第2話 家に住む条件は
アルマの家でお世話になることが決まったアキラは条件のことについて考えていた。
「1日1回、ハグ...」
そう呟きながらも、いつするのだろうかと思いアルマに尋ねることに決めた。
ーーー
「アルマさん、条件のあれっていつしたらいいですかね?」
リビングで寛いでいるアルマを見つけたアキラが声をかけた。
「あ、あーあれね、あれかぁ、とりあえず今からしちゃう?なんて」
言葉を濁しながらもいつ切り出そうか悩んでたアルマは少し冗談混じりな言い方ですぐに誘う。
「はい、分かりました」
アキラから即答で返事が帰ってきたことに少し驚きつつ、その体を見つめながらゴクリと唾を飲み込む。
「じゃ、じゃあこっちに来て」
その声に従うようにアルマに近づくと割れ物でも扱うかのように肩に触れられる。
その後少し無言で見つめ合ったあと、アキラは引き寄せられアルマと胸を合わせる形で抱きつかれた。
むにゅりと形を変えるアルマの胸に対し、少し硬いながらも確かな柔らかさがあるアキラの胸。
お互いがお互いの、異性の違う胸の感触を楽しむかのように擦り付け合う。
15秒ほど抱きつき合っていると不意に目が合った、2人とも相手を認識し直した気まずさからか自然と体が離れた。
「今日の分はここまでってことで、ありがとね」
目を合わせないままそう言い残したアルマはリビングのソファーに座った。
アルマは初めて会ったその瞬間から違和感を感じていた。
(この子、何かズレてる)
普通の男の子は1人で外にいないし、初めて会う女の家に行かない。
ましてやそんな女に抱きつくなんてあり得ない、その瞬間違和感が確信に変わった。
隣に座っているアキラの頬をプニプニと触るときょとんとしながら笑いかけてきた。
ドクンと心臓が跳ね上がるのを感じた。
昔からよく妄想をしていた、理想の男の子がいきなり現れ自分に好意を抱いてくれる妄想、そんな夢が今現実になろうとしている気がする。
「アキラくん、これからどうしたい?」
「これからですか?とりあえずお金を稼げるようになりたいです。いつまでもアルマさんにお世話になるわけにはいかないですから」
「それなんだけどさ、ずっと一緒に住まない?お金もあげるしさ、出来ることなら何でもするよ」
この機を逃すわけには行かないと詰め寄る。
「いや、それは悪いですよ」
とんでもない提案をされるが住む場所も提供してもらい、さらにお金まで貰うとなると罪悪感から受け入れることを拒む。
「じゃあ執事として雇われるのはどう?家政婦的な感じでさ、うち2人しかいないのに広くて困ってたんだよね」
すぐに代案を出し何とかアキラをここに留めようとする。
「それならいいですけど、同居人の方は大丈夫何ですか?」
「絶対大丈夫だから、そこは問題なし」
グッとガッツポーズをしながら、最高の男を確保するのなら同居人のあいつも大賛成なのは間違いないと思う。
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