第12話 ファスティアに行く前に
魔の森を抜けた僕たちは、人間の街でどうしていくのか話し合っていた。
「もうそろそろファスティアに着くが、どう行動していくのか主はもう決めてるのか?」
「決めてるよー ここは別れて行動しようと思ってる。ワントは、人間がどれくらい強いのか確かめてくれない?魔物の強さは、魔の森で大分分かったけど、人間の強さはまだ未知数だからね。冒険者の街って言うくらいだから、異世界ものらしく冒険者ギルドがあると思うよ」
「主は心配性だな。そんなに警戒しなくても俺たちを殺せるレベルの人間はそうそういないと思うぞ」
「僕もそう思ってるよ。それでも僕はもう一人じゃない訳だしさ。君たち2人だけじゃなくて、今後増やすつもりの眷属を守れるだけの強さを人間達の基準で、持ってるのかが僕としては気になるわけですよ。それになにより、悪役ってのは圧倒的な強さを持ってないとダメだからね!」
だから本当は僕が直接ギルド行って確かめたかったんだけど、僕たち2人は子供みたいな見た目してるでしょ。
だからここは一番大人な見た目してるワントに任せようかなって。
僕もただ暴走するだけの主じゃなくて成長してるんだぞー
「主、今の言葉聞いて、本当に主が俺たちのトップだって事を改めて理解できた気がするぞ。ありがとな、俺たちを大切にしてくれて」
「マスター、今の言葉なんかメッチャ良かったよ!!」
なんか2人から感動したって感じの雰囲気が伝わってくるんだけど?僕としては当たり前のことを言ったつもりだったんだけどね。
まぁ、最近は2人によく呆れられたり、怒られたりしてたから、久々トップらしいことを言えた気がする!
でも本音を言うとさ、僕もギルドに行ってテンプレに遭遇したかったなー
悪い男共に声かけられて、「子供が来るところじゃねぇ、お前の連れてる女を渡してくれたら見逃してやるぞ」的なことを言われて、それで逆に僕が男共を圧倒して、僕やっちゃいました?
みたいなのやってみたかったのにー
まぁ、今回は僕の方から言い出したことだし素直に諦めますけども。
その代わりワントにテンプレを説明したら、「俺に声かけてくるやついるのか?それはそれでそいつらが馬鹿だろ」って言われちゃった。
実際そうなんだよね。進化してからワントは、いかにも武人って感じのコイツ絶対強いってオーラが出まくってるからね。まぁ実際はオーラ以上にめっちゃ強いんだけどね。
それはそれとして
「俺のすることは分かったが、主たち2人は何をするんだ?」
「僕たち2人は、スラム街を見てみることにするよ。どの街にも表があれば裏も存在するだろうからね。そこで、何個か組織潰して僕たちの拠点みたいなのを作れれば理想的なんだけど」
「マスターと一緒ならウチは何でもいいよ!ワントお兄ちゃんと、別れるのは寂しいけどマスターはウチが絶対守るから!」
すると、ワントは俺が心配してるのはそこじゃないんだよって言ってきたんだよね。何だろなー?僕には分かんないなー
嘘です、ちゃんと分かってますとも。ワントは僕が常識がないもんだから、何をしでかすか想像つかないって心配してるみたい。さっき、いいこと言ったから少し見直してくれたみたいだけどね。
「さっきは主もちゃんと成長してることを実感できたが、急に暴走するから心配なんだよ。セツーナはちゃんと主が暴走したら、力づくでもいいから止めるんだぞ! セツーナは、主のこと全部肯定するところあるからな。2人で一緒になって暴走したりするなよ。」
「分かった!ウチに任せといて!」
話し合いを済ませた僕たちは、いよいよファスティアに入っていくことにしたのだった。
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