もう間違えない

角煮 食う

後悔と第一歩

 俺はいつも楽な方を選び楽なように歩いていた。


 ただの一度も辛い現実を見ようとはしなかった。


 それが間違いだった…


「いってきます」

 俺は元気に家を飛び出した。


 そこはのどかな田舎町、都市からは少し離れているがそれほど不便では無い。むしろ家族とのんびり過ごせるから俺はこの町が好きだ。


 俺はこの田舎町の時期領主になるべく都市で勉学を学ぶのだ。


 少し学校までは遠く時間がかかるがこの、のどかな田舎道を走っていると何とも言えない充足感が俺は大好きだ。


「入学試験難しくなかった?」


「確かに。今年は難しかったらしいよ」


 そんな会話がクラスの中を飛び交っていた。


「アレンおはよ」


「おはよカイ」


 こいつはカイ=マーレイ俺の幼馴染だ。


「ところでよアレンお前カレンちゃんとはどうなんだ?」


「別に何でもないよ」

 こいつはなにかと俺とカレンの仲を聞いてくる。


「私がどうかしましたか?」


 学校指定の制服の上からグリフォンの羽で出来たコートを羽織り魔力石が使われているであろう指輪を3つ付けてお嬢様オーラ全開な彼女が俺とカイとの幼馴染カレンだ。


「おはようございます。カレン様」

 一応貴族への挨拶はしておくクラスメイトに根も葉もない噂を広められては困るからだ。


「おはようございます。カレン様」

 カイも幼馴染だが俺と同様に挨拶をした。


「先程の話ですが、カレン様が美しいと話をしいていただけです。」


「それは嬉しいわね。まさかカイ=マーレイ様のお眼鏡にかなうとは」


 カイの父親は大陸魔法師団という魔法使いのエリートをまとめ上げている団長だ。だからカイも魔法の才能はピカイチだ。


 俺たちがこれから通うシュリン魔法学校は貴族や優秀な人材を育成する学校なのだ。



「はい皆さん席についてください。これから入学式の説明をします。」


 入学式は何のトラブルもなく進んでいった。


「次は校長先生の話です。」


「新入生の皆さん入学おめでとう…


 ここから校長の長い話を聞くとなると寝てしまいそうだ。


「皆さんに伝えたい事は一つです。魔法はとても便利だが使い方を間違えれば凶器にもなりえるのが魔法です。その魔法を研究したりするのがこの学校です。くれぐれも間違った道に進まないように。私が言いたいのはそれだけです。」


 何だか惹き込まれるような話し方だった。


「校長先生ありがとうございました。次は新入生代表挨拶です。カレンさんよろしくお願いします。」


「私はこの学校に…


 俺の記憶はここで途切れた。


 式が終わるとカイが起こしてくれた。


「お前もしかしてずっと寝てたのか?」


「いやずっとってわけじゃ無いよ校長の話が終わった後ぐらいから」


「私の話は聞いていなかったって事でいいのかしらアレンさん」


 ヤバい一番聞かれたらダメな人に聞かれた。


「ところでカレン様本日のお召し物は先日お父様が討伐されたグリフォンを使った物なのですか?」


「そうですわ流石お父様と言ったところでしょうか」


 自慢そうに言うカレンを見て俺はチョロいなと思ってしまった。


「そこの3人はやく教室に戻りなさい」


 黒髪長髪サラサラヘアーのカッコいい先生に注意され俺たちは足早に教室に向かった。


入学式が終わった後とはいえ人の声が1つも聞こえてこない。何かおかしいと考えていた時。


 俺たちの目の前に蜥蜴とかげ型のモンスターがいたのだ。


 サラマンダーだ。


 体長は裕に4mを超えていた。外皮はとても硬い鱗で覆われており刃は通らないだろう。


 やばい


 言わなくてもわかる俺たち3人はその場から動くことができなかった。


 ギロリとがこちらを見てきたその時カイがカレンの前に出た。


「カレン逃げろ!」

カレンは足がすくんでいた


「アレン!カレンを連れて逃げろ!」


 カレンの手を握り振り返ることなく一心不乱に逃げた。逃げて逃げて逃げているうちに涙が溢れてきた。


 後で分かったことだがカイは何とか俺たちを助けようと画策してくれたのだがそのまま帰らぬ人となってしまった。


 俺は後悔しても仕切れなかった。


 俺がもっと強ければ。


 俺が先にカイとカレンに逃げるように動けていれば。


 そんな後悔をしてもカイはもう帰ってこない。


 俺は一晩中泣いた。


 それから俺は強くならなくちゃと思った。そうしないと大切な人、守りたい人を守れないと思い特訓を始めた。


 もう誰も失わない殺させない。


 俺はあの日からそう誓った。






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