No.2
「――んともう、あっつ」
「はい回った」
「、えまた?スパンみじか」
「これ割とハマりそう」
「へえーゆづにしては珍しい」
「でしょ。えー今、ふゆちゃんがパスタを茹でてまーす」
「ゆづるさんは手伝ってくれませーん」
「わたしは撮る専でーす」
「ダメでーす、ソース持ってきて。私ジェノベーゼ」
「えーい」
「……えー、ふふっ、今画面外でゆづが、ははっねえちょっときもい」
「ふへっ」
「変な踊りしてました、ねえ続けないでよ危ない」
「はーい取ってきまーす」
「お願いしまーす………………あやば茹ですぎたかも」
「ちょっとぉ気をつけてくださいよぉ」
「手伝わなかった人には言われたくありませーん」
「えまってなにこれー」
「なにー?」
「これ」
「あ、それね、美味しそうだったから買ってきた」
「絶対うまいでしょこれ、えーどっちにしよ」
「決めてくださーい」
「じゃミートソースで」
「どーぞー」
「あジェノベーゼ忘れた」
「忘れないでよ」
「すまそーん………はいソースお待ちどう」
「はい自分でかけて持ってって」
「はーい、………やー、あ失敗」
「あーあー、ちょ床に垂れる」
「まじでうまく切れた試しないパスタソースのパック」
「知ってる?こうゆうのは向こう側に向けて切ると綺麗に切れるんだよ」
「え初耳。次やるわ」
「やってくださぁーい、はい私のも持ってって」
「自分で持ってってよ」
「粉チーズ探してんの」
「しかたないですねえ、あ、じゃカメラ持ってきて」
「はーい、ついでに止めとくわ」
「えなんでよ止めないでよ」
「はいはい、ああった」
「あ、フォーク忘れた、ください」
「何してんの。…ゆづスプーンいらないの?」
「いらないよパスタ食べるのにスプーンは」
「行儀悪い」
「家だからいいのー」
「外でもやらないでしょ、よ」
「えその持ち方落としそうで怖い」
「ちょ、手伝って」
「ちょちょちょちょちょちょ、セーフ」
「はあ食べよ食べよ」
「よしここでいっか」
「まだ撮るのね」
「いただきまーす」
「頂きます」
「ん、これ賞味期限やば」
「マジ?」
「ま大丈夫しょ、死なん死なん」
「はよ貸して」
「へいへい、どぞ」
「どうも」
「……うまあ」
「一口頂戴」
「ちょまって、マジでうまい。麺柔らかくて正解だわ」
「不幸中の幸い、わ」
「うまいっしょ?」
「うまい……」
「ジェノベーゼ頂戴」
「はい、マジで美味しいねこれ、また買ってこよ」
「是非そうしてください」
「……なんかテレビやってるかな」
「今日イッテP温泉合宿じゃね?」
「あ、見なきゃ……あーまだGOSHだ」
「あと十分、八時まで」
「そか…………ねえなんか欲しいものある?」
「……えなに急に」
「今週でしょ、誕生日」
「あ、そっか……このタイミングで聞く?」
「忘れないうちにと思って、なんか無いの」
「えー、んー」
「あ、SDカードは?」
「いやそれはいいや」
「あそう」
「んーそうねー……ケーキ食べたい。コージーコーナーの」
「それは買っとくよ、チョコケーキでしょ」
「もち」
「それはそれよ。プレゼントは?」
「んー………今は、いいや」
「え、なんでよ」
「欲しいものができたときにお願いするから、今はいいや」
「あーそうゆうこと、了解」
「ケーキは買ってね」
「分かってるよ。当日誰か呼ぶ?」
「え?」
「誰かいないの?職場で仲良くなった人とか」
「居ないよーみんな人よりわんにゃんだもん」
「はあ」
「別にそこまで仲良くなりたいわけじゃないし、助かってるけどね」
「…ならいいけど」
「ああれよ?仕事までの関係ってだけね?一ミリもギスギスしてないから。嫌われてるとかじゃないから。心配しないで」
「ああ、うん」
「そうゆうふゆちゃんはどうなの?新しいバ先。駅の本屋だっけ」
「ん、楽しいよ。毎日筋肉痛だけど」
「あー、重たいもんね」
「うん」
「大学院は?研究すすんでる?」
「いやああんまり」
「今なにやってるの?」
「クジラの精神的ストレスと骨密度の関係性の話」
「え……?」
「もうなにすればいいかわからん」
「んん……わたしにはわかんないからなんとも言えなけどさ」
「うん、まあなんとかするよ。色んな人頼って」
「頑張って、学芸員志望」
「うん。頑張る」
「あ、今度の休み上野行こ。国立科学博物館」
「あーいいよ。休みいつ?」
「丸一日空いてるのは……再来週の月曜とかかな」
「あー、平日はちょっとなー」
「ごめんよ特殊な職場を選んで」
「いや文句言ってないし。まあじゃ、空いたときね」
「へい、ごちそうさまでしたー」
「はや」
「ちょっとやることあるんで」
「なにすんの、え?」
「じゃじゃーん」
「うっそそれ売り場でしか見たこと無かった」
「人生で一度は作ってみたかったんだよねこれ。映画のお供と言ったらコレでしょ」
「え、映画見るの?この後?この時間に?」
「明日ふゆちゃん学校休みでしょ?だからいいかなって」
「でもゆづ普通に仕事でしょ?」
「いいのいいの午後からだし。てか今日は映画見てからじゃないと寝られる気がしない!」
「はあ……まあ、いっか」
「よっし、あ、始まったよイッテP」
「火使いながら見ないでね」
「はーい。ちょ、持ってきてカメラ」
「はいはい、ご馳走様でした」
「カメラウーマンふゆか爆誕」
「爆誕しましたー、はいどうぞ。撮ればいいんでしょ」
「うん。えーと、シール、これか、剥がしまーす」
「うん」
「あ、もう火だ」
「まじか」
「うん、弱火だって。…これくらいかな」
「いんじゃん?」
「じゃ、行きまーす」
「はい」
「……三、四分振っとけばいいんだよね」
「じゃない?…………あ、ゲスト尼ヶ崎イモコ来てる」
「誰」
「最近良く出てるじゃん。ほら、海賊っぽい格好の」
「えー?」
「見ればわかるよ」
「さっき観るなって言ったの誰よ」
「後で観な。TVerで」
「観るわ」
「…………なんか喋りなよ」
「えー……あ、バター溶けてきました」
「おお、さらさらですね」
「やばい、汗かいてきた」
「お風呂入ったのに」
「あ、換気扇回してないじゃん」
「回して」
「やばいトイレ行きたくなってきた」
「なんで今なの」
「いや、行ける。大丈夫」
「何なのもう……あ」
「え、何」
「ゆづ、プリンになってきたね」
「ああ、なにかと思ったわ。うん、ちょっと伸びた」
「また染めなきゃね」
「ちょっと頭皮映さないでー。いいんだ、この際だから邪魔にならないくらいまで伸ばしてプリン強調してみようと思って」
「金髪ってだけで不良感やばいのに大丈夫?」
「大丈夫。と思いたい」
「私も染めようかな」
「え?!生まれてこの方染めたことのない髪を?とうとう染めるんですか?」
「目を離さない」
「え染めるなら私にやらせて。お願い」
「ええ……失敗されそう」
「絶対しない自分の髪で何度も経験済みだから。ね?」
「はは、まあ、考えておくよ。あ」
「はねた」
「来たね」
「おお、ぽちぽちいってる!」
「子どものときにやってたら中々にいい思い出になるやつだこれ」
「ね!」
「めっちゃ来てるよコレ」
「わ、焦げる焦げる」
「おー……いい香りだね」
「ね、パスタ食べたのにお腹空いてくる」
「ちょ、お皿出しとこ」
「え天才」
「カメラ置きまーす」
「ちょ画角が」
「ちょうどいいとこにサラダボウルー」
「いいやんつこうたろ」
「関西のオバチャーン」
「……え待って」
「ん?わっえ?わ!」
「やばいやばいやばいやばい!」
「ねえちょ、火!貸して!」
「あっはははははははっ!やーば急に爆発するじゃん!」
「やばいってマジびっくりした……あっつ!」
「わーわーちょっおける皿出すわ」
「びっくりした……」
「ファーストテイクは失敗しやすいって聞いたのにまさか上手くいきすぎてポップコーンがビニール突き破るとは思わないじゃん」
「ね、あでも下はちょっと焦げてる」
「バターが焦げ付いちゃったんじゃない?おいしいさきっと」
「うっそぉ……」
「えい盛っちゃえ盛っちゃえ」
「ちょ危ないこぼれてるから」
「はー面白かった。めっちゃできたし」
「なんだかんだ撮り始めてからだいぶ時間経ったね」
「あ忘れてた」
「忘れんな」
「じゃあ終わりにしよ。はいふゆさん一言」
「ちょ近い近い近い。えー?本当に、いい加減にしてほしいでーす」
「すいまそーん。はい、ばいばーい」
「もう早く食べよ」
「ん」――
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