第5話
「へぇー遺跡の中ってこんな感じなのか」
エリエルは周りを見渡しながら呟く。
「この遺跡は規模としては小さいですが造りそのものはしっかりと古代王国時代のものですからね」
「すごいわ!古代旺国時代の建物の中にいるなんて幸せすぎる」
ミフィナはうっとりとしながら部屋の中を歩き回る。
「ここはワンフロアのみなのでおそらくはもっと大きな建物の上の部分だけが残っているのではないかと考えられます。それでもそこそこの広さですがさすがに調べ尽くしていますしね」
ラクティアはこれまでにわかっていることを二人に教えた。
「だから調査が延びたのか?」
エリエルは遺跡そのものには興味なさげに案内役として学べることを増やそうとしていた。
「私は会議には出ていませんがおそらくはそういうことかと」
「あぁもうほんとすごいわ!古代遺跡!壁にも細かく古代様式の模様や絵が・・・あら?これは・・・文字?」
「細かいところまで調べてますからねぇ、文字らしきものはなかったかと」
「いえ、これは・・・確かに文字だわ。古代文字ね」
(え?まさか!確かに王国の中には古代文字を読める人間はいない。いや、その前に)
「ミフィナ様、古代文字が読めるのですか?」
「えぇまぁ多少ね。魔法がほとんど使えないから王国中の本を読み漁ってるうちになんとなくね」
(なんということだ!恐らくはブルグ様もご存知ではないこと)
「これは降り口につながる隠し扉になっている感じね。魔力で開くのかしら?私の少ない魔力でも大丈夫そうだわ」
「ミフィナ様!お待ちを!」
「えっ?」
壁だったところに扉が現れ静かに開く。
「開いたわ!これは・・・」
「これは・・・確かに降りるためのスペース。本来は階段がたったのでしょうがなくなっているものの降りることはできそうです。なによりこの遺跡に続きがあったなんて!おそらく外観からはわからない部分が地中に埋まっていると思われます」
ミフィナの後ろから覗き込んだラクティアは少し興奮気味になる自分を落ち着かせながら話す。
「じゃあこの先は未調査なのか?」
見えていないエリエルは事の重大さがわからずとりあえずラクティアに聞いてみた。
「えぇそうなります。一度戻って正式な調査隊を要請すべきですね」
「私たちが見つけたのよ?私たちで調べてみましょう?」
「いや、しかし・・・」
「もう!私たちで調べます!」
「わかりました・・・ただし未調査区域です。私が危険と判断したら即終わりにしてもらいます。それでいいですね?」
「わかったわ。エリエルも調査手伝ってくれるんでしょ?」
「あぁもちろんさ、この先も案内できるようにならないとだからな!」
降りると三人であと少し余裕がある程度の小部屋になっていた。
「え?まさかこれで終わりか?」
エリエルはつまらなさそうに言いながらラクティアを見る
「いえ、先程の部屋と比べると明らかに小さすぎます。まだ先があるはずですが・・・」
「また隠し扉があるのかしら?古代文字、古代文字・・・あ、あったわ」
ミフィナは同じように古代文字に魔力を流す。さっきとは違い大きめの両開きの扉が現れる。
「お、だいぶ立派な扉が出てきたな。何かの部屋なのか?」
エリエルは扉を見ながらラクティアに尋ねる
「祭壇って書いてあるわよ?」
ミフィナが扉の上部に書いてある古代文字を読み代わりに答える。
「祭壇ですか?それは大変興味深いですね」
ラクティアが再び興奮際になるのを抑えつつ扉に近付く。
「よし!じゃあ入ってみるか!」
エリエルが言うとラクティアが扉に手をかけ魔力を流す。
両方の扉が静かに開いていく。
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