第8話 ドワーフの遊び


…夢を見ている。


――爺ちゃんは何で海を描いてるの。

―――俺の全てだからだ。


――仕事とか、趣味とかは?

―――まだ働けって?引退したよ。働きたかったわけじゃないからな。一回まっさらになってみて、そんで俺にはこの海だけになった…違うな、――と合わせて二つになった。


――僕の事も大事なんだ…僕も爺ちゃんが大事。

―――ほら、スケッチブックを買ってきたぞ。絵は好きか?

――爺ちゃんが好きな物は僕も…



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「アシエは大丈夫かな?」


「大丈夫だよ。ねぇ、何で兄さまの方がひどいを怪我してるの?」


「何でだろうね、大丈夫かな?」


「兄さまが…もうダメかも。」


「僕もそんな気がしてきた。」


「「ハハハッ!」」


僕の事を聞きつけて妹が訪ねてきた。

何ともないと強がって見せていた。




『―シエは――を飲んでい―のよ。』

『何――んなの物を?』

『―理を遅―――ためよ。』

『ラ―――のため――?』

『そうし―いと―お側――いれな―った―じゃ――?』


ドアの向こうから聞こえてくる声、アシエを看病していた本邸の女性達の。


「にーに…付いてきて欲しいの。」

妹は甘える時と気を使う時は呼び方が変わる。

僕の分からない情報を知っているのか。


「アシエは本当に大丈夫だよな。」


「それは本当に大丈夫。」




そうして僕たちは屋敷の物置部屋に来ていた。

雑に物が置いてある。


「これをやろう。ルールは教えるから。」


「…なんか見たことあるな?」


「使っちゃダメなんだけど、いい?」


「いいんじゃ?壊したりしないんだろう。」


「うん…うん!」




***


「兄さま、強いよ。」


「…あぁ、これってなんて言う遊びなんだ。」


「リバーシだよ。」

白と黒が表裏になった丸いブロックを決められた陣地に置いていく。

相手の色のブロックを挟んだら自身の色に変える。

――俺の知ってるリバーシだ。


「…兄さま、これは内緒にしてください。レ―ヴァ教はこれをダメだと、母様に迷惑をかけてしまいます。…ドワーフの遊びだから。」


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