第3話 美味しいご飯
ここ数日は、彼女とは友好的な関係が続いている。
もともとが穏やかな性格の為、危なっかしい行動はまずしないので、こちらとしても安心して世話ができる。
ただひとつ言いたいことがあるとすれば、彼女は非常にグルメだということだ。
よく高級食材をふんだんに使った料理配信をしているので私も理解していたが、こっちの彼女は自分勝手に出来ない分、私への食での要求がうるさいのだ。
コンビニ弁当や安い惣菜はまず食べない。それなりに値の張る料理も少し食べただけで飽きてしまう(お試しでブランド牛のシャトーブリアンを一切れやってみたが、ぺろりと食べてしまった)。しかし、彼女も腹はすくので何も食べないと拗ねてしまう。
どうにかして、彼女に満足できる料理を安定して提供しなければならない。
♢ ♢ ♢
その為、ひとまずは彼女自身の肉を食べてもらうことにした。
腸を美味しく食べてくれたし、きっと大丈夫なはず。
さっそく食材を準備した。
「ッ~~!?」
逃げ出さないように、彼女をまな板にセットした後、足に釘を打ち込んだ。
必死に首を振って痛みから逃れようとする彼女がかわいいので、少し写真を撮った。
いけないいけない。料理において鮮度は命だ。急いで切り分けよう。
膝と、足の付け根に沿って包丁を入れる。ギコギコはしない。一度刃が入れば、スーッと切れる。
「~~~~!!!!」
新鮮な腿肉が取れた。きっと彼女も喜んでくれるだろう。
その後、特に理由はないが両腕も切っておいた。手足が無くなった自由が利かない様子の彼女はとてもかわいい。だるま状態のフィギアを売ってくれないだろうか?
何とか食材も取れたので、彼女を応急処置してやった。
虫カゴの中で彼女は泣いていた。かわいそうに。いち早く美味しい料理と届けてやらねば。
腿肉は低温でじっくり火を通し、ステーキとして振舞うことにした。
熱々のうちに彼女の下へ届けてやると、彼女は死んでいた。大量出血が原因だろう。
仕方ないので、私が食べることにした。内臓と違って推しの肉は、あんまり美味しくなかった。
さぁ、次はどうしようか?
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