第4話
ジメジメとした湿気を含む暑さはまだ続いている。また暑い夏がやって来ていた。フライパンを片手に適当な朝ごはんを作る。三年使い古したトースターからは弱々しい音しか出ない。最初の一年くらいはお弁当を作っていたっけな。結婚して三年、思ってはいけないと分かりつつ、結婚には夢がないなどと捻くれたことばかり考えてしまう自分がいた。夫は二歳年上のしがないサラリーマン。愛情表現は下手くそだし、そんな表現できる量の愛情などもう持ち合わせてすらいなかったのかもしれない。決定的な不倫はできない、私の生ぬるい真面目さがどうも気持ちが悪い。最後に彼に、堀井君に会ったのはいつだろう。気づけば彼は日曜の下北沢から姿を消してしまった。
「行って来ます。」
夫の部屋に向かって言ったが返答はない。きっとまだ寝ているのだろう。日曜は本社に行かなくてはならないと伝えているから、私は今日も日曜日に早起きをする。堀井君のいない下北沢を今日も歩いて、私が毎週楽しみにしていた日曜は今日で終わろうとしていた。
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