第5話 鍼灸治療
私は部屋で彼女の配信を見ていた。
どうやら肩コリが酷いらしいので、人生で初めて鍼灸治療をしてもらったらしい。それがどうやらお気に召したようで、別にどこも悪くはないのだが、既に次の施術の予約を取っているみたいだ。
調べてみると、どうやら身体に針を刺すことで血の巡りを促進させ、症状を改善させるという治療方法で、その歴史は二千年前まで遡ると言う。
♢ ♢ ♢
針を刺すだけなら私にも出来るだろう。
ということで彼女への日頃の労いも込めて、鍼灸治療を施すことにした。
私は彼女を手足を広げた状態で固定した(もちろん輪ゴムで)。やたらと暴れているが、じきに落ち着くだろう。
流石に本格的な針を用意できなかったので、裁縫箱に入っていたまち針で代用することにする。近くで見せてやると、ひどく怯え始めた。いつまでも怖がらせる訳にもいかないので早速始めることにした。
針を持って早速刺そうとするも、どこに刺せばいいのか分からない。ひとまず、いちばん刺しやすそうなお腹にすることにした。
針で彼女の白い表皮をつつくと、プニプニとお腹の肉が動く。ここ最近は、少し甘やかしすぎたのかもしれない。
肥満もきっと改善するだろうと思い、針をお腹に押し込んだ。
「ッ~~~~!!!!」
針の周りから血が溢れ出てきている。血がしっかりと集まっている証拠だ。少し針をいじると、黄色い脂肪がはみ出てきた。
そういえば、彼女は人気Vtuberだ。きっと何時間もブルーライトを浴びて眼も疲弊しているだろう。
再びまち針をつまんで、針先を彼女のアメジストの様な瞳に向ける。
「ッ!?」
無事に刺さった。あぁこらこら抜こうとしたら駄目だよ。
私は強く針を押し込んで抜けないようにした。
彼女の声にならない叫びは、中々に愉快なものだ。サービスとしてもう何本か刺してあげよう。
どこに刺そうかと悩んでいると、必死に逃げようとする彼女の足に目が向いた。
指で突いてみると、プニプニとしていた。
やはり職業柄か、座りっぱなしであるが故に足腰辺りがふくよかなようだ。
女性なら誰しもスリムな足に憧れるものだ。彼女の為にも沢山刺してあげよう。
両腿に一本ずつ。どんどん刺していく。隙間が出来ないように。
「―———!!!!」
彼女は大きく口を開いて何かを訴えている。しかし、何を言っているのか聞こえないので続けよう。
彼女を指で押さえつけ、針を身体に通す。何本も。何本も。何本も。
残すところ後一本だ。さぁ、どこに刺そうか?
「た――け――」
は?
「ぁ……」
彼女はそれ以降動かなくなってしまった。
私は不思議に思い、まち針を全て抜いて彼女を解放した。
そっと喉を撫でてみるが、もう彼女は何の反応も示さなくなった。
私は、彼女をビニール袋に入れた。
さぁ、次はどうしようか?
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