カブクワムシの観察日記

12日目

　あれ、私は死んだのではないのか？

　意識がまだある。

　視界は――おお！　美しい!!

　地球だ。地球が見える。漆黒の宇宙に浮かぶ碧色に輝く球体。

　ここは、宇宙か！　でもなぜ――

　ああ、そうか、私の意識はカブクワムシの中に……

　生体エネルギーと共に意識も、そうか、なるほど。

　約束の地へ向かう？

　銀河の中心？

　ああ、あちらの光が固まる方向。

　わかった、共に行こう！

　え、多分たどりつけない。途中でエネルギーは尽きる？

　そこで、私の意識も……

　きみは――そうか、また初めに出会った時の姿に戻って、どこかの惑星（ほし）で、腹を満たすのだな。

　なるほど、わかった。

　では、その時まで、宇宙の旅を楽しむとしよう。

　だって、こんな体験、誰にもできないではないか。星間航行――地球人はそれをなすことができるのは遥か未来だ。かつて誰も体験したことのない宇宙の旅。楽しまなくてどうする。

　さあ、出発だ！　未知の宇宙へ!!

END