#014 ファイナルドラゴンテールの伝説

「あぁ、だからガインには…………"コレ"を託そうと思う」

『こ、これは!?』


 小屋には、昨夜キヅキの検証で作った木製武具が多数保管されている。残念ながら植物や複雑な構造物は作れなかったが、おかげで単純な構造物なら3Dプリンターのように何でも作れるようになった。


「練習ついでに作った伝説の装備の模造品だ。ただの木だから本来の力は宿っていないが、形だけは本物と遜色ないはずだ」

『おぉ、す、すげぇ! なんてカッコイイんだ!!?』

『これが、伝説の??』

『過剰装飾な気もしますが、なにか魔法的な意味があるのでしょうか??』


 目を輝かせるガインに反して、女性陣は懐疑的な視線を向けてくる。まぁたしかに木製なので輝きは無いが、ちゃんと童心こころの目で見れば、良さは理解できるはずだ。


「こっちはファイナルドラゴンテールの伝説のレジェンドソードで、こっちが勇者王シリーズ、これは霊刀鬼斬りで、こっちは神剣ゼミ。あ、これは……。……」

『おぉ、カッコ良すぎだろ! いい加減にしろ!!』


 ゲームやアニメに出てくる装飾過多の装備に、修学旅行のお土産として定番の龍などが巻きついた謎の剣たち。これらは実際に振るうには適さないかもしれないが、とにかくカッコイイ!


 とはいえ、さすがの俺もコレを振るおうとしたところで我に返り、慌てて小屋に封印する事となった。しかしガインなら! この良さを理解し、なおかつ使ってくれるはずだ。


「ここにあるものは自由に使っていいから…………戦士、いや、勇者ガイン!」

『お、おうッ!!』

「おまえに、この猟師小屋とりでの防衛を任せる!」

『へっ! まかせてくれ!!』

『『…………』』


 おい外野、冷たい視線を向けるんじゃない! 我に返って恥ずかしくなるだろ! 俺がっ!!


『えっと、お言葉ですが、まだガインには……』

「あぁ、無理は承知だ。しかし、だからこそいい」

『『??』』

「ガイン、勇気と無謀は別物だ。未熟な今だからこそ、勝てない相手を見極め、退く判断力と、折れない精神を磨け」

『お、おぉ!』

「真の勇者は、己のプライドのために戦わない。逃げたっていい、負けたっていい。ただし、大切なものを守るとき、躊躇なく命を賭ける。それが勇気であり…………その中で、一筋の奇跡を掴み取る地力を持つ者こそが! 真の勇者なんだ」

『あぁ、俺! やるよ! 真の勇者に、なってみせる!!』

『『………………』』


 キマったかな? 大半がアニメの受け売りだけど、子供の目標ゆめなんてコレで充分。将来を意識し、手足を突き動かす何かがあれば、それでいいのだ。




 こうして俺は、ガインの心をガッチリ掴み。歴史に名を遺す大英雄を生み出した。(かもしれない)

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