第4話 言語の件
カナデちゃんは無事にこの世界に転生出来たようです。でも、サラサ叔母様は身体の調子を少し崩された様子で、中々ベッドから起き上がれません。
ひょっとしてコレがヴェーナース様が言ってた僕にかかってるって事なのかな? カナデちゃんが産まれたばかりで母親が亡くなるなんて事があってはいけない!!
そこで僕はバレないように叔母様のベッドに兄上が討伐したスライムの聖魔石を二個置いて、生活魔法(裏)の
すると、二日目ぐらいには叔母様は元気になられて、お乳の出も良くなったとの事。
バレずに聖魔石を仕込めて良かったです。
そして、叔母様の体調も良くなりカナデちゃんも落ち着いたのでやっとご対面です。
産まれる前からずっと待ち望んでいた瞬間です。ちょっとドキドキしてます。
ノックをして叔母様のどうぞの言葉を聞いてから兄上、姉上、僕の順番で部屋に入ると、叔母様に抱っこされて気持ち良さそうに寝てるカナデちゃんが居ました。
「カーロン、ミーチェ、カナタ、良く来てくれたわ。さあ、あなた達の
「可愛いなぁ。カナデちゃん」
「叔母様、私の妹よね?」
「……」
僕は寝てるカナデちゃんを見て何も言えなかった。だって本当にこの世界に転生して新しい人生が始まったんだよ! 僕は先に産まれていたから既に始まっていただろ? って思うかも知れないけど、僕にとってはカナデちゃんが居てこその新しい人生だったんだ。
それをカナデちゃんの寝顔を見て悟ったんだよ。
「あっ!? カナくん、カナデちゃんに恋してる顔してる〜!!」
僕が黙ったままカナデちゃんを見つめていたら、姉上がいきなりブっこんできましたよ。
「アラアラ、それじゃカーロンにお願いしようかと思ってたけど、カナタにお願いしようかしら? カナタ、この子の
叔母様からのその言葉に僕は全身全霊を持ってお応えしたんだ。
「はい!! カナデちゃんは僕が守りますっ!!」
僕が大声を出してしまったからか、カナデちゃんが起きて泣き出してしまった。
……んだけど……
「おぎゃーっ、おぎゃーっ!『わーい! 嬉しいな! 生まれ変わってもカナタ
って、あれ? これってカナデちゃんの泣き声に被さって聞こえてるけど……
そこで僕は理解したんだ。
【言語完全理解】
この世界のありとあらゆる言語を完全に理解し、読み、書く事が出来る!
コレかーっ!! って、カナデちゃんも零才から記憶が戻ってるじゃん!?
ヴェーナース様、どういう事ですか? ま、まあそれは今は良いとして、良かった。カナデちゃんが僕と居る事を拒否してなくて……
「アラアラ、カナデったら泣いてるのにお顔は笑ってるわ」
叔母様の言葉にカナデちゃんを見てみると確かに泣いてるのに笑顔に見える。
僕は叔母様にお断りしてからカナデちゃんの小さな手を取り、
「まだまだ未熟者だけど、力の限りカナデちゃんを守ります!」
と誓いの言葉を述べたんだ。何故か僕たちの後ろでガシャンって音がしたから振り向いて見たら、カナデちゃんのお父さんであるラーメール子爵こと、フリオ叔父様が、そのお顔を怒りに染めて僕を睨んでらっしゃる……
「やらーんっ!! 我が娘は何処にも嫁には行かせんぞーっ!! 例え大恩あるイーアサーク辺境伯様の次男でもだっ!!」
その形相のままそう叫ばれたけど、叔母様が鶴の一声を出されたんだ。
「アラ? フリオ、それは本気で言ってるのかしら? それならば私はフリオと離縁しないと…… 娘の幸せを願えない父親なんて不幸になるだけだわ……」
「んなっ、な、何を!? サラサ、そんな訳ないだろ! 私はサラサを愛してるし、カナデの幸せを心から願っているよ!?」
「なら、ちゃんとカナタの事を認めてあげて下さらないと…… カナデもこんなに喜んでいるんだから、ねえ、貴方!」
「クッ、クッ…… 分かったーっ!! しかし、
僕がそんな事をするわけないです、フリオ叔父様。
「はい! 僕は
「それじゃ、カナタにお嫁に貰ってもらわないとねぇ、カナデ。守り通して貰うんだから! じゃ、婚約ね!
「はい! 叔母上!」
「カナくんは私のお婿にしようと思ったけど、可愛い
「ンガーッ!! な、何でこんなにササッと話が進むのだっ!! こ、婚約はまだ、は、早くないかな? サラサ!」
叔父様が無駄な抵抗をしてるよ。僕としても早目にカナデちゃんが婚約者になってくれたなら、将来の父上や母上のお見合い攻撃が無くなるから有難いんだ。肝心のカナデちゃんはというと……
「おぎゃーっ、おぎゃーっ!『お母様、ナイス! カナタ兄と婚約者! これで前世で叶えられなかったカナタ兄のお嫁さんに成れる!!!』」
だったから、相思相愛ということで……
まさか、前世のカナデちゃんがそんな風に前世の僕のことを好いていてくれたなんて知らなかったけど、とても嬉しいな。でも、赤ちゃん言語を理解してるのはずっとカナデちゃんには黙っていよう。
さすがに僕にバレてると気付いたら恥ずかしいだろうしね。
まあこんな感じで僕とカナデちゃんの婚約が決まったんだ。父上も母上も直ぐに了承してくれたしね。
僕がカナデちゃんの
うんうん、これでラーメール子爵であるフリオ叔父様も婚約破棄させる事は出来なくなったよ。
あの手この手で僕とカナデちゃんの婚約を白紙に戻そうと画策してたからね。
叔母様はそれから頻繁にカナデちゃんを連れて家に来られて、僕とカナデちゃんは一緒に育っていったんだ。
その日は珍しくカナデちゃんを連れてきた叔母様が領地で用事があるからと言ってカナデちゃんを置いて帰られたんだ。
そんなある日、僕が六才でカナデちゃんが三才の時にとても大きな問題が領地を襲ったんだ……
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