No.14

「――回りましたー」

「おお、やっほー」

「安藤さんお疲れ様でーす」

「どーも安藤でーす」

「だっっは…もだめおなかすいた……」

「あっはゆづるちゃん充電切れー!」

「勘弁してくださいよぉ……」

「夕飯どうしようかねー、あ、鶴岡さんが病院帰りにスーパー寄るって」

「ヒルガオどうでした?」

「特に異常なかったって。単にご飯の気分じゃなかったのかな」

「それはそれで心配ですね……」

「あ、でも病院でご飯食べたってさ」

「え?」

「なんだ前と一緒かあ……」

「え??」

「今までも何回かあったんだよねーヒルガオの〝気分じゃないです〟攻撃」

「じゃあ、えっと」

「なんか事情があったんだよ。ヒルガオなりに」

「その結論で、いいんですか?」

「いいというか、これ以外もう考えようがないのよね。考えようにも」

「はあ……」

「まあ無事で何よりね!でご飯どうするの?」

「もー手っ取り早くカレーにしません?」

「お、いいね。ふゆかちゃんそれでもいい?」

「はい。カレー大好きです」

「お、いいねーカレー好き。ナンとか食べる?」

「あるんですか?」

「たぶんでかいスーパー行くと思うから、あるよ。頼む?」

「是非お願いします!」

「おっけー。ゆづるちゃんナンでいいよね?」

「米も炊いていいですか?明日の朝食べるんで」

「いいよー。三合くらい炊いておいて、私も明日おにぎりにしたい」

「わたしがやるのかー……」

「あなたが言い出したのよー」

「言い出しっぺの宿命だよー」

「ふゆちゃん悪乗りしないでよー…―あーッ―しょ、やるか」

「やっちまえー」

「戦いに行くんかなわたしは」

「いけいけどんどーん」

「なにそれ」

「わからん」

「あーどしよ。ふゆかちゃんココアとか飲む?」

「えいいんですか?」

「いーよいーよ。何がいい?ココア、紅茶、コーヒー、牛乳あるからホットミルクとかもできるよ」

「わたしコーヒーで」

「ゆづるちゃん飲めないでしょ」

「だってそうでもしないと寝る!!」

「あら可哀想に背伸びしちゃって。じゃあコーヒーね。ふゆかちゃんは?」

「ココアを……」

「えちょっとまってよ聞き捨てならないんですけど」

「おっけー」

「おーい」

「あ、自分がやりますから安藤さん休んでいてください」

「えいーよいーよ、ふゆかちゃん疲れてるでしょ」

「私はお手伝いしただけですから。安藤さんのほうが作業量も多かったですし、私にやらせてください」

「そう?ならおねがいします」

「はい」

「ふー………………まったく、ゆづるちゃんとは大違いですねー」

「なんですかー?」

「ふゆかちゃんは貴方より年上を大事にできる人だなーと、思っただけですがぁ?」

「ひどいなーあんどーさん私のどこがそんなに薄情に見えるんですかー」

「およそ全部じゃない?」

「え酷くない?!そこまでゆう?!そこまで言っちゃうのふゆかさん?!」

「あっはは!いいぞもっと言ってやれー」

「やめてくれ今のわたしではふゆちゃんの回る口に抵抗できない」

「降参するんだゆづイエロー」

「あら戦隊モノ始まっちゃったわ」

「くそっいつか絶対倒してやるからなぁ!!魔王ふゆか!!そのときま、で!!――待ってろぅ!!」

――炊飯を開始します――

「ただいまー」

「あ、鶴岡さんおかえりなさーい」

「早かったね」

「買うものが決まってたからね。ちょっと荷物任せていい?ヒルガオ戻してくるから」

「分かりました。ゆづどいてくれ」

「あいあい」

―これもう御飯作っていいんだよね?―

―うん。野菜切ろうぜ―

―はーい―

「お二人さんカメラここでいいの?」

―あーだ「めですー、よっ」


「――おけ」

「肘で持ってきたの?」

「うん」

「へー、ちっとどいてくれ」

「はいはい、これも洗って」

「うん」


「二人っていっつもそんな感じで御飯作ってんの?」

「はい、基本は」

「なかなか面白いよ」

「そうですか?」

「うん。面白い。うちのコもいつかそうなってほしいものだよ」

「お子さんいらっしゃるんですか?」

「娘がねー一人。かわいいよ」

「三歳でしたっけ」

「うん。もうどんどんおっきくなってくから親としては嬉しいような淋しいような」

「そう思うもんなんですか?親って」

「そうよー。少なくとも私はねー」

「ふーん」






「イテ」

「え切った?」

「切ってない。滑った」

「やめてよびっくりした」

「めんごめんご」


「なんか手伝うことある?」

「わたしたちでやるんで大丈夫です。安藤さんと座っててください」

「お、じゃあお言葉に甘えて。お疲れ」

「お疲れ様。なにか飲む?あ、ふゆかちゃんごめん」

「えっなにかありました?」

「飲み物飲もって言ったのに、結局準備してもらっちゃってて」

「あ、いーんです全然。ただ飲み物だけは、申し訳ないんですがお願いしてもいいですか?」

「勿論勿論。ごめんねー本当に」

「はーい」

―鶴岡さんこれ持っててください―

―ん?うん―












「玉ねぎオッケ」

「人参を切ってくれ」

「ん。じゃがいも行けそ?」

「よっちゃん」

「はいはい。あの、鶴岡さん」

―んー?―

「お肉ってこれですか?」

―そーだよ。全部使っていいからねー―

「ありがとうございます」

「人参討伐」

「じゃあもう炒めちゃっていいんじゃない、ゆづ鍋は?」

「その棚のいっちゃん手前」

「はーい、あた。油ある?」

「もち、ちょいふゆさんイモ」

「、あごめん切って」

「ういー」








「カメラかっこいいね」

「でしょー、わたしが買ったんですよ」

「どうせ突然買ってきたんでしょ」

「はい。急に喫茶店でこれ出してきて」

「わ」

「いーじゃんか」

「もういいよ」

「うん」

「はは、これ充電大丈夫なの?」

「さっき換えたので大丈夫だとおもます」

「ちゃんと喋れい」

「うぇす」

「あ、そういえばこれゆづの誕生日のときも回してたんですけど、二人共テレビに夢中で誕生日パーティーらしい雰囲気とか一切なくて。しかも電池が切れて変なところで終わるっていう」

「なにそれめっちゃ面白いじゃん」

「もうちょっと誕生日感出したほうが良かったよね?」

「わたしはあれで十分だったけど」

「あそ?ならいいわもう」

「もうこれ炒めね?」

「あ、うん。おねがい」

「え」

「あで油どこ?」

「そこの引き出しだよ」

「ありがとうございます。よし、鍋に火を灯せい」

「おーー」

「……二人って時々すっごい変なテンションになるよね」

「え?そうですか?」

「まさかの自覚がない」

「自覚ない?」

「ふゆさんはあるんですの?」

「うんだいぶ」

「じゃあいいや。片方まともな心保ってたら行けるでしょう」

「うん。もういいよ」

「諦めたよこの子」


「切ろう。危ないよ」

「ね。以上安藤さんと」

「え、わーい」

「鶴岡さんでしたー」

「どうも、ありがとうございましたー」

「鶴岡さん意外とノリがい――」




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