第3話 【耳舐め】ヒトは耳の毛づくろい、しないの……?

 (ヒロイン声、左から、密着)

 (ヒロインひとり言)

「そろそろ、いいかな……? うん、良さそうだね」


「ああ。さっきね、スープの鍋を火に掛けておいたの」

「まってて、いま用意するから」

「え? あー……毛布? いや、いいよ。キミが使ってて」

「「火に近いから大丈夫」?」

「……そ、そう? じゃあ、お言葉に甘えて……」


 SE:布ずれの音

 (ヒロイン、毛布を体に巻きつけている)

 SE:足音遠ざかる

 SE:戸棚から食器を取り出す物音

 SE:足音近づく

 SE:とろみのある液体を器に注ぐ音


 (ヒロイン声、右から、至近距離)

「余りもののスープで申し訳ないけど……」

「あ、ちょっと待って。熱いから……」


 SE:スープをかき混ぜる音

 (ヒロインがスープに息を吹きかけ冷ます)

「ふー、ふー、ふー」

「はい。あーん……」

「ん? どうしたの?」

「……「自分で食べられる」? いいから」

「……わたしがそうしたいの。だから……ね?」

「いい子。はい、あーん……」


 (安堵した声で)

「……おいしい? そう、よかった……」


 SE:雨粒が窓ガラスを叩く音

 SE:炭が燃えるキンキン、という金属質な音


「お腹いっぱいになった? ふふ」

「じゃあ、ちょっと早いけど、寝ちゃおっか」


 (ヒロイン、立ち上がる)

「こっち、おいで」


 SE:足音

 SE:床板が軋む音


「ん? どうしたの?」

「……ベッド? うん。一つだけだよ?」


 (主人公、慌ててヒロインから離れる)

 (ヒロイン声、後ろから、遠)

「……ちょっと、どこ行くの?」

「床で寝たりしたら、間違いなく風邪引くよ」

「いや、だから……」

「ベッドは一台でも、ふたりくらい入れるから」


 (主人公、ヒロインの方を振り返る)

 (ヒロイン声、正面から、遠)

「キミは身体が小さいし」


 (すこし恥じらった様子で)

「だからほら、はやくこっちおいで。……ね?」

「寒いでしょ?」


 SE:足音

 (主人公、ヒロインのベッドに近寄る)

 (ヒロイン声、正面から、至近距離)

「ん。いい子。今度はわたしが暖めてあげるからね……♡」


 SE:ベッドが軋む音

 SE:布擦れの音

 (主人公、ヒロインのベッドに潜り込む)


 (ヒロイン声、後ろから、至近距離)

「もっとこっちおいで。そんな端っこだと落っこちるよ」

「気にしなくていいから、もっとくっ付いて」


 SE:ベッドがきしむ音

 (主人公、ヒロインとくっ付く)

 (ヒロイン声、正面から、密着、ささやき)

「ほら、あったかい。ね、言ったでしょ?」

「まだ眠くない? じゃあ……すこしお話しする?」


 (戸惑った様子で)

「え? 尻尾? さ、触りたいの……?」

「だ、だめ……尻尾は……まだだめ……」

「いや、いつならいいとか、そういうことじゃなくて……うぅ、失言だ……」

「えと……うーん、じゃあ……耳なら、いいよ……?」

「あのっ、あんまり強く触っちゃダメだよ……?」


 SE:ヒロインのケモミミを触る音

 (くすぐったさに耐えるように)

「ん、ふっ、んくっ、ふふっ、こらっ、くすぐったいよ!」


 (気持ちよさそうに)

「耳の付け根のところ、カリカリって……んっ♡」

「ふ、んっ……そう、うん、上手……はぁ、きもちぃ……♡」


 (ヒロイン声、正面から、密着、ささやき)

「ふふ……じゃあ、今度はわたしがしてあげるね……?」

「? 何をって……? 決まってるでしょ……?」

「キミの耳、毛づくろいしてあげる……♡」


 (主人公の耳を舐めるヒロイン)

 (ヒロイン声、右から、密着、ささやき、耳舐め)

「あ〜む……んっ、ちゅっ、ちゅるっ」

「あ〜、にげちゃだめ」

「れろっ……んっ、ここ? きもちいい?」

「はい、じゃあ反対側も……こぉ〜ら、ちゃんとこっち向いて?」


 (ヒロイン声、左から、密着、ささやき、耳舐め)

「ん♡ いい子いい子♡ ぺろっ」

「あむ♡ あむ♡ ちゅ、れろ……♡」

「ふふっ、キミの耳、真っ赤だよ……?」

「ヒトの耳ってぷにぷにで……なんだか美味しそう……♡」

「あはは、じょーだん。食べないから安心して?」

「ん。ちょっと頭動かすね……?」


 (ヒロイン声、正面から、至近距離)

「うん、綺麗になった……」

「ん? どうしたの? 顔、真っ赤だよ……?」


 (ポカンとした様子で)

「え? 「なんで耳舐めたの?」って……え?」

「だって……耳の毛づくろいするのは……ふつう……」


 (唐突にハッとした様子で)

「……あ、あの」

「ひょっとして、ヒトは……耳の毛づくろい、しないの……?」


 (毛布に顔を埋めて悶えるヒロイン)

「ふぐぅう……!!」

 

 (恥ずかしさに悶えながら)

「そういうことはぁ、早く言って欲しかったかなぁ〜〜……!」


 (落ち込んだ様子で)

「……まぁ、なにも確認せずやったわたしが悪いんだけど……」

「ごめんね、急にヘンなことして……イヤだったよね……」


 (驚いた様子で)

「え……気持ち良かった……?」

「ホントにホント? 無理してない?」

「……「またして欲しい」って……」


 (照れた様子で)

「そ、そっか〜……んふ、良かった〜……えへへ……」


 (唐突にハッとした様子で)

「……はっ」

 

 (おそるおそる確認する様子で)

「あの……もしかしてわたし、他にもなにかヘンなこと、してる……?」

「……「一緒のベッドで寝るのは」……?」

「だって! それは仕方ないじゃない……」

「ベッドはひとつしかないから……ね?」


 (我が意を得たり、といった様子で)

「ふふんっ♪ ……でしょ?」


 (ヒロイン声、右から、密着、ささやき)

「ねぇ……もう一回、毛づくろい、する?」

「ふふ、顔真っ赤♡ かわいいね……♡」


 (主人公の耳を舐めるヒロイン)

 (ヒロイン声、右から、密着、ささやき、耳舐め)

「ぺろっ、ふふ。体びくんってしたよ……? くすぐったかった?」

「ちゅ……♡ んっ、はぁ……れろ……♡」

「ふふ、上手でしょ? 妹たちにも人気だったんだから……♪」

「このまま、寝ちゃっていいからね……?」


 (ヒロイン声、左から、密着、ささやき、耳舐め)

 (主人公の耳に息をそっと吹きかける)

「ぺろぺろっ、ふ〜〜っ♡」

 

「あむ♡ あむ♡ 痛くない? ん。よかった……♡」

「ちゅ♡ ちゅるっ♡ きもちいーね……♡」

「いい子、いい子……」


 (ヒロイン声、左から、密着、ささやき)

「おやすみなさい……♡」

 

 SE:ヒロインの吐息

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