第7話:初めてのお金稼ぎ

初日の宿代やご飯代は、初回ボーナスとしてシロから受け取ったお金でまかなっていた。

ただ、それはあくまで初回ボーナスらしく、シロからは「このままだと1週間で無一文になっちゃうからなんとかしなきゃね」と言われている。


「お金の稼ぎ方なんて、どうすればいいんだろう? シロちゃん教えてー」


シロは前足を伸ばして背中を逸らすことで全身を伸ばし、満足げに欠伸あくびをした後に答えた。


「プレイヤーと呼ばれる人たちは、自分のスキルを活用して資金を稼ぐことが得意って言われてるんだ。ヒカリもその輝瞳きどうスキルを使ってお金を稼げばいいのさ」


「でも、どうやって……?」


ヒカリは視線を落とし、無意識に手元を見つめる。


「そうだね、まずは薬草採取なんてどうかな? ヒカリのスキルなら、効率よく目的の薬草を見つけて採取できるはずだよ」とシロは提案した。


さすがシロだ、ヒカリはその提案に感心してにうなずき、街の外に出て薬草を探し始める。

輝瞳スキルを使って視界をクリアにすると、半径30メートルくらいの有用なものが光って見えた。


(最初にやった時より広くなってる)


彼女はその光を頼りに、慎重に薬草を摘み取っていく。


「これ、本当に薬草で合ってるよね……?」とヒカリは自信なさげに呟きながらも黙々と作業を続ける。


さすがスキルの力というべきか、1時間もしないうちに用意していたカゴいっぱいに薬草を採取してしまった。


「薬草と言えば薬屋だろうね。早速買い取ってもらいに行ってみよう」とシロが提案した。


ヒカリはシロの言葉に従い、街の薬屋に足を運ぶ。

しかし、店に入ると緊張が一気に押し寄せ、言葉がうまく出てこない。


「あ、あの……これ、買ってもらえますか……?」と小さな声で店主に話しかけた。


店主は少し驚いた様子でヒカリを見つめたが、やがて柔らかく微笑んで「もちろんだよ、ちょっと見せてごらん」と優しく言ってくれた。


ヒカリはほっとして、薬草を差し出す。


店主が薬草を一つ一つ確認し、「これは良質な薬草だね。ありがとう、お嬢ちゃん」と言って、ヒカリにお金を手渡した。


「悪くない稼ぎだね、これでまた2〜3日は過ごせるよ」とシロがヒカリに声をかける。


「うん、少しは役に立てたみたい……」とヒカリは少し安心したように微笑んだ。


その後数日、ヒカリとシロは街中を歩き回りながら、輝瞳スキルを駆使したお金を稼ぎ方法について模索していた。


私たちが今いる街は壁に囲われており、その広さはちょうど新宿区がすっぽり入るくらいの大きさになっている。

現実の地図と見比べてみたので間違い無い。


なので、その壁の内側はかなり広く、いくつかの川が内側に流れていることに気づいていた。

すごく広く壁を配置しているんだなあと感心しながら川原を歩いていると、ふと目の端で光を捉えたヒカリは、無意識に集中して周辺に意識を向ける。


「ヒカリ……? どうかしたの?」


ヒカリは集中したまま答えず、自分の足元に向けて透過を発動した。

すると、地中すぐの所から光を感じる。


「……この下、ちょっと掘ったところに何かあるかも」


シロはヒカリの顔を覗き込むと、嬉しそうに微笑んで言った。


「道具を持ってきて掘ってみようか!」


「うん、やってみたい!」


2人は今いる場所に目印となるように大きめの石を置き、商店街で小さめのスコップを購入。

足早に川原に戻った。


ヒカリは少し緊張しながらも、目印としていた石をどけて掘り始める。

するとすぐに、小さな赤い石が土の中から顔を出した。


「やったぁ、なんだろうこれ? 綺麗な石だねー 宝石かなあ?」


「うーん、どうだろう? 武器屋に持っていけばわかるんじゃないかな? 宝石なら、武器の素材によく使われるらしいよ」とシロがアドバイスする。


「武器屋……? 薬屋と違って、ちょっと怖いかも……」とは言っても、背に腹は変えられない。

正直不安は拭いきれないが、お金のためにも行くことに決めた。


武器屋の店主は職人らしく、厳つい顔をしている。

だが、宝石を見せるとすぐにその表情が柔らぎ、「これなら高く買い取れるよ」と言ってくれた。


ヒカリは安心し、「あ、ありがとうございます……」とお礼を言って、店主からお金を受け取る。


「よかったねヒカリ、これで薬草と宝石を見つけてお金を稼ぐことができそうだよ」


その後しばらく、ヒカリとシロは薬草や鉱石を採取しては売りを繰り返し、徐々に旅の資金を貯めていった。


ただ、シロが言うにはこれだけでは十分な稼ぎとは言えないらしく、絶景の旅に出るためには、さらなる稼ぎが必要のようだ。

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