第7話 実践! はじめてのリモートワーク
はっ!?
一瞬で景色が切り替わった。
なんだろう? 世界がミニチュアに見える。
いや違う。自分自身が巨大化しているんだ。40メートル近い巨大な身体になって、街の近くに立っていた。こんなの、想定外もいいとこだよ。
足もとには見たことのない街並みが広がっていて、小人みたいに見える住民たちがこちらを見上げて指さしていた。
街の向こうには広大な森があり、森の奥には
アイヴォリータワー、推定500メートルの高さ。円錐型の塔で上部に行くほど細長くなっていた。造られたのは千年以上前。これを造った人たちの文明レベルは相当高かったんだね。
シルマリア様の声が聞こえる。
『小森ちゃんは今、グランマリィ七号機とシンクロしています』
「グランマリィ?」
『対虚空魔獣用巨大人型殲滅兵器グランマリィのことです。守護者はグランマリィの操作に特化して作られた存在です』
身体は塔の中にあるはずなのに、意識は巨大人型兵器グランマリィの中にあった。
巨大化した手足も自在に動かせる。
『座標を指定してコアを転送すると、コアは大気中のマナを集積して瞬時に疑似生命体を形成します。それがグランマリィです。マナが豊富にあるからこそ可能なシステムなのです』
「グランマリィの服がキラキラミニスカスーツなのはなんで?」
『形成時、操者の姿がそのまま反映されるからですね』
つまり、何も着ていなかったらグランマリィも素っ裸になるというわけだ。それはいやだ。
『注意点は、心臓の位置にあるコアを破壊されないこと。コアが破壊されると修復に時間がかかってしまうので気をつけて下さい』
「了解」
空からモヤのような塊が降って来た。
『虚空魔獣はエレメント状態で虚空を移動し、地上に降りると実体化します』
モヤのような塊は地上に到着すると四つ足の魔獣に変化した。見た目はネズミとかトカゲを狂暴にした感じだ。
体長30メートルの虚空魔獣はのっしのっしと巨体をゆらしながら街に迫ってきた。
街の住人たちが大慌てで逃げ出した。
「虚空魔獣だーっ」
「逃げろー!」
「食べられてしまうぞ!」
『さあ守護者としての初仕事です。
シルマリア様の声が弾んでいた。
視界に奴の名前が表示された。
【虚空魔獣チュートリアン…ヒトを襲いマナを吸収する】
はじめてのリモートワーク。はじめての虚空魔獣との戦闘。
これが守護者のお仕事だなんて、そんなの聞いてないよー。
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