第10話:予測

ヒカリは、薬草採取や鉱石集めを続けていたことで、武器屋で最低限の装備を整えることができた。

鉱山跡地に行く準備が完了だ。


「ヒカリ、大丈夫だよ。君の輝瞳きどうスキルがあれば、きっと乗り越えられるさ」とシロが優しく励ます。


鉱山跡地は門の外であり長い間放置されていたため、見るからに荒れ果てている。

入り口は半ば崩れかけ、周囲には雑草が生い茂っていた。


「ここ、本当に大丈夫かな……」と不安そうに呟くヒカリに対し、シロは「ここにはまだ宝石や鉱石が眠っているはずだよ。君のスキルで見つけられるはず」と力強く応じる。


ヒカリはその言葉に励まされ、鉱山跡地の中へと足を踏み入れた。


輝瞳スキルを駆使し、クリアな視界と透視能力で鉱石が隠れている場所を探りながら進んでいく。

壁面の奥に輝く光を見つけるたびに、慎重に近づいて採掘を始めた。


「本当だ、掘り尽くされた鉱山かと思ったけど、まだ結構残ってるみたいだね」とヒカリは感嘆する。


しかし、順調な作業は長くは続かなかった。

ヒカリが採掘を進める中で、ゴブリンの姿が見え始める。

彼らはこの鉱山跡地を根城にしているようで、ヒカリは透視スキルを使うことでいち早くその存在に気づくことが出来た。


シロは「ゴブリンがいるみたいだね。でも、透視を使えば見つからないように進めるはずだよ」とアドバイスをする。


ヒカリは透視スキルを最大限に活用し、ゴブリンの動きを監視しながら進んでいった。

しかし、狭い鉱山の中である。

どうしても避けられない状況が訪れてしまった。

1匹のゴブリンが通り道に立ちはだかり、進むことができなくなっている。

ヒカリは慎重に狙いを定めて光線を発射、ゴブリンの目にうまく当てることで無力化することに成功した。


ただ、目は見えなくなったものの、武器を振り回すゴブリンの横を気づかれないように通り抜けるしかない。

可能な限り急いでゴブリンの横を通ろうとすると、見計らったかのように横凪の棍棒が目の前に繰り出される。

その瞬間、先日街中で起こった不思議な出来事、弓矢の動きがわかった時と同様に、ゴブリンの動きが手に取るように理解できた。

ヒカリは即座にしゃがみ込んで棍棒を交わし、そのまま横をすり抜ける。

難なく攻撃を回避することができた。


急いでその場を離れ、ゴブリンが見えなくなる位置まで移動する。


「危なかった……これって、もしかして新しい能力なのかな……?」とヒカリはシロに相談する。


すると、「それだよ、ヒカリ! ステータスにあった『???』が、『予測』に変わってるみたいだ。ヒカリ自身が体験し、能力について理解できたからこそ、ステータスに名前が表示されるようになったんだよ」と説明された。


「予測……かぁ、……かっこいいかも」


頭がいい感じがして、なんかかっこいいと思うヒカリであった。





ヒカリは、透視スキルと光線、そして予測の組み合わせで、危機を回避しながら順調に鉱石を採掘して帰還した。


シロはその成果を見て、「ヒカリ、本当に凄いよ。こんなにたくさんの鉱石を集められるなんて」と感嘆する。


ヒカリはシロの言葉に照れながらも、内心で誇りを感じていた。


「ありがとう、シロちゃん。これで少しは旅の準備ができたね」とヒカリは微笑む。


街に戻ったヒカリは、武器屋に採掘した鉱石を持ち込んだ。


店主はその鉱石を一つ一つ確認し、その質の高さに目を見張る。


「お嬢さん、これはすごい……こんなに大量の鉱石を持ち込んでくれるなんて助かるよ」と感心した様子だ。


ヒカリは少し照れながらも、「あ、ありがとうございます……」とお礼を言う。


店主は笑顔で「これだけの鉱石なら、かなりの額になるよ。全部換金してしまって問題ないね?」


「はい、大丈夫です」


ヒカリはここ最近の大仕事を終え、宿に帰宅した。


「はぁー 疲れたー」


「ヒカリお疲れ様。今日はもう終わりにして、また明日今後のことを決めようか」


「うん、そうするね、ありがとう」


ヒカリはそう言ってベッドに横裏、コマンドからログアウトを選択した。


現実世界に戻っても、変わらず体が疲れているのを感じる……。

だが、興奮が冷めやらないことも変わらない。


彼女は、自分の輝瞳スキルがまだまだ進化の途中であり、強くなることでまだ見ぬ世界を目指せることにワクワクしていた。


「もっと強くなれば、もっと遠くまで行けるはず。――色んな場所を見て回りたいなぁ」

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