2日目

 昆虫マットをケースの中に敷き詰め、登り木を真ん中に置く。エサ台を端において昆虫ゼリーをセット。転倒防止用の樹皮をちりばめ、最後に霧吹きをして完成。

 一時的にコップの中に退避させていたカブクワムシ――正体がわからないので勝手にそう名付けた――を、ケースへと戻す。


「さあ、新しい家だぞ」


 声をかけると、カブクワムシは新たな住処を確認するかのように動きを止めた。

 数秒後、ササっと動きだし、登り木の下へと潜り込んでいく。

 どうやらカブトムシやクワガタと同様に、土に潜る性質があるようだ。

 しばらく様子を見ていたが、姿を消したまま動きはなかったので、一旦その場を離れた。


 その後、何度もケースの中を見てみたが、マットの中に潜ったままカブクワムシは出てこなかった。夜行性なのだろうと考えたが、夜になっても姿を見せず、餌を食べた形跡もないので少し心配した。

 とはいえ下手に干渉して弱ってしまっても、と考えその日はそのまま寝た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る