第33話正体

平井の脳内に、記憶が思い起こされる。


目が充血し、頭に激痛が走る。

「ァ…アガッ…!ッ…あぁ……あああぁあアァアアアあ…!」

目が充血し、頭に激痛が走る。

目が充血し、頭に激痛が走る。

目が充血し、頭に激痛が走る。

目が充血し、頭に激痛が走る。

陽菜は平井の顔を自身の方に向ける。

「ザィトス様…」

陽菜は腕を変形させ、平井の頭をもぎ取る。


『一個約束して。陽菜って苗字の人とあったら死んで』


首の断面からは肉が溢れ、イカの様な頭が生えてくる。体格も変わり、磔が破壊される。

「ザィトス様ぁ…!」

陽菜は目に涙を浮かべる。

「ン……。」

「ザィトス様!」

「離上か…?」

「はい!お久しぶりです!」

「久シブリ。ここはどこ?」

「ここは貴方の体の持ち主が監禁されていたところです。もうすぐここに警備が来るんで、腕慣らししちゃってください!!」

「ウン。そうだな」

「アレの場所は感じますか?」

「あぁ。なんとなくわかるな。ちょっと遠いが、ゆっくり行くとするか」

「はい!結局奴に少し対策はされてしまっていますが、チャンスはあります!」


EP33 正体


「平井澪の封印が解かれた…?」

イダの言葉に、イトは耳を疑った。

「マジか?本人でも壊せなかった強化加工ガラスだぞ」

「いや、どうやら今平井の首から別の化け物の首が生えてるらしい」

「それって…」

「うん。形は違うが、平井が最初に死んだ時と同じだ。」

「なぜいきなり今日なんだ…?今まで死んでもなんともなかったのに」

「ああ。観光に来てた女がなんかしたらしい。いま調べてるって。」

「そうか…とりあえず、一応和解を試みるんだ。不死身の正体かもしれないから、敵に回すとまずい」

「わかった。伝えとく」

そう言い残すと、イダは部屋を出て行った。

イトは不安を感じつつ、少し喜ばしく思っていた。イトはこの70年間、平井の不死体質が気がかりだったのだ。やはり違う生物が絡んでいた。どうなるかはわからないが、コレで平井の謎が解ける。気がする。


イトはソファに座り、テレビの電源をつける。

予想通り、毎週見ていたドラマはやっておらずニュース番組が流れていた。

テレビの画面には、手の肉を膨らませて人を包み込み、吸収する平井の姿があった。人間を吸収するたび体格が大きくなっていく。

「なんだこれ……」

イトは唾を飲み込む。


轟音が鳴り、街が一気に崩れていく。

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