第二話②

「夕ご飯はみんなで食べましょう。廉太郎くんも恭也くんも楽しみにしているようです。」

「れんたろうおにいさまも?」

「ああ見えて、彼が一番こういった行事が好きですからね。だから、おやすみなさい。」


 そう言って、彼は来たときと同じように扉を閉める。再び部屋は静寂に包まれた。ふと、さっき見聞きしたカミサマのことを思い出す。…あれはいったい、なんだったのだろう。神様と呼ぶには、なんだかふわふわとしていたような気がする。まあ、八百万の神なんて言葉があるくらいだ。カミサマの中にもいろいろあるのだろう。だからといって、村の住民を連れて行ってしまうのはいただけないが。


「…みこしゅぎょうかあ…。」


 ゲームの自分は、いったいどのように修行をしていたのだろうか。やっぱり、滝に打たれたりするのだろうか。この慎重でそんなことをしては溺れることは必須である。痛い思いをするのは嫌だ。

 でも、ヒロインが来る高校生になるまでは死ぬことはないはずだ。だってそうでなければ原作に自分は出てこない。それこそ、廉太郎お兄様のお姉さまのように、原作開始前に死んでいるのであれば考えようがなくなってしまうが、少なくとも私は高校生になって彼女のために奔走する未来がある。…冷たいようだけれど、それが事実だ。


「…せめて、よいほうこうにすべてがいくように、うごかなくちゃ。」


 原作前の状況はよくわからない。原作が始まってからのことも正直あやふやなままだけれど、それでも、まあ。

 

隣であどけなく眠る遥お兄様の顔を見ながら、思う。


彼が、幼馴染たちが、悲しまない未来であれば、いい。

あわよくば、その中に自分がいればいいな。なんて。そんなことを思いながら、微睡に身をゆだねることにした。


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