第11話 僕、やっちゃいました?

「マスター、ワントお兄ちゃん、これからよろしくね!」


この言葉と、セツーナの弾けるような笑顔を見た僕たちは、一瞬にしてセツーナの虜になったよね!

見た目は、綺麗な水色の髪、水色の瞳、健康的な肌、少女らしからぬ男心を揺さぶってくるナイスボディをお持ちなのだよ。身長は僕と同じくらいで、中学生程度。まさしく美少女って感じですな


マジでセツーナの可愛いがすぎる件について!ワントなんて呆然としてて、戻ってきたと思ったら顔から湯気が出そうなくらい真っ赤になりやがった。これは既に落ちやがったな。僕以上にデレデレに甘やかす未来が見えるね!


ただし、由々しき問題が1つある!


「なんで、僕はマスターでワントはお兄ちゃん呼びなの!?」


「マスターはマスターだよ。ウチの主だし、特別な人だから。ワント君は、ウチより先に眷属になってるからそれならお兄ちゃんかなって。ダメだった?」


セツーナが上目遣いで、泣きそうな顔で聞いてきたもんだからそれでいいよ!って言っちゃった。


可愛いはいつだって正義なのだ!まぁ、セツーナにとって僕は、特別みたいだから良いかなって。

決してお兄ちゃん呼びをズルイと思った訳では無いのだよ!ここ重要ポイント!


呼び方問題は解決したとして、1つセツーナに聞いときたいことがあったんだった。


「ねぇ、そんなに名前付きの魔物って珍しいものなの?」


「ええー名前付きの魔物の凄さ知らなかったの!?」


これには、セツーナが口を大きく開けて、ものすごく驚いていた。


ああ、これまたやっちゃったやつ?ワントに魔の森のことを知らなくて、ここどこなのって聞いた時と同じ感じのやつじゃーん。だって知らないんだもん。しょうがないじゃんね。

ワントは、もう慣れたみたいで主ならありえるか、みたいな顔をしてた。それはそれでムカつくんですけど!今回は僕が悪いから何も文句は言えないんだけどね。


ワントが、セツーナに「主はこういう奴だからいちいち驚いてたら身が保たんぞ、ヤバい奴の下についてしまった者同士仲良くしていこうな!」ってもうお兄ちゃんみたいなこと言いやがって!

ワント、全部聞こえてるんだからね。何気に僕、傷ついてるんだよー 言うつもりはないけどさ。


セツーナに教えてもらったこととしては3つだった。

①名前を付ける時は魔力を持っていかれる。

②魔力が完全に無くなると、大幅に弱体化する。③一度弱体化してしまうと、魔力が回復したとしても、元の強さに戻ることは無い。


だから、滅多に名前を付けることはしないんだよ!って結構真剣に解説とお説教をくらっちゃった。


確かに言われてみたら、ワントの時も、セツーナの時も魔力を半分持ってかれてるねー

2回進化して、魔力がかなり多くなった僕で半分持ってかれるなら、そりゃ気軽に名前つけられないよね。

でもさ逆に言えば、ワントとセツーナが最初からメッチャ強かったとも言えるんじゃない?魔物の強さによっても比例するだろうし。

これからは魔力の残量にも気を配っていかないと、名前付けて自分が弱くなっちゃったら話にならないし。

これからも強い奴は、名前付けたり、眷属にするだろうから今回はいい勉強になったって事にしとこ。


名前付き魔物が衝撃的だったから、忘れてたけど進化してから、セツーナのステータス見るの忘れちゃってた。

一応見ていいか確認したら、「いいよ!マスターにはウチの全てを見てほしいなー」って言われちゃったよ。

この子、素でこういうこと言っちゃうの?

はい、優勝!マジ天使!


 ステータス

 「名前」 セツーナ

 「種族」 究極アルティメットスライム

 「称号」 ユニーク個体、眷属者

 「スキル」 全吸収、全反射、擬態、分裂、

       思念伝達、敵意感知、触手攻撃、

       人化

 「耐性」 物理攻撃無効、魔法攻撃無効、

      精神攻撃耐性


「耐性」物理と魔法ともに無効になってるし。セツーナの守り鉄壁すぎじゃね?これじゃあ、ほとんどの攻撃が無効化されて、吸収されることになっちゃうよ。


でも、セツーナに聞いてみたところそうでは無いみたい。確かにステータス上は無効だけど、僕とかワントみたいな自分と同格かそれ以上の魔物からの攻撃は、無効化ではなく受けるダメージを軽減する扱いになるんだって。


セツーナが進化して、一番嬉しかったのは触手で攻撃できるようになったこと。もう目に見えて喜んでたからね。僕までなんかうれしくなっちゃった。


触手出して攻撃してみてってお願いしたら、触手のスピードがめっちゃ速かった。しかも触手は1本だけじゃなくて、最大10本同時に出せるみたい。


悲報、セツーナに勝てるビジョンが全く浮かばないです。試しにワントにも勝てそう?って聞いたら「無理かもな」って結構真面目なトーンで返されちゃいましたよー


敵意感知については、自分だけではなく僕や他の眷属達に敵意を向けた瞬間に、相手に自動で触手攻撃できるスキルだった。


このスキルの効果聞いたら、相手が可哀想に思えてきちゃった。敵意向けた瞬間に、最大10本の触手が飛んでくるんでしょ?軽く絶望だよね。マジで仲間でよかったよ。本当に。


セツーナの強さがヤバいことが理解できたところで、いよいよ魔の森の出口が見えてきた!


「おお、やっと出口かな?」


「そうみたいだな。魔の森から出たら、すぐに人間の街だそ。名前は、ファスティアで冒険者で溢れかえってる街みたいだな」


「街、街、人間の街〜」


冒険者っていかにも異世界って感じだー

初めての人間の街だけど、何しようかな〜

今からテンション上がってきちゃった!ゾクゾクしちゃうよー

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