さよならは言わないで(2023/12/3)
さよならは言わないでほしかった。
まだ、出会って間もないというのに。
アタシはガックリとうつむいていた。
ランチタイムの公園の地面は、昨日の大雨で、ぬかるんでいた。
「いやぁ……、それはもう、無理でしょ。
残念だけど、仕方がないよ。それはバイバイするしかないって」
公園のベンチに並んで座る友人が、気の毒そうにアタシに言う。
友人の言葉に、アタシはキュッと唇をかんだ。
と、その時。
未練がましく、アタシのお腹がぐぅっと鳴った。
「ほら、私のを半分あげるからさ、元気だしな。
熱いから、気をつけなよ? もう落とさないようにね?」
友人はそう言いながら、それをアタシに差し出した。
小さくお礼を言うアタシの足元には、水たまりに浸かった大きな肉まんがプカリと浮いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます