episode4
私たちは扉が閉まったままの自教室の前に3人で立った。
扉の小窓から見えるクラスメイトはみな久しぶりの友との再会を笑い合って喜んでいる。
笑顔と緊張の境界線にコハクが手をかけた。
私も実はまだ少し怖かった。
小学6年生の記憶がよみがえる。
誰一人私の味方はおらずクラスで孤立した日々。
周りの態度が一変したあの空気は今も脳裏に沁みついている。
しかし、今は違う。
あの時より成長した私だ。
そして、なにより私のことを友達として尊重してくれる人がいる。
弱音を吐ける人がいる。
今はもうひとりじゃない。
コハクの足が震えていた。アカネがそっとコハクの背中にぬくもりを渡す。私もアカネの上に手を重ねる。
私は自ら数年かけて作り上げてきた世界に拒絶された。
拒絶されたならまた作ればいい。私の新たな世界を。
私なら大丈夫。
コハクが扉を開ける。
始まりの音が聞こえた気がした。
君の声は聞こえる 虹都れいん @reintoday
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