第10話 アイドル誕生!

『君たち何者?』


進化の時みたいに、頭の中から声が聞こえてきた。これが思念伝達のスキルなのかね?


今回は、「優しさMAX大作戦」ってことで、ワントの時みたいに強者感を出すんじゃなくて、優しくいこうかなー できるだけ戦わずに眷属にしたい。1人でなんだか寂しそうだし、何より戦ったら面倒くさいよ、絶対に!断言できるね。防御に全振りで、スキルがメッチャ強いもん!僕たちも持ってない耐性も持ってるし。


全吸収オールドレイン

自身のもつ物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性で受けることのできる攻撃を全て吸収し、回復することもできる。

耐性を上回る攻撃は、吸収できずに失敗となる。


全反撃オールカウンター

自身が受けた、物理攻撃、魔法攻撃を3倍の威力にして相手に返すことができる。


全吸収オールドレインで受けた攻撃を全反射オールカウンターで、3倍にして相手に返せるんでしょ。なにこのコンボ、チートでしょ!

耐性を上回る攻撃手段を持ってないと詰みじゃんね。あーあ考えただけでも恐ろしいや。


『やぁ、僕はブレット。もう一人は、僕の相棒でワントって名前だよー』


『やっぱり2人とも名前付きの魔物だったんだね。ワント君が周りの魔物を一撃で殺してるの見てたから、凄く強いのは分かってたんだけど。ウチと違ってすごいや。それにしても相棒かぁ、仲間って感じでなんかいいな』


なんか僕たち2人とも羨ましがられてない?そんなに名前が付いてる魔物って珍しいのかね?

まぁ、今はいいや。眷属にした後に詳しく聞いてみよ。


『なんで君は、普通のスライムと違って1人でいるの?』


『ウチ、他のスライムと違って防御しか出来なくて、触手を伸ばして攻撃も出来ないから、攻撃手段がないんだよね。だから、役立たずって言われて追い出されちゃったんだ。他のスライムのみんなとは、こうやって会話もできなかったし。

だから、初めてこうやって会話できて、今ウチ凄くビックリしてるんだよ!』


攻撃手段がないだって!?冗談よしてよー もしかして本当の自分の強さを知らないパターン?だったら、本当のことを教えてあげないとね。追い出されたなんて話聞いちゃったらね。僕の眷属になったら、ワントと2人で甘やかしまくってやるぞー

ワントも話聞こえてるみたいだし、面倒見いいから僕より甘やかしそうだけど。


『いや、君十分強いからね!防御面で言ったら、僕たちが今まで遭遇した魔物の中で最強だよー

しかも、攻撃手段を持ってないって言ったよね?

それ、間違ってるよー 君メッチャ強い攻撃スキル待ってるからね。

君、もしかしてまだ攻撃受けたことないの?』


『うん。ウチ、追い出されてからは攻撃できないと思ってたから、攻撃を受けないように擬態を使って周りの景色と同化したり、とにかく逃げ回ってたから。でも本当にウチが強いの?』


『メッチャ強いよ!だから、僕たちの仲間になってくれないかな?僕の眷属になるってことなんだけど。』


『ウチが本当に君たちの仲間になっていいの?もう追い出したりしない?』


なんか、僕たちをみる視線が仲間になりたそうにスライムがこっちを見ているって、ゲームだったら出てきそうな雰囲気だねー もうひと押しって感じ。最後、頑張るぞー


『追い出したりなんてしないよ!もう一度言うよ。僕たちの仲間になってくれ。君が必要だ!』


『仲間になりたい!こっちこそよろしくね!』


そう言うと、スライムが僕の胸に飛び込んできた。

なにこのスライム、メッチャ可愛いんですけど!

可愛さでつい忘れそうになったけど、眷属にしないと。


名前なにがいい?って言ったら、名前まで付けてくれるの?って泣きそうになってる顔に見えた。スライムだから、本当のことは分からんけど。

名前はブレット君につけて欲しいなって言われちゃいました。この子のためにもいい名前にしないとだね。よし決めた!


『名前はセツーナでいい?それと僕の血を吸収してくれないかな?』


『セツーナ、気に入ったよ!凄く嬉しい!ブレット君の血を吸収すればいいんだね。分かった!』


セツーナが僕の血を吸収すると、いつもの声が聞こえてきた。


【「名前」セツーナが承認されました。セツーナがブレットに従属し、眷属になりました。

眷属になったことにより、進化を実行します。】


【進化により、「種族」が究極アルティメットスライムに進化します。

「称号」に眷属者が追加されます。

「耐性」物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性が、物理攻撃無効、魔法攻撃無効に進化します。

「スキル」敵意感知、触手攻撃、人化の取得に挑戦。成功しました。

以上で進化を終了します】


この声が聞こえてこなくなったと同時に、セツーナが人化して、僕の胸から飛び出した。そして


「マスター!!」


そう言って、僕を抱きしめてきた。見てみると、恐ろしいくらい可愛い美少女が目の前にいた。


「マスター、ワントお兄ちゃん、これからよろしくね!」

弾けるような笑顔で言ってきた。結果、


僕たち2人は、目の前の突然現れたアイドルに心を撃ち抜かれたのだった。

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