第8話:戦闘の準備

「これ以上の稼ぎって、どうすればいいの? 色々目を凝らしてみてはいるんだけど、他にはいいものがある場所も見当たらなくて……」ヒカリは困惑したように尋ねた。


「近場の鉱山跡地に行ってみようか。そこにはまだ掘り尽くされていない鉱石や宝石が残っているはずだよ。君のスキルを使えば、取り残しを見つけることもできるんじゃないかな」とシロが提案する。


「鉱山跡地……ってどこにあるの?」


「街の外にあるよ。だから、それなりの準備をして行かないとね。強いモンスターはいないけど、ゴブリンくらいは出ると思うよ」


「ゴブリン? 大丈夫かな……?」


ヒカリは不安そうに言う。


「今すぐは難しいと思うから、最低限の戦闘力を身につけて行かないとね。まずは武器と防具を揃えよう」とシロが答えた。


「でも、私、武器の使い方なんて全然わからないよ……」とヒカリが言うと、シロはにっこりと笑い、「大丈夫、ヒカリにはスキルがあるんだから、それに合った武器を選べればきっと問題ないはずさ」と言う。


ヒカリはシロの言葉を信じつつも、まだ不安を抱えたまま、最低限の装備を整えるために薬草と宝石をひたすら集めることにした。


装備の用意とは別に、輝瞳スキルをさらに分析して戦闘に利用できないか考えることにする。


まず、光線の出し方の把握と練習だ。

ミノタウロスと相対した時は無我夢中であまり覚えていないが、あの時にほんのりとした温かみを目頭に感じたことを思い出した。


「あの温かい感じがまたできたら、光線を出せるんじゃないかな?」


ヒカリはまずは視界をクリアにした状態を維持し、そこからさらに視線を集中させ続ける。

すると、徐々に目頭が熱くなるのを感じ、その感覚に集中すると、ヒカリの目線の先にあった石に光が突き刺さった。

10円玉大の円を作っている。


「こんな感じかな……?」ヒカリは少し驚きながらも、光線が当たった先を覗き込んだ。


シロはその様子を見て、「上手くいったね。光線は目など防御の薄い部分には効果的だけど、肌に当たるだけだと大した威力にはならないのかもね。この石も全く変化ないし。それでも、うまく使いこなせれば視力を主に利用しているモンスターに対しては有効な攻撃になりそうだね」と説明する。


ヒカリはその言葉にうなずき、光線の精度を高めるための練習を始めた。

遠くに置いた小石に光線を当てる訓練を繰り返し、集中して視線を合わせることで、10メートル程度の距離であればかなりの精度で光線を当てられそうだ。


シロからは、改めてスキルとそのレベルの仕組みについて教えてもらった。


輝瞳スキルの各能力がレベルアップに応じて性能を向上させることができること、さらにレベルが5上がるごとに新たな能力を得られると説明を受ける。

透視(レベル5で取得)と光線(レベル10で取得)がその新たな能力で、現在のヒカリのレベルは16、ステータスには『透視』、『光線』、そして『???』という項目が能力として記載されているらしかった。


「ヒカリちゃん、君のスキルは成長するにつれて新しい力を得ているから、今は16レベルになっているみたいだよ」とシロが教えてくれた。


「16レベル……ってことは、透視と光線だけじゃなくてもう1個能力があるんだね。それが『???』って隠されちゃってて……」


シロは優しく微笑む。


「スキルは魂に刻み込まれているものだから、自然と使えるようになるよ。君はレベルの成長が早いから、まだ完全に把握できていないだけさ。新しい能力もそのうちわかるようになるよ」と励ます。


「せっかく使えるはずなのに、どんな力なのかも使い方もわからないなんて変なの」

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