第2話

レストリア大陸。

かつてこの大陸を統一していた王国が滅び、度重なる戦乱を経ていくつかの国が興されていた。現在は国同士での大きな争いもなく交易によりそれぞれ国が発展していった。

その中でも歴史が深い国のひとつ、エスペリール王国が大陸の西側に位置する。国の南側は海が広がり北側には山々が連なっている。自然豊かなこの国は自然がもたらす恩恵とは別に魔法によって発展し栄えてきたため魔法王国エスペリールとも呼ばれている。

同名の王都より北側には森が広がる。その中に古代遺跡があり王国として遺跡調査を長年続けている。その調査拠点として作られた村がラスタ村である。

「なぁ確か今年だろ?遺跡調査する年って。今回は俺も案内役やらせてくれよ!」

少年は外で薪割りをしている男に向かって声をかけた。

「あぁそういや今年か。エリエル、お前いくつになった?」

「17だよ!息子の歳を忘れる?親父から習ってる剣術もだいぶ様になってきただろ?なぁいいだろう?」

エリエルと呼ばれた少年は父親であるラスタードに呆れつつも問いかけた。

「あぁもうそんな歳か。ま、剣の腕はまだまだだがな」

薪を割っていた手を止めエリエルを見て意地の悪い顔をして笑う。

「ま、考えておくわ。これ片付けておいてくれ。ちょっと出かけてくる」

割っていた薪をそのままにして行ってしまう。

「ちぇっ、あれはまたはぐらかす感じだな」

ラスタ村では王国からの遺跡調査の際に村の長でもあるラスタードが遺跡の案内役を務めていたのである。

前回まではまだ若いからと断られていたのだが今回こそは同行できると内心期待していたエリエルだったが、期待が薄そうな父親の反応につまらなさそうに外に出て薪を片付け始めた。

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