第4話 朝、ベッドでお話。尻尾にブラッシング
SE:虫の音(鈴虫)
(夜明け前、先に起きたヒロインに釣られて目を覚ます主人公)
(ヒロイン声、右から、密着、ささやき)
「ん……おはよ」
「ごめん、起こしちゃったかな」
「うん。まだ夜明け前」
「まだ眠いでしょ? もっと寝てて大丈夫だよ」
「わたし……? そんなことないよ、いつもこのくらいに起きてるか、ら……」
「……ふわぁあ〜〜」
「んん……あはは、ちょっと眠いかな」
「ふふっ、そうだね。もうすこし、こうしてよっか……」
SE:ベッドがきしむ音
SE:髪を撫でる音。耳もと
(ヒロイン、主人公の髪を撫でる)
(ヒロイン声、正面、密着、ささやき)
「あはっ、キミ、すごい寝グセ……」
「後でブラシかけてあげるね」
SE:風の音
SE:木々のざわめき
SE:ガラスが揺れる音
(ヒロイン声、右から)
「ん。明け方になると風が強くなるの」
「でも、陽が出てしばらくすると止むから大丈夫だよ」
「……ふふ、このくらいのことなら、いくらでも教えてあげる」
「そうだ、朝ご飯食べたら、一緒に森に行こうか」
「案内してあげる」
「ほかには何か聞きたいこと、ある?」
「え、わたしについて……?」
(言いにくそうに)
「どうして、こんな場所でひとりで暮らしているの……か」
「あ、ううん。大丈夫だよ。そうだね、気になるよね」
(恐る恐る、といった感じで)
「……わたしね、故郷を追放されたの」
「……あ、でも安心して」
「誰かを傷つけたりとか、物を盗んだりしたわけじゃ、ないから……」
(諦めが滲む感じで)
「なんというか……いろいろ、仕方なかったんだよ……」
「話すのは……少しずつ、でもいいかな? うん、ありがと」
「じゃあ、どこから話そうかな……」
(ヒロイン声、正面、密着)
「……昨日も教えたけど、わたしの名前はベルカ。見ての通り、獣人」
「といっても、見た目はキミたち人間とたいして変わらないけどね」
「獣の耳と尻尾があるだけ」
「わたしが生まれたのは、この森からずっと北の方」
「高い山の麓でね、一年の半分以上が寒い場所だったんだ……」
「だから、寒いのはけっこう慣れてるんだよ?」
(すこし慌てた様子で)
「う……いや、昨日はちょっと油断してただけで……」
「んんっ。とにかく……」
(穏やかな声で)
「わたしのふるさとは、とっても綺麗な場所」
(ヒロイン、ひとり言)
(ヒロイン声、正面から、ささやき)
「キミにも、見せてあげたかったな……」
SE:鳥のさえずり
(明るい声で)
「あ……見て?」
「陽が出てきた……きれい」
「外、出てみようか」
SE:ベッドのきしむ音
(ヒロイン、ベッドから立ち上がる)
「立てる? ん。掴まって」
SE:足音
SE:床板がきしむ音
SE:ドアの開閉音
「おいで」
SE:微風が吹き込む音
SE:木々の葉が風に揺れる音
(朝の空気を深呼吸するヒロイン)
(ヒロイン声、左から、至近距離)
(リラックスした様子で、ゆっくりと)
「すぅ……はぁ……」
「空気が澄んでる……雨が降ったからだね……」
「すぅ……はぁ……」
「森の朝の香り、わたし、好きなんだ……」
「なんていうか……心が静かになるから……」
「すぅ……はぁ……」
(明るく)
「うん。今日も、良い日になりそう」
SE:髪を撫でる音、耳の近く
(ヒロインが主人公の寝グセを撫でる)
「あ、ごめん。かわいいな〜って思って、その寝グセ」
「ふふ……手で押さえても直らないよ」
「おいで。ブラシかけてあげる」
SE:足音
SE:床板のきしむ音
(ヒロインと一緒に家の中に戻る)
SE:椅子を引く音
「ここ、座ってて?」
SE:ヒロイン足音、遠のく
SE:遠くで戸棚を開ける音
SE:ヒロイン足音、近づく
(ヒロイン声、後ろから、至近距離)
「はい、じゃあむこう向いて」
(主人公の髪にブラシをかける)
SE:ブラシをかける音
(ヒロイン声、右後ろから、至近距離、ささやき)
「痛くない? ……ん」
「気持ちいぃ? よかった」
「ふふ、意外とくせっ毛なんだね、キミ」
(ヒロイン声、後ろから)
「綺麗な髪……柔らかくて、つやつやしてる」
「うらやましいなぁ……」
「え? そ、そうかな……わたしの髪も、綺麗、かな……?」
「自分だと、よく分からないから……」
「そ、そんなに力説するほど?」
「そっか、そうなのかな……うん」
(ヒロイン声、左後ろから、至近距離、ささやき)
「キミにそう言ってもらえると、うれしい……」
「ありがと」
SE:ブラシをかける音
「はい、できた」
(ヒロイン声、正面から)
「え? わたしも? キミが、してくれるの?」
(嬉しそうに)
「じゃあ、お願いしよっかな……♪」
「ん? 「こっち」って、どっち?」
(言いにくそうな様子で)
「尻尾……? あ〜……えと、そっか、知らないんだもんね……」
「あのね……その、わたしたち獣人にとって尻尾はとっても大切な場所で……」
「耳はね、まぁ、挨拶みたいな感じで触らせても大丈夫なんだけど……」
「尻尾は、そのぅ……とくに親しい相手にしか触らせちゃだめっていうか……」
(恥ずかしそうに)
「えと、親しい相手っていうのはぁ……」
「その……恋人、とか……」
(慌てた感じで)
「で、でもっ! ちっちゃい子は親がブラシかけてあげることもあるし……」
「その逆もあるし、だから……」
「こ、今回は特別っていうか……」
(意を決した様子で)
「い、いいよ……ブラシ、かけて……」
「キミなら、良いって、思えるから……」
SE:椅子を引く音
(ヒロイン、椅子に腰かける)
(若干、怯えた様子で)
「あの……やさしくね? 強くギュッてしちゃ、だめだからね……?」
(主人公に尻尾を触られ、跳び上がるヒロイン)
SE:椅子がガタッと鳴る音
(慌てた感じで)
「ひゃっ!?」
「あ、ちが……痛くはなくて……その、尻尾触られるの、慣れてなくて……」
(ヒロイン声、正面から)
(切なげに)
「う、うん……だいじょうぶ……だから……して?」
SE:ブラシをかける音
(こそばゆさに身もだえながら)
(ヒロイン声、正面から)
「んんっ……、ひゃぅ……、ふぁあ〜……、んくく……」
「ん、大丈夫……だんだん、慣れてきたから」
(気持ちよさそうに)
「ふぁ……ふ〜……」
「キミ、上手だね。丁寧で、やさしい……」
SE:ブラシをかける音
「できた?」
「わ。すごい、つやつや……」
「やっぱり、人にやってもらうと違うなぁ……」
(冗談めかして)
(ヒロイン声、右から、密着、ささやき)
「初めてにしては、なかなか、だったかな……ふふ♡」
「これから毎日やってもらっちゃおうかな?」
「なんてね……♡」
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