#021 デッテユ~
「幻獣を連れた異国人ですが、どうやら
「殺し屋だと!? そんなヤツが何故、こんな辺境に?」
「憶測ですが、ギルドで問題をおこし、国にいられなくなったのかと」
「そういえば所持品はどうした?」
「連中は、知らぬ存ぜぬでした」
「そうなると、素性を隠すためにわざと処分したか、あるいは隠したか……」
「これ以上かかわるのは危険と思われますが、いかがしますか?」
「引き続き探らせろ。しかし刺激はするな! 殺し屋なら、何か利用できるやもしれん」
*
「そろそろか……」
『ん~』
早朝、早くも走り蛙の卵が動き出した。孵るのが早すぎる気もするが、この手の卵は大抵『適切な環境で魔力を貯め込んだら孵る』ものらしい。
「ヨ、よ、余、よし…………吉田…………義男……。ダメだ、ヨから離れられない」
『ん??』
眷属化に失敗するにしろ、孵るなら育てるまで。必然的に名前が欲しくなるところだが、どうしても"ヨ"から始まる名前を基準に考えてしまう。
「つか、ほんとうに青だよな? 緑は、いや、ダメって事はないのだが」
また少し魔力を送ってやる。あまり多くても吸収しきれないので、加減してコツコツ送って、ようやく今って感じだ。
「3体目だから、ミ、ミッシー、ミッキ…………って! なんか悪化している気がする」
『ん??』
そういえば初代相棒を入れたら4体目だし。ますますヨから離れられない。
「おっ! 生まれるのか??」
「kekeke……」
卵にヒビが入り、丸い独特の手? が見える。
「頑張れ! もう少しだ!!」
『キキッ!』
「ke……ke……」
ヨシ! 青いぞ! 最悪のパターンは回避できた!!
「たしか、手伝っちゃダメなんだよな? もどかしい……」
『ん~』
あれ? 手伝った方がいいんだっけ? とりあえず走り蛙は放置だったので、そのやり方にならう。
「ke……ke……kerrooon!!」
「おぉ、生まれた!!」
『ん~~~』
「おっと!」
ここまで手伝わずに見守ってきたが、割れた卵の殻が帽子になり、さらに下の殻から足が出ていたので、思わず排除してしまった。
「kero……」
「いまさらだけど、オタマジャクシじゃないんだな。まぁいいや、俺がオマエの親だぞ。分かるか?」
「detteyuu」
『ん!』
「あぁ、そうだ、"コレ"」
血と共に魔力を与える。この魔力は卵時代から送り続けたものなので認識できるはずだ。
『ケロォ??』
――――眷属が追加されました――――
「ヨシ! 成功だ。えっと、お前の名前は…………そうだ、
『ケロ~ン』
・眷属:カエデ レベル1
体 力 :20
魔 力 :10+10
筋 力 :15
防御力:5
理 力 :10+10
精 神 :10+10
敏 捷 :15+8
技 能 :5
「よかった、気に入ってくれて。もし、ヨ…………いや、なんでもない」
『『????』』
無事、新たな眷属を得たわけだが(キヅキの時から何となく察していたが)、やはり眷属にはいくらか魔力を供給するもののようだ。これは追加の魔力供給とは別で、常時、少量の魔力が流れている。これが眷属との繋がりであり、ステータスボーナスになっているのだろう。
ゲーム脳で解釈すれば、眷属はコスト制であり『大量の走り蛙を眷属化して……』みたいなのは難しそうだ。とはいえ、あえて眷属化しない手もある。例えば孵すところまで手伝い、あとは群れのボスとしてカエデに率いてもらうとか。
『ヨ……、ヨ……』
早くも歩き出すが、さすがによちよち歩きだ。
「そうだ、靴! 靴をつくろう!!」
飼育下の走り蛙は、足を守るために蹄鉄がわりの靴を履かせる。そういえばニンジャスーツも改良予定だったし、纏めてやってしまおう。
『デッテユ~』
こうして新しい眷属、走り蛙のカエデが仲間に加わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます