第26話頼る相手
次の日
ビルの中で、新井とスーツを着た男が黒いソファーに机を挟み向き合う形で座りながら会話をする。
「ずいぶん早かったですね……。」
新井は少し男を睨みながらいう。
「都合が悪かったですか?こっちは出来るだけ早くしたいんだ。これでもかなり待ったつもりだったが。」
「いえ、ギリ間に合いましたよ。こっちもテロへの準備は完璧です」
男は一瞬驚いた表情をする。
「…そうか。では平井澪、藤田承、ラヴァをここに呼べ。1匹相当な値段で買ってやる」
ラヴァの名前が出たことに、新井は驚く。
「そんなに政府ってお金があったんですね。うーん……澪と藤田はいいけどラヴァは倍くらいの値段じゃないとダメですね。」
「あまり兵器を使わないから一応用意できるが、なぜラヴァだけ?取っておきたいのは平井澪じゃないのか?」
「ラヴァはでかいオマケがつくからですよ」
EP26 頼る相手
新井と男の元に、平井と藤田がやってくる。平井の足は完全に元に戻っていた。
それを見るなり男は言う。
「本物だな?早速だが私の車に乗ってくれ。明後日くらいにはもうチャイナだ。」
平井と藤田は黙ったまま頷き、男が用意した車に2人で乗り込む。
「……………」
冷静に考えたらなんか面白い。殺人鬼と不死身の化け物に頼る政府………。
なんて事を平井が考えていると、男が藤田に向かって話しかける。
「お前ら、もうテロについては知ってんだよな?。一応後で説明するが…。平井。お前は一人で行動してもらうが、藤田は政府で預かっている化け物とあわせて三匹で行動してもらう。名前はイダとイト。イダはお前らが一回戦ったデカいやつだ。」
「はい。」
藤田は小さく返事をする。
車内の会話はそれだけで、何分か経った頃私が元いたビルに着いた。
平井達にはそれぞれ部屋が与えられ、そこでテロに行くまでの間過ごせと言われた。刑務所の牢屋のような間取りで、ベッドとテレビ、窓が一つずつ取り付けられていた。壁が厚いらしく、朝、昼、晩と飯が運ばれてくる時以外は人の声は聞こえない。
平井は本人であるという証拠を見せなくても良いのか?なんて思ったりもしたが必要ないらしい。
テレビを見ている間に時はすぎ、気づけば奇襲を仕掛ける当日になっていた。
平井達は部屋を出て、外に無理矢理停めてあった小型の飛行機に乗り込んだ。行く場所は特に伝えられず、合図があったら降ろされるらしい。
一方、ラヴァと杜若、それと男数人は、どこかに向かって歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます