第4話 海の泡
お盆の一週間なんてあっと言う間に終わり。
明日にはなっちゃんは東京に帰る。
「なっちゃん、手紙書くね。漢字は苦手だけど。あ、絵は得意だから絵手紙にしよっと。」
「ふうちゃんは絵が上手よね。楽しみにしてるね。指切りげんまんー。ふふ。」
ふたりで寝るのも最後なんだけど、あっと言う間に睡魔に襲われた。
寝る前にスイカを食べたせいか、トイレに行きたくなって目が覚めたんだ。
「あれぇ?なっちゃん、、、。
なっちゃんもトイレかな?」
私はトイレに行ったけど、なっちゃんはいなかった。
台所やあちこち探したけど、なっちゃんがいない。
「お母さん!!
なっちゃんがいないの!ねぇ!おきてよー。」
寝ぼけてたお母さんもお父さんも慌てた。
なっちゃんは真面目な子だから、こんな夜にかくれんぼなんてするはずないもの。
おばちゃんもばあちゃんもじいちゃんもにいちゃんも。
みんなで手分けして家中から近所まで探した。
「風華、なっちゃんの行きそうなところ思いつかん??」
お母さんが聞くけど、、。
「あ、、。海かも。花火した時なっちゃん
じーっと見てたもん。」
「わかった、わしは船を出そう。とうちゃんも
来てくれ!」
じいちゃんとお父さんは車を出して行った。
おばちゃんとお母さんはなっちゃんが帰ってきたらいけないから家で待つ事になったの。
にいちゃんは懐中電灯持って、もう一度近所を見てくると自転車に乗った。
なっちゃん。
私は自分の部屋に戻った。
なっちゃんの布団。そこになっちゃんの帽子が置いてあった。かわいい便箋に
「ふうちゃん、今年はお土産はこれにしようと思ってたの。
リボン付きの麦わらの帽子。
ふうちゃん、似合うよ。」
って書いてあった。
私は麦わら帽子のリボンを撫でながら
なっちゃんは海の泡になったんだと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます