そうしてうんたら年後

 俺とミニDディーの修行の日々が始まった。

 とはいっても、最初は此奴の宣告どおり、まさに地獄の一言。

 走らされて筋トレさせられて泳がされて、ひたすら剣を振らされるだけ。ただただそれの繰り返し、本当にそれだけだった。

 

 一介の木こりでしかない俺はミニDディーの予告とおり、言われた基礎訓練の半分すら終わらせることが出来ずに無事沈没。

 その後しばらく無様に吐瀉物と友達になりながら、やっとの思いでメニューを終わらせられるようになってからも、割と長い間は酒を飲む体力も気力もないまま眠りにつくだけの毎日。色々やりたいけど訓練しか出来ず、多分美味なはずの食事もまったくと言っていいほど味がしなかった。


 当然辛すぎる日々が嫌になり、修行なんてもう嫌だー! とそれはもう綺麗に投げ出してサボった日もある。

 けれど何故かミニDディーは厳しく叱ってくることも、不貞腐れるようにごろごろとしていた俺を窘めるなんてこともなく。

 まるで俺の勝手だと言わんばかりにそのおサボりを肯定してきて、そのせいで無性に居心地が悪くなったので、結局ミニDディーに相談して休日を設けることでどうにか続けていこうと気を取り直した。


 そうしてこの何たらルームに閉じ込められて一年が経過。

 まだまだ出られる雰囲気じゃなかったし、日を数えるのも面倒になってきたのでその辺放棄して更に修行に明け暮れるだけの日々。

 そして基礎訓練を余裕を持ってこなせるようになってきて、ミニDディーが剣の振り方に及第点をくれた頃に、ようやく魔法の修行を開始し出すようになった。

 

 とはいっても、何だかんだ様にはなっているらしい剣なんかの何百倍も才能はないらしかった俺は、まずは魔力を宿すらしい変な種を飲まされた。そのせいで三日くらい寝込んだけど、特に何も変わらなかった。

 ミニDディー曰く、食わせた種が何時開花するかは不明、人次第とのこと。

 そう言われて割と落ち込みながらも、せっかく余裕が出てきたんだし本でも読んでみたいなと字を習うことにした。


 ところがその選択こそが地獄の始まり。

 というのもミニDディーの教えてくれる字やら言葉は難解極まりなく、俺の悲しい頭ではちょっと学びが追いついてくれずに頭の上を鳥が回るだけ。

 ひたすら覚えては忘れてを繰り返し、ついには机に向かうだけで目を瞑って一日が終わってしまう始末。

 

 まったく世の頭使って戦ってる人達はすごいね、改めて尊敬しちゃう。

 どうせ火照るなら頭の使いすぎより酒の飲み過ぎの方が絶対いい。女の温もり? ああ、手に入らないものを考えてもね?


 ああちなみに、鍛冶だの精錬だのそう言ったのは早々に諦めた。

 剣や魔法みたいな向いてる向いてない以前の問題で、才能以前に適性と素養の両方が欠けていたらしい。それなりに残念ではあるが、まあ俺もちょっと齧っただけで察してたし別にいいかなって。


 そんなこんなでいつもの感じで訓練に励みつつ、酒を傍らに字を習い本を読み解く日々。

 まあ机に向かっている間の大体は酒入ってたし、難しい本は頭が痛くなるからスルーしてたしで対して賢くならなかった自覚はあるけれど。


 それでもぶっちゃけた話、めっちゃ充実していた。 どのくらいって問われれば、きっと人生で一番って答えていたかもしれないくらい。


 美味い飯。

 打てば響く話し相手。

 美味すぎる酒。

 鍛練が、努力が少しずつ実を結んでいく達成感。


 ただ木を切ってひもじく酒を飲んでいるだけじゃ得られない充実感があった。気のせいじゃなく、一日の終わりに飲む酒だって前より美味いと断言出来るほど。料理なんてものにも手を出してみたほどだ。

 

 ミニDディーが魔法使いではなく使い魔的な存在なのだと理解しながらも、それでも孤独ではないという安心感もあるからか外に焦がれることもなく。そしてミニDディー曰く、痣のせいで老いることもないらしいのでその辺も気にすることはなく。


 不思議なことに、どれほど長くいようと外での記憶が薄れることはなく。

 だからこそ、気がかりだった妹や友人のことを次第に思い出す頻度も減っていったのを自覚したときはちょっとだけ自分が嫌になってしまいもしたが、そういうときは酒庫にある中でも上等とは呼べない、外にいた頃に飲んでいたような雑味だらけの酒を飲んだりもした。まずくて懐かしい味だった。


 そうしてどれくらいかも定かではないくらい、この最低限度の備え場チュートリアルームで自らを鍛える日々を送り。

 そして今日はついに、長年苦戦していた課題である大型の竜の再現体。何度も何度も苦渋を舐めさせられた強大な試練に決着をつける覚悟で挑み、そしてついに後一歩の所まで追い詰めていた。






 けたたましく嘶きながら、空へと上がりこちらへ吐いてくる息吹ブレス

 迫る紅蓮はまさに炎の波の襲来だと。

 肌が焦げそうな波に俺は真っ向から駆け出し、愛剣を全力で振って息吹ブレスを薙ぎ払う。


 竜は焦る。まるで仮初めなどではなく、心臓動く本物の生き物であるかのように。


 俺はその動揺を見逃さず、力の限り地面を踏み、竜の待つ空へと跳び上がる。

 接近に合わせ、勢いよく振るわれた剛爪。当たるや掠るは愚か、側を通っただけで全身を裂かれてしまいそうだと思わされるほど鋭利で頑強な三本の刃。


 だが恐れることはない。俺はこれに何度も引き裂かれ、深手を負っては乗り越えてきた。

 迫る爪をしっかりと目視し足場に変えて更に跳び、不思議と軽く感じながら、自らが振り下ろした刃は竜の首へと届き断ち切った。


「……ふう。おっしゃー勝った! ついに勝った! これで完全クリアっしょ!」


 竜の体は落ちることなく消失し、空に大々的に描かれたクリアの文字。

 落下しながら勝利の通告に拳を握りつつ、俺は削れたり焦げたりでボロボロな地面へと着地した。

 

「見たかミニDディー! ついにやったぞ! これであの黄金酒も解禁だ!」

『はぁー、まあようやったなぁ。正直一生無理だと思ってたわ』


 付いてないのに血を払い、機嫌良く剣を鞘へと収めながら、抑えきれない歓喜をミニDディーを露わにしてしまう。

 まあ当然よ。あれに挑み始めてもう随分と経ったし、いい加減に決着つけたかったからな。


 それにこいつを倒せばあの酒庫の中でも特上らしい珠玉の一品。ボトルから中の液体の全てがまっきんきんな、あの黄金酒がついに解禁ってわけだ。

 

 いやー長かった。いつだったか、黄金酒を餌にあれに挑まされてはボロボロにされての繰り返し。

 あまりの歯の立たなさに、途中でへこたれて放棄しかけたくらいだ。

 あのレベルの挫折はここに来たばかりの基礎訓練が辛かったときくらいじゃないかな。途中でついに魔力が芽生え、勝ちの目が生まれてくれてなきゃどうなっていたことか。まじで。


『愚直なまでに基礎能力を高め、ついには竜にまで届きうるとは。才能がないというのも侮れんものだな』

「そう? 結局魔法なんてまともに出来ないし、人間同士で斬り合うわけじゃないしな。怪物相手なら、魔力での肉体強化だけを伸ばして食らい付くって方針は正解だったわけだ」

『……脳筋とは称賛か罵倒か。まあいずれにしても、実にたくましく育ってくれて何よりじゃよ』


 やや何とも言えない顔ながら、それでも俺へ手を叩いてくれるミニDディー

 何だかなぁ。もっと喜んでくれてもいいのにさぁ。 そら伝説の孤高の賢者様みたいに声だけで撃退とか百の魔法を操って倒したわけじゃないけど、それでも一介の剣持ちにしては上出来だと思うぜ?

 

 まあいいや。

 所詮はミニDディー。何かにつけてお小言ばっかりなご老人よ。

 

「んなわけで、今日は豪勢にしてくれよ? 流石に疲れたし、自分でやるのは勘弁だぜ?」

『わかったわかった。とっとと汗流してこい、適当にな』


 おーう。真面目に疲れちまったし、俺もさっぱりしたいぜ。


『しかしぎりぎりで達成とは。……持っているのかいないのか』

「?? 何か言った?」

『いや別に? ほらっ、とっとと行ってこい!』


 絶対何か言ってたなと思えるほど、疎ましげに俺を手で払ってくるミニDディー

 まあこういうときは聞かぬが人情。そんなことよりも、気持ちのいいシャワーとあの黄金の酒の味の想像でもして夕食を楽しみにしておきましょうかね。


 それはもう軽く、まさしく羽毛が跳ねているみたいな足取りで部屋に戻り。

 着いてからはすぐにすっぽんぽんでシャワーで汗を流してから、夕食が出来るまでの間に読みかけだった本をぺらぺらと捲っていく。

 

 この一冊は『雲と風』という俺の一番のお気に入り。真っ白な雲から生まれたモクという男が、空から地上へと降りて緑の風の精霊であるフウと共に世界を巡る物語、その最終巻だ。

 何よりも新鮮で痛快。初めて読んだときはこんな面白いものが世の中にはあったのかと、思わず修行も忘れてのめり込んでしまったほどだ。


 これを読んでいると、ついつい自分もこんな冒険がしてみたいと思ってしまう。

 唯一無二の相棒と友情を、そして恋心を育みながら世界を巡る。無数に立ち塞がる困難を乗り越え、二人の絆は一層深まり愛を為す。何と素晴らしく、羨ましいことだろうか!


「……そういや、俺っていつ出られるんだろうな」


 緑溢れる丘に二人で並んで立つ、そんな最後の一幕を読み終えて、丁寧に本を閉じながらふと思ってしまう。


 最近はあまり考えなくなっていたのだが、俺はいつまでここにいるのだろうか。

 

 別にこの場所に不満があるわけではなく、むしろ快適すぎて出たくないという気持ちですらある。

 ただミニDディーは度々、俺が忘れることのないようにと言ってくる。

 ここはあくまで仮初めの場。いつかは必ず役目を終え、出ていかねばならない日が来ると。

 

 まあそんなことを言われ続けながらも今日まで変わらぬ日常を送った結果、ついにはあの竜をも倒してしまうまでになっちまったんだけどね?

 

『ほれ出来たぞ! 今日は和の部屋じゃ! 来い!』

「うへーい」


 しかしそんなに言うのであれば、せめていつになるかぐらいは教えてほしいものだと。

 あの偏屈爺へのちょっとした文句を咎めるように、俺の頭を悩ませていた犯人の大声が部屋へと響く。

 

 はいはい行きますよおじいちゃん。だからお耳に優しくないからそんな大声で呼ばないでくれ。


 ともあれまあ、こんな呼び方はいつも通りなので腹なんて立つことはなく。

 部屋を出て、途中トイレに寄り、それから三つある食事室で一番馴染みのある和の部屋へと入室する。

 

「おー、これはまた豪勢な。おっ! 我が長年の夢だった黄金酒ちゃんもいるねぇ!」

『来たか。ほれ、とっとと座れ』


 いつもと違って三つも置かれたちゃぶ台に並んでいた、明らか豪勢な食卓につい涎が出てしまう。

 食い切れるかどうかが逆に心配になってしまうほどの量。どうやらよほど盛大に祝ってくれるつもりらしい。

 

 ただでさえ上等だったのに更に格別な食事。

 そして長年の夢だった黄金の酒。


 いやー嬉しいねえ。この世の至福ってのはまさにこのことか。

 これで理想の女もいれば完璧なんだが、無い物ねだりは仕方ない。

 それでも今夜はここに来てからの中でもまさしく最上なのだから、今宵は素晴らしい一時としてこの馬鹿な頭にも残るだろうさ。


『さて、いただきますをする前に一つ話がある。非情に重要で、そして我らの本題とも言え──』

「いただきまーす! ……えっ、もしかして駄目だった感じ?」

『……まあ食べながらでもいい。その代わり酒はまだやめろ。大事な、話だ。お分かり?』

「ああ、お分かり。もちろん」


 しらーっと目を細めてくるミニDディーにちょっとだけ申し訳なく思いつつ。

 けれどもお腹はもう限界だったので、もう一口だけ食べてから手を止め、ひとまずは話を聞くことにする。

 爺さんは食べててもいいとは言うけれど、正直そういう感じで話す雰囲気じゃないんだよね。だからまあ俺とて空気は読もうかなって。


 というわけで一つだけパクッと。

 ……美味っ! やっぱ一バトル終えた後は肉だわっ!


「で、何? こんな改まっちゃって話すことなんてあるわけ?」

『端的に言うとじゃな。これが最後の夕食になる、というかなった』

「え、なんで? まさかついに食量が尽きたとか? 確かあー……半自動空想生産みたいな、そんな名前のやつで賄ってるんじゃなかったっけ?」

『違う、そうじゃない。そういう方向性ではあるが、そういう次元の話ではじゃないのだ』


 恐るべき死活問題につい驚いてしまったのだが、どうやら俺の推測ははずれのようで。

 しかし次元違いの食糧難、ねぇ。

 いつかどこかで『実質的に無限じゃ!』とか誇らしげに語ってたくせに終わりが来るとは、やはり永遠なんてものはどこにもないということか。……何年ここにいてもまったく歳取らない俺が言うのも滑稽な気がするけどさ。


『約束の日が、終わりがついに来てしまったのじゃ。君がこの工房を去らねばならない、その時が』

「……まじ?」

『大まじ。時間にして凡そ十二時間。食べて寝て、軽く準備したら出発じゃ』


 唐突すぎる終わりの宣告につい聞き返すも、ミニDディーの答えが変わることはない。


 たちの悪い冗談の類……ではないだろうなぁ。

 というかこいつ、思い返せばそういう冗談の類を自発的に言ったことはない。何でもそういう風に作られているらしいよ、使い魔とか軽く勉強してみたけどよく分からずに終わったけど。

 

「……そういうのってさ、もうちょっと早く告知とか出来なかったわけ?」

『そこは非情に申し訳ないと謝る他ない。俺としても、こう急になるとは想定外だった』

「よせやい。頭なんか下げられても仕方ねえって、まじで」


 殊勝に頭を下げてくるミニDディーに、俺は慌てて謝罪を止めさせる。

 反応からして前から知っていたのを黙ってたとかではないんだろう。だったら謝られても迷惑だし、そもそも責める気とかないんだからそんなに落ち込まないで欲しいなって。

 けどそっかぁ。ついに終わっちまうのかぁ。そう考えたら途端に名残惜しくなっちまうなぁ。


「あー、ついにと言うかようやくと言うか。そっかぁ、終わりかぁ」

『本来ならまだまだ足りぬ。確かに君は見違えたが、それでもまだまだ不安が残る。本来ならばもう二つほど上の難易度を達成してからでなければ安心して送り出せん』

「うへぇ……。あれより上があったの? あの竜滅茶苦茶強くて、ずっとぼこぼこにされまくってたのに?」

『当然じゃ。あれは理屈上、人類最強まで育てられるように作られたシミュレーター。あれではまだまだ道半ばに過ぎぬわ』


 自慢じゃないが、一応竜も狩れるようになった俺は結構強くなった自負がある。剣だけじゃなく他の武器もそこそこに。

 魔法はまあ……強化がミニDディーも褒めてくれる程度で、後は日常生活を助ける程度には使えるほど。

 そしてなんと言っても究極の馬鹿じゃなくなった。どれくらいって言われれば、恐らくちょっと悪どい商人に勘定を誤魔化されることはなくなるであろうってくらいには。

 

 そんなどこに出しても恥ずかしくない……かもしれないこの俺だが、それでもまだ足りないというのかこの爺さん。欲張りだなぁもう。

 一体どんだけの強敵と戦わせようとしているのだろうか。思えば細かい事情とかはほとんど話してくれないんだもんな。俺じゃなかったらキレてるね、俺もだいぶ前にキレてたわ。


「……そんなにこれ解くのって難しいの?」

『当たり前じゃ。あの金髪のエルフは竜などとは比較にならん。今の君じゃまるで歯が立たんだろう』

「うっへぇ」


 痣の位置を指で指しながら聞いてみれば、ぐうの音も出ない即答でまいってしまう。

 まじか。あの露店の美人さんはそんなにも恐ろしかったのか。おっぱいが柔らかかったことと良い匂いしか記憶にないんだけど。

 

 ……うーん駄目だ、正直想像付かない。

 とんでもな魔法とか使うんだろうか。それともあれで剣技の天才とかだろうか。或いはその両方、それ以上か。

 まあ綺麗な華ほど棘があるってかのスゲーナ・ウソダケドも言っていたもんな。一旦納得で呑み込んでおこう。


「……そういうの聞かされちゃうと出ていきたくなくなっちゃうなぁ。正直な話、ここ手放したくないくらいには快適すぎるんだもん」

『まあ鍛えずともその日までは寛げるようにと創られたからな。そう言ってもらえるなら本望ではあるが、まあ期日は期日なので仕方ないと諦めろ』


 ちらちらと出ていきたくない感を出してみるも、逆に無理だと釘を刺されてしまう。ちぇ。


『まあそういうわけじゃ。なに、あと半日くらいは猶予がある。せいぜい気持ちの整理をしておくんだな』

「なんか軽くない? ……まあいいや。あんたが事ある毎に言うもんだから、不思議と簡単に呑み込めちまってる俺がいる。言い聞かせるって意外と効果的だよね」


 そう。それが自分でもびっくりしている部分。

 長く居たからか魂レベルに馴染ん第二にしてついの自宅と呼びたいこの大工房。そんな場所から出ていけと宣告されたというのに、何故かそこまで嫌だと思っていない自分がいたりするのだ。


 やっぱり俺も本物の太陽と空気が恋しくなっていたのかもしれない。それっぽいのはここにもあるけど、やっぱり本物のお日様とは思えなかったからさ。

 ああでも、飯やシャワーやベッドが昔に戻るのは結構というかめっちゃ辛い。更にはここの美味しいお酒たちともお別れかと思うと泣いちゃうそうだ。

 

「しっかし偶然ってのは怖いもんだ。いつまでここにいるんだろうって、そんなことをまた考え出したのがついさっきだったんだぜ?」

『そうかい。ならばトゥール、君は案外そういう鼻が利くのかもな。実際君の勘には目を見張るものがある。もしかしたら、この工房での日々で鼻開いた才能なのかもな』

「偶然だよ偶然。なあそれより話は終わり? 早くしないとせっかくの飯も冷めちまうし、この黄金酒ちゃんが早く飲んでーって俺を熱烈にラブコールしてくるんだけど」

『……ほんとにこいつは。まあ、だからこそでもあるか。認めるのは癪だけど』


 大丈夫そうなので、話はこれで終わりだと待ち望んでいた黄金のボトルに手を伸ばす。

 まあ今日で終わりなら仕方ない。最後にこの黄金酒を飲めるという自らの運命と成長に感謝しつつ、今という瞬間を楽しまなきゃ大損ってもんよ。

 

 飲めや食せや、思い残すことなく盛大に。

 それでこそ、この最後の晩餐には相応しいってね?


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