Episode 3 二子玉川奪還作戦(2)
武器を起動したこちらに気づいた屍人達が走ってくる。壁が建ってからほとんど人を襲えていないのだろう。
彼らに空腹という感覚があるのかは分からないが、この反応を見るに獲物を待っていたのは言うまでもない。
「駿くん、危ないから少し離れていて」
伊藤は頭上で回転させている武器をさらに加速させ、渦のような空気の流れが伊藤の周囲に発生し始めた。
伊藤の登録兵装、SE08-
その範囲の広さ故に「対軍兵装」とも呼ばれている。
フィィィン―――。
空気を斬る音が高くなった瞬間、伊藤がSE08-Mk Ⅱを投げた。
「ふんっ!」
その回転体はものすごい速度と音で屍人の軍勢に向かって飛んでゆく。屍人の軍勢はそれに構わずにこちらに向かって走っていた。
次の瞬間、屍人の軍勢は上下に分裂することになった。
回転数が落ちたタイミングで伊藤が手を前に出す。
「バック!」
その声と共にSE08-Mk Ⅱは回転を止めた。
屍人を貫きながら、一直線に伊藤の元に戻ってきたSE08-Mk Ⅱを伊藤はパシッと掴む。
「さて、半分くらいは
「相変わらず、凄い攻撃だな」
「でも、これをするとかなり体力を消費しちゃうから1〜2回が限界なんだよねー」
「問題ない。ここからは俺も参戦する」
「うん。一緒に生き残ろ」
俺の短剣、SE01-
SE01-Orgで相手を斬っても相手は傷つかない。しかし、どういう原理か、斬った箇所から赤い炎のような揺らぎが発生する(俺しか視えないみたいだが)。
その揺らぎをRC01-Orgで斬ると、その深さに関係なく絶命する。それ以外はただの短剣だ。
使い難い武器ではあるが、俺に適正があるのがこの一対の短剣しか無かったのだ。
だから俺はひたすらに訓練した。この短剣を使いこなせるように。
「行くぞ、伊藤。俺は左、お前は右を頼む」
「OK!早く終わったら手伝ってよね」
俺と伊藤は横に並び、こちらに向かってくる屍人の軍勢と対峙した。
―――――――――――
「ハァハァ...」
戦闘開始から2時間15分21秒、俺と伊藤は線路上の屍人を殲滅した。
田中はホーム上の屍人を殲滅。
事実上、二子玉川駅の改札より上の制圧は完了した。身体増強剤を射っているとはいえ疲れた。
「も、もう動けない」
伊藤も疲れ切っている。
そんな時、隊長から無線が入った。
「チームA、チームA。この度の戦闘、ご苦労だった。諸君らのおかげで我々は二子玉川駅の奪還に成功した。他の屍人に気づかれる前に拠点の仮設営を行ってくれ。以上。」
そこで隊長からの通信は終了した。
「伊藤」
「ムリ」
「まだ何も言っていない」
「拠点の設営でしょ?」
「動けるか?」
「はーい、やりますやります。田中さんも降りてきて下さーい」
「了解」
そこから一時間をかけて俺らはレーザー壁を設営。
その後、本部に連絡し、拠点の本設営部隊が派遣された。
我が隊、二ヶ月ぶりの拠点拡張であった。
―――――――――
【用語】
■
突如として世界中に出現した化け物。
人を喰らい、襲われた人も屍人になってしまう。
当初、ウイルスの感染による凶暴化に思われたが、違うということが分かっている。
通常の攻撃ではダメージを与えられず、国が開発した特殊兵装でのみ殺傷が可能。
■屍人殲滅部隊ウルフバイツ
屍人のよって隔離された東京を奪還するために編成された部隊。全部で九部隊ある。
【登場人物】
■
1)プロフィール
22歳の青年。本章の主人公。
身長190cm, 身体増強剤の副作用で髪は白くなっている。短髪のオールバック。
学生時代は空手をやっていた。
2)使用武器
短剣型
SE01シリーズの原点。
カーボンと軽量金属で構築された黒の短剣で、起動すると赤色の発光ラインが浮かび上がる。
性能は、斬った相手の■を■■させる。RC01シリーズとの相性が良い。
短剣型狭域決殺兵装・RC01-Org
RC01シリーズの原点。
カーボンと軽量金属で構築された黒の短剣で、起動すると白色の発光ラインが浮かび上がる。
性能は、斬った■を■■から排除する。SE01シリーズとの相性が良い。
■
1)プロフィール
22歳の女性。
身長168cm、身体増強剤の副作用で味を感じない。青髪のポニーテール。
学生時代は剣道をしていた。
2)使用武器
カーボンと軽量金属で構築され、柄の両側に刃を持つ黒の槍。起動すると青色の発光ラインが浮かび上がる。
性能は、本槍が■■■■■■となる対象の■■を無効化する。
■
1)プロフィール
28歳の青年。
身長173cm, 身体増強剤の副作用で匂いを感じない。
黒髪のパーマ。
学生時代は射撃をしていた。
2)使用武器
名称:不明
性能:不明
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