第34話不当

ザィトスの前に、変身したイダが現れる。ザィトスは吸収により、イダと同じくらいの背になっていた。

「ン……。ちゃんと変身してるのが来たな」

「待てよ。攻撃するなよ。俺はお前と話し合いに来たんだ」

ザィトスはイダの言葉を聞くと、鼻で笑った。

「話し合いィ?俺は今からお前を殺すのに、何を話すことがある」

「だから、なんで殺すんだよ。理由を教えろよ」

「お前らに言ったってわからんぞ。死に理由をつけたいなら無駄だ」

「いいから話せって」

イダはここまで会話が続いたことで、徐々に緊張が解けていった。

「ンー……まず、お前は神を信じるか?」

「は?神?」

「ああ。定義にもよるな。お前たちの創造主のことだ」

「俺の創造主はママだが…」

「違う!。もっと前の話。お前達地球上の生物は、『ダレルラルラ』という神によって創り出されたんだ」

「……宗教の話か?」

「……。さらに前。この地球はこの俺…ザィトスが神の座についていた。だがダレルラルラとの戦いに破れ、神の座を盗られてしまった。本当なら俺は消滅しているのだが、生き残った俺の信者達が俺を封印し、奴から匿ってくれたんだ。そして今日!俺は復讐を果たす。神の座を取り戻すんだ」

「でも俺生きて来て神なんかみたことないぞ…?」

「そりゃそうだ。簡単に姿を現すわけないだろ。だが、もうじきあらわれるんじゃないか?俺を殺しに来るだろ」

「……………お前が神を殺したら、俺達は死ぬのか?」

「ああ。もしくはお前ではなくなるな」

「そうか…。にわかに信じがたいが…和解するつもりはないんだな」

「そうだな。俺にメリットないし」

「…………………。」

イダは飛び上がり、ザィトスの真上に来る。腕の筋肉を固め、ザィトスの頭を潰そうとする。

ザィトスは手のをイダの方に向ける。するとイダの腕が渦状に曲がり、液体になって落ちる。

「ぅわ!」

イダはバランスを崩して落下する。

「神のみが使える能力……ん〜…」

ザィトスは自分の力に心酔している。

「なんだ…今の」

「神のみが使える、コードの書き換え能力だ……ん〜…」

「コード?」

「この宇宙の万物、概念にはコードが定められていてな。それを書き換えて形を別の物質、別の状態に変えるんだ。今は力が弱くて効果が薄いけど…」

「はぁ…ついてけねーな……」

「神についてくる必要はない。足るを知れ」

「くっ…」

イダはザィトスの後ろに周り、水色の液体を口から大量噴射する。

「無駄だって。流石にお前じゃ俺には勝てない。ダレルラルラは傲慢なんだ。自分で力を独り占めにして、自分で作った生物には力を全然与えない。星を発展させるには十分だが、こう侵略された時に困るんだよな」

水色の液体はザィトスに到達する前に全て魚の目玉に変えられ、地面に落ちる。

「 」

イダはあいた口が塞がらない状態だった。

「無理すんなよ」

ザィトスは苦笑する。

イダは液体になった腕を他の肉で包み込み、応急処置をする。

その時、イダの携帯が鳴る。

「あ?」

イダは動き回りながら体内の肉で画面を触り、電話に出る。破壊されないように、携帯を膨らませた体内に入れる。

電話をかけてきた相手はイトだった。

「もしもし、イダ?一回退避できるか?テレビの中継見てたけど、お前じゃ絶対勝てない。一回様子見したほうがいい。兵士を集めたほうがいい」

「もしもし…まず、退避は多分できない。だから今すぐここに兵士を集めてくれ。予測不可能な攻撃をすれば、攻撃が効くかも」

「わかった。すぐに用意する」

電話が切れた。

イダは変わらずザィトスの周りを動き回って様子を見ている。

それを見てザィトスはまた苦笑し、足を進める。


EP34 不当

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