No.3

「――……これでいいのかな…………大丈夫、だね。はい、二本目の翌朝でーす。勝手に三本目とってまーす。えっと、今からもう起きないと仕事に遅刻する、越智おちゆづるさんを撮っていきたいと思いまーす。あ、撮影は山並やまなみでーす。はい。さっき起きたときに起こしかけたのでちょっと怖いけど。……はいでは、入ります、寝室に………………失礼しまーす………ふっ…………寝てますね…………しっかりと………あ、現在時刻が……九時、前ですね………………もう起きないと、午後までに、職場に着けませーん…………ちょっと寝癖やばいな……………」

「……………ん」

「ふっ……………では、起こしていきたいと思いまーす。……越智さん……………朝ですよ……越智さん………………ゆづ起きてやばいよ九時だよ!」

「ん゙ええ何?」

「九時だよ今日何時インですか」

「十二時………えまってもっかい言って」

「今九時ですよ今日何時インですか」

「十二時ですやっば!!」

「あぶなっ」

「ねなんでもうちょっと早く起こしてくれないの!あとなんで撮ってんのいつから撮ってんの?!」

「口より体動かしなよ。ご飯は?」

「今それどころじゃない――」

「今お風呂入りましたね。映せません………今なら映しても怒られないかしら」

「聞こえてるから!」

「わー地獄耳。そして出るの早」

「時間ないの!」

「はは、あ、ゆづの職場の保護施設は都外なので、仕事のときはロードバイクで二時間程かけて通ってるそうでーす」

「もー朝ごはん食べらんないやーん」

「三時まで映画見ちゃうからー」

「あんたも見てたでしょ!お肌荒れちゃうよ!」

「後でパックするからいいもん」

「ええ?何ぃ?!」

「あ、いまドライヤーしてますね。よかったねショートカットだから乾くの早いよ」

「やばいやばいやばいやばいやばいやばい、えーとバイクの鍵は?!」

「そこ」

「あーあった!カバンカバンカバン、じゃね!」

「事故すんなよー」

「わかってるわこんちきし―」

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