第13話 門番の経験と勘
冒険者の街「ファスティア」何故この街がそう呼ばれているのか、それは多数のダンジョンがあり、一つ一つのダンジョンの難易度が他の街にあるダンジョンと比べてことかなり高いことも理由として挙げられるのだが、最たる理由は魔の森が近くにあることである。
魔の森に行けば、魔物と戦闘し魔物との戦闘経験を数多く積むことができる。そして、一番は多くの素材を手にすることができるため、それを売るのもよし、自分の装備の素材にするもよし、
そのため冒険者にとっては、ダンジョンと魔の森両方存在している最高の街となっているのである。
今日もファスティアには各地から名のある冒険者達がファスティアを訪れていた。
そんな中で、1人の門番が異様な光景に目を見開いた。
「なんで魔の森の方向から青年と子供2人が歩いてきてるんだよ!?」
この街に来る手段としては、魔の森を横断するルートと、それぞれ西と東にある整備された街道を通るルートがある。
魔の森を横断するルートがこの街に来るための最短の道なのだが、名のある冒険者達でさえ、魔の森を横断するルートで来る奴は一人も存在しない。それほどまでに魔の森というのは、奥に行けば行くほど強い魔物も数多く存在するまさしく魔境と言える場所なのである。
一瞬、魔の森から帰ってきている冒険者かもと考えた門番だったが、それは違うと即座に判断した。
まだ、魔の森は門番から見える範囲の浅い層までしか攻略されてないからである。見えない範囲の魔の森から出てきたということは、冒険者ではないと結論づけた。
必死に考えを纏めている最中でも、どんどん近づいてくる青年たちにどう対応したら良いか焦る門番だったが、長年門番を続けてきた経験から彼は冷静になることができた。
(見るからになんかヤバそうだが、まぁ何とかなるだろう)
開き直りというやつである。
「この街に入るにはお金が必要なのか?」
「ああ、そうだ。銀貨1枚が必要だ」
そう答えた門番だったが、青年と子供達の雰囲気に驚いていた。
(雰囲気からして、どっかの貴族様なのか?いや、それはないか。貴族様なら魔の森を横断するルートを選ばないだろうしな。もしあえて選んでる奴がいるなら、ヤバい奴か変態な奴だろうな。それにしても、青年がヤバすぎる!有名な冒険者でもここまでのオーラの奴はいねぇよ。こりゃ下手に聞かない方がよさそうだ。)
「銀貨1枚だ。これでいいか?」
「ああ大丈夫だ。よし、通っていいぞ。」
(俺の仕事はここまでだからな。こっからはコイツらが何をしようが俺の責任じゃないからこれで楽になったぜ。それにしても、コイツらは何かやらかす気がする。俺の長年の門番としての経験と勘がそういってる!これからは退屈しなさそうだ。)
「それにしてもワントさ、どこでお金手に入れてたの?」
「お金はセツーナが持ってたぞ」
「そうなの?よくやったよー本当に。銀貨1枚って言われた時、内心焦りまくってたからさ。セツーナおいで。特別に頭なでなでしてあげるー」
「本当に!?やったー ウチ、マスターの役に立ててすごく嬉しい!たまたま人間が落として行ったのを拾ってたのが役に立ったみたいだね」
「ほら、主もセツーナもはしゃぐのはほどほどにな。これからは、何が起こるか分からんから気を引き締めるんだぞ」
「言われなくても分かってるって。それにしてもマジで異世界に来たって感じだねーラノベやアニメで見たような人たちばっかでなんか感動!」
「主の世界では、これが普通じゃないんだな。それでも街に入ることのできる奴は、エルフやドワーフ、獣人みたいな亜人族って奴らの事だ。俺達みたいな魔物とは違うみたいだから、絶対に魔物だってバレるんじゃないぞ!」
そんなに心配しなくても分かってるのにねー 僕のことも少しくらい信用してくれてもいいと思うんだけど!一応君の主なんだからさ。って思うけど口には出せないよね。心配してくれてるのは理解できるし、今までの僕の行動で既にやらかしちゃってるもん。完全に自業自得ってやつですな。
「まぁ、無事街にも入れたしここでワントと僕たち2人で別れよっか。集合場所は適当でいいよね?何かあったら思念伝達で会話ってことで」
「分かった。2人ともほどほどにな」
「そういうワントこそあんまり目立ち過ぎると良くないから抑えるんだよー」
「一旦じゃあねワントお兄ちゃん!初めてマスターと2人きりだー!」
こうして別れた僕たちは、それぞれで目的の為に動き出したのだった。
血王の誕生 異世界転生したので、自分の理想とした悪役を目指すことにした! @acemaru
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