第4話 ダブルメスガキ配信

アルマと一緒に僕のチャンネルで配信を行うことにした。

アルマの言動はネット上で見たいわゆる「メスガキ」とよばれる少女によく似ている。

本来人を煽る行為は配信上で逆効果になることが多いが、何故か日本では美少女が煽り行為を行うと途端に好印象になってしまう。

過疎地過ぎてまともにダンジョン運営が出来ないのなら、アルマというキャラクターで売り出すしかないと思ったのである。


「ほんとにあたしも画面にうつんの?」


「さっきテストしてみて映ったから大丈夫」


物質変化はあくまで性質を変えるだけで、アルマに実体を与える事はできない。

今回行った変化は、アルマの魔力に色を付けることで一般の人でも一時的に見えるようにしている。

アルマは僕よりも10cmほど背が高く、赤色の髪と紫色の目をしている。

容姿は非常に可愛らしく、口さえ開かなければ誰もが振り向く美少女である。

種族は淫魔で僕の種族である魔人とは近縁の種族らしい。

体とはアンバランスなほど大きな胸は、淫魔という種族の大きな特徴の一つだそうだ。

他にも背中が隠れるほどの黒い羽と先端がハートの形をした尻尾が生えている。


「それじゃ始めるけど、私の口調をアルマに合わせて喋るから気にしないでね」


「口調?あんたあたしにあこがれてんの~♡しょうがいないわね♡」


自信を取り戻したメスガキは放っておいて、配信のボタンを押すことにした。

配信のタイトルには「メスガキ企画!二人のメスガキと共にダンジョンで配信しま~す♡」と書かれている。


:なんだこのタイトル!?

:急に配信が始まったと思ったら、推しがメスガキになってたでござる

:いつもののじゃ口調じゃないユリア様だと・・・?


「どうも、ユリアちゃんで~す♡今日は久しぶりに配信をするよぉ♡」


:なん・・・だと?

:ここにきてキャラの方向転換は草

:まじか・・・

:これはこれでありだな

@ロリコンニキ:メスガキのユリア様もいいなぁ

:ロリコンニキ一旦落ち着くんだ・・・


「今日は山奥の地名も載ってない秘境のダンジョンに来たよぉ♡」


:何処!?

:ユリア様とうとう壊れたか・・・

:ダンジョンの運営に疲れて壊れちゃったんだよ


「なぁに?ザコおじさんのくせにわたしのことバカにしてるぅ?」


:ユリア様に罵倒されるのもいい・・・

:そのままざぁ~こって言って罵ってくださいお願いします!

:変態がいて草


「ざぁ~こ♡ざぁ~こ♡おじさんたちバカにされて喜んでるんだぁ♡」


:これは分からせがいのあるメスガキ

:今まで健全だったユリア様のファンアートが一気にメスガキに変わりそう

ひよこ@イラストレーター:もう描いてます!

:神絵師と呼ばれているひよこネキ!?

:神絵師もユリア様の配信見てるんだなぁ


「今日はユリアちゃん以外にもう一人紹介するよぉ♡」


「このダンジョンの管理をしているアルマちゃんでぇ~す♡」


するとアルマが配信の画面に映し出された


「ユリアここに話せばいいの?」


「そうだよ」


:素の声が入ってて草

:アルマちゃん頑張れ!

:二人ともカワ(・∀・)イイ!!

:これはサキュバスのコスプレか?

:いや淫魔という可能性も


「こほん・・・」


「あんたたちこんな配信をみるなんて暇なのぉ♡このロリコンの変態さ~ん♡」


:美少女に罵倒されるのってなんでこんなに良いんだろう・・・

:こっちのメスガキは天然物のにおいがする

:天然のメスガキとは・・・?


「まぁあたしはこのダンジョンに人が来てくれればどうでもいいけどね♡」


「あたしはユリアと同じダンジョンを操作できるのぉ♡といってもあたしの方が先輩だからあたしがユリアをこき使ってるんだけどね♡」


「はぁ!?わたしがアルマの世話をしてるんですけどぉ」


:二人目だと!?

:なんだこの情報量の多い配信は・・・

:これは配信業界だけでなく探索者協会も荒れるぞ

:この二人の絡み良いな・・・

ひよこ@イラストレーター:メスガキのユリア様のラフ描き終わったんで、アルマ様も描きますね

:ほんとだ、もうアップしてる・・・

:5分で描き終わるとか、仕事が早すぎて草


「そうだ!アルマもこれから配信するようになるから、ザコおじさんたちも登録よろしく♡」


:これは良いことを知った

:チャンネルあるの!?

:登録しなきゃ・・・


「まずは質問コーナーから始めま~す♡今日はわたしじゃなくてアルマに質問してね♡」


:年齢

:今後の方針

:趣味

:アルマちゃんの種族


「いきなり女の子に年齢聞くなんて下僕のくせに生意気でしょ♡」


「あたしの年齢はひ・み・つだからあんたたちには教えてあ~げない♡」


:アルマちゃんのひ・み・つのときの声良すぎでしょ!

:性癖を刺激してしまった・・・

@ロリコンニキ:やばいなこれは・・・

:ロリコンニキがアルマちゃんに乗り換えようとしてて草

:アルマちゃんの下僕呼びもいいな


「次は今後の方針かぁ、とりあえずあたしのダンジョンをあんたたちでいっぱいにしたいかな♡」


「そしたらあたしの正式な下僕にしてあげる♡」


:行かなきゃ・・・

:でも場所が分からないでしょ?

:ユリア様、アルマちゃんのダンジョンはどこにあるの?


「しょうがないなぁ♡わたしがザコおじさんのために教えてあげる♡えっとぉ♡長野県のこの辺かな♡」


配信画面にマップアプリを表示し、指を指した。

アルマのダンジョンは昔集落があったところにあるため、一応道路も舗装されている。


:めっちゃ森の中で草

:一応バス使って残りは歩けば行けなくも無いか・・・

:車あるから行ける!

:長野住みのわい大歓喜


「次は趣味?あたし普段はゲームしかしてないかな」


「まぁあたしゲームつよつよだから、下僕には負けないんだけどね♡」


:これはわからせたい

:ほう、ならば戦争だ

:対戦よろしくお願いします

:これは良い悲鳴が聞けそうだ


「はぁ!?負けないんですけど!ス〇ブラもNPC相手ならレベル9もよゆーなんですけど!」


「明日配信で下僕達をボコってあげるから、しょうぶよ!」


:よし来た!

:メスガキ分からせ配信キタコレ!

:ス〇ブラ全国9位のわい行きます

:ガチ勢いて草


「最後にあたしの種族は淫魔よ、特徴はこの羽と尻尾かしら?」


:いやもうひとつあるでしょうに

:メロン・・・いやスイカだな

:背が低いのに胸だけアンバランスすぎる


「えぇ♡下僕たちそんなにこの胸に興味あるのぉ♡この変態のロリコンさん♡」


:えっど・・・

:画面に近づいただけでこの迫力は凄すぎる・・・

:一方ユリア様の胸は・・・

:まだ成長途中だから・・・

:ユリア様は貧乳だからいいんだろぉ!?


その後アルマと一緒に一時間ほど雑談をすることにした。

普段は一人で配信をしているため、こうして誰かと一緒に配信をするのはとても新鮮な気持ちになる。

今後は他の配信者とコラボ配信をするのもいいかもしれない。


「それじゃザコおじさんたちバイバ~イ♡」


「下僕達まったねぇ♡」


:神配信だった

:これは伝説のメスガキ配信だわ

ひよこ@イラストレーター:お疲れ様

@ロリコンニキ:ユリア様、アルマちゃんさよなら

:またメスガキ配信してほしい


配信を終えて、配信機材を片付けていると、突然後ろからアルマが抱き着いてきた。

その時アルマの胸が背中に伸し掛かってきたが、なんとか平常心を保つことに成功した。


「ありがと、ユリアのおかげで助かったわ」


「まぁネロに頼まれたからね」


「あんたのことは特別に下僕じゃなくて、友達にしてあげるわ♡」


「はいはい」


そして無事に配信を終えて家に帰った。

するとなぜか美春さんが「お姉ちゃんとコラボするのが先でしょ!?」と泣かれてしまったため、後日美春さんとコラボをすることになってしまった。

いつのまにか由香里にも美春さんとコラボをすることが伝わっており、特別ゲストとして由香里も登場することになった。

果たして次の配信は無事に乗り切れるのだろうか、それだけが心配である。


ちなみに配信でメスガキを演じたが、長年のじゃ口調を演じてきたおかげであまり恥ずかしくなかった。

配信をすることで心が成長できたのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る