第19話 ストーカーの幼馴染VSロリコンの義姉
由香里の圧に屈してしまい、もう一度自宅のマンションに帰ってきた。
そして案の定由香里が美春さんに嚙みついてしまい、現在僕の部屋は修羅場と化している。
「美春だっけ?ユリアの姉を名乗っている不審者というのは?」
「あなたこそユリアちゃんとどういう関係なのかな?」
あまりの圧から由香里の背には怒り狂った鬼、美春さんの背にはにらみを利かせた竜の幻覚が見える。
「ユリアちゃんと私は正式に家族になっているんだから、姉を名乗るのは当然のことだよ?」
「むしろあなたの方がユリアちゃんに近づくストーカーの不審者なんじゃないかな?」
「ぐ!痛いことを」
悔しがる由香里を見ながら、美春さんは勝ち誇ったような表情をしている。
「だったら、私もユリアと家族になるよ!」
「それは難しいと思うよ?だってユリアちゃんの戸籍を持っているのは私の両親なんだから」
「ふ、美春は姉という立場に満足してしまい、致命的なミスをしてしまった」
「そ、そんなものあるわけないよ」
「ユリアと家族になる方法はもう一つある!」
「それはユリアと結婚すること!」
いきなり由香里がとんでもないことを口走った。
だが美春さんは何故か一切うろたえていない。
「ユリアちゃんは女の子なんだから、日本の法律じゃ同性婚は出来ないんだよ?」
「そこは大丈夫」
「ユリアが良ければ明日にでもアメリカに行って、同性婚をすればいいんだ
から!」
すると美春さんは由香里の言葉を聞いて、はっとしたように落ち込んでいる。
「そ、その手があったのか・・・」
「み、美春さん?」
「ユリアちゃんは今17歳、来年には成人だからアメリカに行けば合法的に結婚できる・・・」
「そしたら金髪のロリっ子と合法的に結婚できるじゃん!」
だめだこの変態、早くなんとかしないと・・・
「どう!?美春はもう姉になってしまったんだから世間的にも結婚できないでしょ!」
「ぐ!私の家庭の世間体も武器にするなんて・・・」
その時料理コンテストを終えた愛理さんが部屋に入ってきた。
「美春さん?部屋にいなかったのでいつものようにユリアさんの部屋にいらっしゃ・・・」
「「あ・・・」」
「し、失礼します・・・」
愛理さんはこの状況を確認すると、そそくさと帰ってしまった。
それより愛理さんの口からとんでもないことを聞いた気がする。
美春さん、僕がいないときに部屋に勝手に入って何かしてたのか?
これは問いただす必要がありそうだ。
「美春さん?これはどういうことですか?」
「そ、その・・・」
「私がいないときに部屋に入って何をしていたんですか?」
「な、何も」
「正直に答えないと、絶縁します」
「嫌!それだけは・・・」
「では正直に話してください」
「ユリアちゃんのベットのシーツとか服の匂いとかをね」
「本当にたまになんだよ?少し嗅いでみたり、口に含んでみたり・・・」
うわぁ・・・まじか
以前から変態だとは思っていたけど、ここまでとは・・・
美春さんのイメージが少し変わり者のお姉さんから、ただのロリコンの変態にランクダウンした気がする。
由香里も美春さんの行動にさすがに引いていた。
「ユリア、こんな変態なんて捨てて私と一緒に海外に行こう?」
「ユリアちゃん、もうしないから見捨てないで・・・」
この場がさらにカオスな空間に代わってしまった。
二人とも癖のある性格をしているが、僕にとって大切な存在には変わりない。
この状況を好転させる一つの方法。
僕は苦渋の決断の末、あることを実行することにした。
「美春姉、由香里姉喧嘩しちゃヤダ・・・」
僕は精一杯の上目遣いをしながら、二人に訴えかけた。
「二人とも私の大好きなお姉ちゃんなんだから、仲良くしてよ!」
やばい、恥ずかしすぎる・・・
見た目が幼いとはいえ、中身は普通の男子高校生だ。
アニメに出てくるような美少女の妹をイメージして振舞ったが、実際にやってみると恥ずかしすぎて二度とやりたくないと思える。
「「ぐは!」」
すると何故か二人とも謎の血を吐きながら倒れてしまった。
「二人とも大丈夫!?」
「「尊い・・・」」
それから2時間もの間二人が気絶してしまった。
最終的に二人とも姉になることを条件に、何とかこの場は治まった。
「そんな事態になっていたんですか・・・」
「愛理さん先ほどはすみません、せっかく来たのに」
「結局由香里さんも美春さんも、最終的に仲良くなって良かったですね」
「はい、今は私に似合う服を探しに行くとかで、一緒に買い物に行っています」
「お二方とも有名人なので、大騒ぎにならないといいんですが・・・」
「大丈夫ですよ、一応変装はしているので」
「くしゅん!」
「美春大丈夫?風でも引いた?」
「ううん、大丈夫誰かが噂でもしてるんじゃないかな」
「それより見つかった?ユリアに似合う服」
「まだ、サイズはなんとなく分かるから問題ないけど」
「何その無駄な能力、ちなみにその能力って私のも分かるの?」
「なんとなくかな、上から86、58、80とこんな感じ?」
「うわ、大体合ってる・・・」
「というよりユリアちゃんあんまり服が無いんだよね」
「あんなに可愛いのに勿体ない」
「これは今度の休日にがっつり洋服を買いに連れていこう」
「そうだね、これは姉として腕の見せ所だよ」
かくしてユリアに二人の厄介な姉が出来てしまった。
この先ユリアがこの二人にかき回される日常を送ることになるだろう。
ユリアはそんな事実を知る由もなく、今日ものんびりダンジョン運営を始めるのだった。
第一章はここまでになります。
今後も出来る限り投稿を続けていきたいので、よろしくお願いします。
投稿主はイラストも描いているので、余裕があれば近況ノートの方にキャラクターの挿絵を掲載したいと思います。
そちらもぜひぜひ見ていただけると幸いです。
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