第16話 料理コンテスト開幕!

今日は料理コンテスト当日、会場には大勢の生徒が集まっていた。

あれから2週間もの間、みっちりと料理の練習をしてきた。

後はこれまでの練習を信じて、実力を発揮するだけである。


「これより、第87回東京探索者女子高校の料理コンテストを開始します!」


「司会は私、全大会で予選1回戦で敗退した、学校で1,2を争うほど家事が下手な相田あいだ彩香さやかが担当します!」


彩香さんがそう言うと生徒の中から笑い声が聞こえた。


「ん?今笑った人いましたね!?いいじゃないですか!私家事は下手でも司会は一流なんですから!」


「こほん!さて少し脱線しましたが、本題に入りますね」


「今年でこの学校は無事に100周年を迎えました、今回はそれを祝して特別ゲストをお呼びしています!」


彩香さんがそう言うと、審査員席の赤いカーテンが上がった。


「一人目の方は、この学校のOBにして現役のAランク探索者である、ひかりさんです!」


彩香さんの紹介と同時に生徒側から大きな歓声が上がった。


「ひかりさんはソロ探索者ながら、数々の高難度ダンジョンに挑戦し生還してきた実力者でもあります!」


するとひかりさんにマイクが渡される。


「皆さんはじめまして、いやこんひかり!の方がなじみ深いかな」


「配信者兼探索者をやっていますAランク探索者のひかりです、今日は盛り上がっていきましょう!」


「ひかりさんありがとうございました!」


「続いてこの学校の前学長にして元Aランク探索者の桑田くわた源次郎げんじろうさんです!」


すると3年生の席から大きな歓声が上がった。


「源次郎さんは一昨年までこの学校で学長をしておりましたので3年生の方はなじみ深いんじゃないでしょうか」


そしてひかりさんと同様に源次郎さんにマイクが渡される。


「みなさんお久しぶりですね、今回は審査員としてここにいますが、一昨年までは学校側の席に座っていたので懐かしく思います」


「今日のコンテストを楽しみにしていましたよ」


「源次郎先生はもともと名家の執事をしていた影響で、とても紳士かつダンディな方です」


「生徒の中にはファンになった人も多いのではないでしょうか!」


「そして最後にスペシャルゲストをお呼びしました!」


「この学校に在籍している生徒なら知らない人はいない!そう断言できるほどの実力者!」


「最年少にしてSランクに到達し、30年前から未踏破だったダンジョンを制覇した伝説の探索者!」


園部そのべ由香里ゆかりさんです!どうぞ!」


すると今までにないほど生徒達から歓声が上がった。

そして僕も非常に驚いている。

というか、由香里がなんでここにいるんだ・・・?


すると由香里にマイクが渡された。


「みなさん初めまして、今日は初めての体験をするために来ました」


「私自身高校にほとんど行ったことが無いので、とても新鮮な気持ちになっています」


「えぇ~由香里さんはSランクとして非常に多忙ながらも、何故かこの学校のコンテストに来てくれました」


「学校側も非常に困惑しております・・・」


「それでは審査員の紹介も終わったところで、まずは予選を初めていきましょう!」


「始めに予選の説明をしますね!予選はこの学校の前生徒が参加するもので、8ブロックに分かれてトーナメントを行います!」


「今回、大会に参加する生徒は400人なので一ブロックは50人ずつになります!」


「なお、人数が多いので今回来ていただいたゲストが審査するのはそれぞれのブロックを勝ち抜き、上位4位以内に入ったものとします」


「上位4名以外の生徒の審査は生徒の中から抽選で選出しますので、同じ人が続けすぎて料理が食べきれなくなることはないのでご心配無く!」


「そして見事各ブロックで上位4位以内に入った人は、明日に開催される本選に参加していただき、最終的にこの学校の料理王を決めたいと思います!」



トーナメントは2人のシードを除いて、48人で行うことになる。

このシードは前大会で本選に進んだ人が選ばれるため、初めてこの大会に来た生徒でも本選に出られる可能性があるのだ。

一試合4人ずつで行われ、トーナメント上は最後に3人だけが残る。

そして決勝前に行われるシードの一騎打ちにより、最終的に4人の人たちで決勝を行う仕組みだ。

僕はBブロックに配属され、一番の強敵だと思っていた愛理さんは別のブロックに配属された。

それから僕は練習の成果を生かし、順当に勝ち進んでいった。

この大会は昔、料理王をいかにして取るかで、どれだけ裕福な男性に嫁げるかが決まっていたためとても殺伐としていた。

今はとてもカジュアルに参加できる大会になっており、生徒の中には数品しか作れない生徒もいたため、コンテストが始まる前の心配は杞憂に終わったらしい。


そしてついに予選の決勝にまで残ってしまった。


「さて、Bブロックもいよいよ決勝になりました!」


「すでにこちらの4名は明日の本選に出場が確定していますが、一人づつ紹介していきましょう!」


「まずは料理研究部副部長の塩田しおためぐみさん!彼女は普段から和食を作っていましたが、今回はなんと洋食のみで勝ち進んで来ました!」


「やはり全大会の準優勝者は違いますね!これも勝者の余裕という奴なのでしょう!」


「続いて1年生ながらも、その料理の腕は本物!?今回初出場の橋田はしだ京子きょうこさん!」


「彼女も洋食のみを作って勝ち上がってきた実力者です!」


「続いて、全大会惜しくも予選ベスト8で敗退してしまった神田かんだ沙耶さやさん!」


「今回はしっかりと仕上げてきたようで、無事に本選に進出を果たしたようです!」


「最後にその小さな体と愛らしい姿!転入して早々コンテストに参加することになったにもかかわらず、ここまで勝ち進んできたユリア・フィールさん!」


「ユリアさんはダンジョンで呪いを受けた影響でこのような体になってしまいましたが、年齢は私と同じ17歳です!いや年齢詐欺でしょ!?」


「それではBブロックの決勝を始めたいと思います!」


そして波乱のBブロック決勝戦が始まった・・・


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