第10話 階層を追加してみよう
ダンジョンマスターになって1か月経過した。
以前新たに召喚したシルバーフォックスは探索者の間で話題になっており、ダンジョンに訪れる人が増えた気がする。
おかげで順調にDPも増えているため、ようやくダンジョン運営が軌道に乗り出したと言えるだろう。
「そろそろ1階層だけじゃ
このダンジョンは何故か1階層しか存在せず、かなり浅いダンジョンだ。
ダンジョンの1階層はかなり入り組んだ構造をしているものの、面積でいえば学校の体育館2つ分くらいの広さしかない。
そのため時々冒険者の間で戦闘中に衝突してしまうことがあった。
他にも魔物を上級者が狩りつくしてしまい、初心者が素材の美味しい魔物を倒せないことも多い。
ダンジョンは階層を進むごとに広くなっていくため、今後は初心者用の1階層と上級者用の2階層として分けた方が良いのかもしれない。
「階層を追加するには・・・これか」
ダンジョンのモニターにはダンジョン拡張機能と書かれた画面が表示された。
ダンジョン拡張機能
2階層の追加 2000DP
ダンジョン内に新たに2階層を追加する。自然消費DP増加。
階層の進化 3000DP
階層を進化させ、資源の産出量を増加させる。
階層の属性変化 3000DP
階層に属性を追加し、同族性の魔物を活性化させる。
活性化した魔物は素材が強化される。
産出資源追加(
ダンジョンに新たな産出資源を追加する。
いや高すぎでしょ・・・
ちなみに1か月ダンジョン運営を頑張った成果がこれである。
渋谷ダンジョン Lv2
最深部 1階層
所属魔物:スライム、シルクワーム、レッサーウルフ、シルバーフォックス
産出資源:鉄、銅
DP 3018
SP 0
ダンジョン特性
複数召喚
現在固定で消費されているDPを差し引いて一日当たり100~200DPほど稼げるようになった。
それでも階層の追加にはDPの半分以上を消費する必要がある。
「このままだと探索者から苦情を言われそうだしな・・・」
まるでソシャゲ内のサーバーの人数が足りないから新たにサーバーを建てろとユーザーから急かされているような気分だ。
階層を追加するとその分維持に必要なDPも増えるため、このダンジョンを設計した人間は実にいやらしいことをする。
他にも階層の進化は産出資源のまずいこのダンジョンでは無意味なのでパス。
次の階層の属性変化は、火属性ダンジョンとかにして属性特有の素材を得るのに使えそうだ。
その次の自働召喚機能は僕が長期で出かけない限り使わないだろう。
最後に拡張機能を使えば産出資源も増やせるらしい。
さすがに消費DPが高すぎて、当分先の話になるだろうが・・・
「よし、追加するか」
僕は「ダンジョン拡張」にカーソルを合わせて、クリックした。
すると部屋が上下に揺れだし、壁がきしんでいる。
しばらくして揺れが収まり部屋を出ると、新たな階層が追加されていた。
「ここが2階層か・・・」
階層の追加と同時に、ダンジョンコアの場所も移動している。
僕は1階層にスライムとシルクワーム、2階層にシルバーフォックスを配置することにした。
シルクワームとシルバーフォックスはどちらも人気な魔物で一番多く倒されている。
特にシルバーフォックスは素材が高価で狙っている人も多い。
だが魔法を使えるため、初心者ではかなり苦戦する魔物だ。
よって明確に分ける必要があるだろう。
レッサーウルフは強い割には素材が悪く、誰も倒そうとしないので今回はお留守番である。
ゆるせ、レッサーウルフ・・・
その後2階層のの維持に必要なDPを計測してみると、1時間当たり2DP消費していた。
つまり合計で1時間で3DP消費するため、一日に換算すると72となる。
まじか、きっつ・・・
代わりに配置できる魔物もかなり増やせるため、今後ダンジョンに訪れる探索者に期待したいものだ。
そしてダンジョンに2階層を追加したことを報告するために配信を開始した。
「みなのもの配信の時間が来たのじゃ!」
:三日ぶりの配信!
:今日はダンジョンについてか
:タイトルから分かる、これは重大な案件だと・・・
「コメントの言う通り、今回は飛び切りの情報を提供するぞい」
:ワクワク
:なんだ?
「なんと、ダンジョンに2階層が追加されたのじゃ!」
:なん、だと・・・
:追加できるものなの!?
:ダンジョン操作のスキルってすげぇ!
「これまでダンジョンが1階層しかなかったせいで初心者と上級者で、たびたび魔物の奪い合いが発生しておったのじゃ」
:確かにあったな
:シルバーフォックスの素材が高価なのが悪いと思うの
:割と好評だよね、あの毛皮
シルバーフォックスの毛皮は繊細で肌触りが良く、
先日シルバーフォックスの毛皮で作られた絨毯が1枚10万円で売られていたのを見たときは驚いたものだ。
「そこで1階層にスライムとシルクワーム、2階層にシルバーフォックスを配置することで冒険者同士の接触を物理的に減らしたのじゃ」
:なるほど
:人気のある魔物を分けるのはいい案だと思う
:やってることが神様なんだけど・・・
:↑神幼女だな
:ユリアちゃんは美少女天使だろぉ!?
「これ、喧嘩するでない、この配信はダンジョンの運営を皆で語り合う場所なんじゃから」
:ごめんなさい
@ロリコン二キ:幼女に説教されるのも良い・・・
:ロリコン二キ名前変えてて草
:ロリコン二キおっすおっす
「それじゃ今後のダンジョン運営について語り合うぞい」
その後2時間ほど雑談を交えながら今後のダンジョン運営について話した。
新たな魔物の追加や一般人に向けた魔物とのふれあい体験など、このダンジョンをさらに人気にするための作戦を視聴者と語り合った。
「今日の配信はここまでじゃ、みなのものさよならなのじゃ」
:ユリア様さよなら
:良い配信だった
:これは神回
@ロリコンニキ:お疲れ様
:ばいばい
配信を終えて追加された2階層を歩き回ってみた。
2階層は1階層の約2倍以上も面積が広くなっており、天井もかなり高い。
ゆくゆくは高さを生かして飛行が可能な魔物も配置したいものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます