第4話 肉が食べたい

「はい、アキラくんこれ着て」


 そう言ってアルマが渡したのは燕尾服のようなものだった。燕尾服とは言ったがそれにしてはズボンの丈が短くショートパンツのような長さだった。


「えっと、これなんですか?」


 渡された服を受け取り、アルマに尋ねる。


「やっぱり執事といったらこれでしょっていうことで買ってきたの」


「そうなんですね、ありがとうございます」


「いやいや、こっちこそありがとうみたいな?早速着替えてきてよ、さあさあ」


 アキラの執事姿が見たいため着替えを急かすアルマ。


「分かりましたよ」


 言われるがまま燕尾服を抱え自分の部屋へと向かう。


ーーー


「どうですか?」


 着替え終わりアルマが待つリビングへと向かい、その姿を見てもらう。


「さいっこう」


 グッとサムズアップをしながらもう片方の手で顔を抑える。


「せっかくだしソフィにも見せつけに行こうよ、サプライズでね」


 そう言ったアルマがアキラをソフィの部屋まで案内し、そのままノックをする。


「あいよー、なんだー?」


 部屋の中からソフィの返事が聞こえる。


「ソフィ、ちょっといい?」


 アルマがアキラを隠すように返事をする。


「ああ、いいぞ」


 その返事が聞こえたのでアルマがドアを開けアキラと共にソフィの部屋へと入っていく。


 ベッドの上で寝転がっていたソフィが執事姿のアキラを見つける。


「おぉ?おおおお!?おいおいアキラァ!お前女心を分かってんなぁ?」


 ベッドから飛び上がりアキラの近くにすぐに駆け寄る。


「えへへ、そんないい?僕って結構こういうの似合ってる?」


 2人ともにも褒められ少し照れくさいながらも、いい気分になったアキラはニヤニヤと笑っている。


「ああ似合ってる似合ってる、特にこのピチッとしたパンツがケツに食い込んでるところがなぁ?」


 アキラの後ろに回り込みローアングルから見つめぐへへと笑っている。


「流石に今のはキモいぞ...」


 そんな姿のソフィをアルマがジト目で見る。


「なっ、お前も分かるだろ、アルマ?おい」


「分かるけどアキラくんに向かっておもっきしセクハラはやめろ、出ていかれたらどうするんだ」


 こそこそとアキラに聞こえないように小さな声で話す。


「僕の尻がいいの?変わってるねソフィも」


 そう言いながら自分のお尻をソフィとアルマへ向けて、両手でタプタプと持ち上げながら揺らす。


「お、おお、おお、アキラ...なんか欲しいものあるか?今ならなんでも買ってやるよ」


 無自覚ながらもサービス精神豊富なアキラに鼻の下を伸ばしながらお礼をしようと決めたソフィ。


「ほんと?じゃあローストビーフが食べたい」


「お前、そんなんでいいのか、安上がりな男だな」


 アキラの要望にケタケタと笑いながら応えるアルマ。


「そうだぞアキラくん、今ならもっと宝石とか買ってもらえるぞ」


 アルマがそう言うが肉が食べたいの一点張りで今度ソフィに肉を買ってきてもらうことが決まった。

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