。

 しかし目視確認で十数個の黒い個体が北方にあった。

 星野が管制塔に呼びかける。


「(管制塔、こちらHavoc 2-1、4-0地点に向かっているところだが、水平方向10時の方角に奇妙な物体が見える。レーダーに何か映っているか?)

 Control、this is Havoc 2-1, we are approaching to point 4-0, we are seeing some unusual effects at horizon at our 10 o'clock, can you confirm anything on radar in that heading?」


 ――(Havoc 2-1、了解。……レーダーには何も映っていない。どのような物体か説明してください)Havoc 2-1、roger、…… we've seen nothing on radar. Can you describe the effects?


「(うーん、浮かんで光っている黒い円盤が十数個あるようだ。目標のロックオンができない)

 Uhh、they appear to be a dozen or so black discs shimmering in horizon、cannot acquire lock-on targets.」


 ――(Havoc 2-1、大丈夫か、音声が途切れたぞ。)Havoc 2-1、please confirm, your audio cut out.


「(管制塔、繰り返す、物体はおよそ十数個の黒い円盤で浮いて--うわぁ!)

 Control、I say again, objects appear to be roughly a dozen or so black discs flo--

 HOLY HELL! 」


 ――(大勢が騒ぐ声)


 ――(Havoc 2-1、こちら管制塔、応答してください。)Havoc 2-1、this is Control, please report in.


「(管制塔、こちらHavoc 2-2、円盤が加速してHavoc 2-1を通過し、粉砕しやがった!

 繰り返す、バケモンが加速してHavoc 2-1を破壊しやがった)

 Control、this is Havoc 2-2、discs have accelerated ; they have passed through Havoc 2-1, Havoc 2-1 has been disintegrated !

 I say again bogeys have accelerated through and destroyed Havoc 2-1.」



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