番外編 ルーヤの過去 3
?「俺達の知らない所でそんな事があったのか…」
無精髭が生えてる男の人は、ジョブ。
?「ねぇ〜、もう逃げちゃわない?こんな村いたくないんだけど」
この猫目の女の人は、キャート
私は今絶賛、剣の稽古中だ
ジョブ「契約があるからそれは駄目だ、ギルドを通しての契約だから下手すれば依頼を受けれなくなる」
キャート「か〜、こんな依頼受けなきゃ良かった〜」
ジョブ「お、おいルーヤもいるんだし…」
ルーヤ「大丈夫ですよ」
私もあの後、この村が急に薄気味悪く感じるようになったしね。
ジョブ「そう言って貰うと助かる、キャートは少々口が軽くてね。お礼という訳では無いが、その話受けてもいいと思う。キャートはどうだ?」
キャート「あなたが決めたなら、それに付いて行くだけよ」
…私がいるとこで、いい雰囲気にならないで欲しいなぁ、そう思いながら剣を振り続ける。
ジョブ「ただルーヤ、私達は旅の冒険者だ…言いたい事は分かるかな?」
私「はい」
一定の土地に留まらない…二度とお姉ちゃんと会えなくなる可能性があると言いたいのだろう。
ただそれでいい、お姉ちゃんはあの薄暗い部屋で生涯を終える…そんな事はあっては駄目だ。
ジュブ「しかし今回の件は如何せん許しがたい…一度しっかり言って見るか…」
キャート「それは駄目、村長の家は近づいてはいけない契約になってるから。どうやって知ったのか聞かれたらルーヤちゃんにも危険が及ぶかもしれないわ」
私「すいません…」
キャート「ルーヤちゃんは謝らなくて良いのよ!」
私「はい…」
決行は、契約終了日かつお姉ちゃんが16歳になる日に、村長の家の近くの森に決めた。
それから少しずつ準備を進めた、やっぱり今生の別れのなるかもしれないから何か送りたいのだ。
竹や木から少しずつ削って櫛を作ろうとしたが、これがとても難しい。
櫛の歯が折れたり、細くなったり、殺傷能力が割り増しになったり…ジョブさん達が手伝おうとしてくれたけど、やっぱりこれは自分で作りたかった。
3年と年月をかけて、やっと本体が完成した。
私「名前も入れるか…」
ハッ!そうだ…私今までお姉ちゃんって言ってきたから名前が分かんない!
想定外だ…どうする?
一人で考えても分からないから、次の日ジュブさん達に聞いてみた。
ジュブ「ん〜難しいな…」
キャート「簡単よ!」
キャート「ルーヤちゃんが付けてあげれば良いのよ!」
私「えっ!?」
ジュブ「あぁ、確かにそれは良いな。うん…俺もルーヤが付けた方がいいと思う」
私「えー!?」
私が名付ける!?考えた事が無かった。
私「名前か…」
う〜ん、王道にするか…それとも花からとってくるか…女神様からもあるな、
私「だぁー!」
いっこうに思い浮かばない…
私「そういえばお姉ちゃんが一番最初に書いた文字って…」
"あ"とか"い"とかは間違えたのに"ま"だけ書けたから、可笑しくって笑ったっけ。
私「マーヤ」
画数も問題なし、変な名付け方かもしれないが、妙にしっくりきた。
後はさりげなくお姉ちゃんに
私「お姉ちゃんそういえば名前ある?」
変な質問の仕方だ、落ち着け私。
お姉ちゃん「無い」
私「ふ〜ん、じゃあ私が付けてあげる」
私「今から貴女はマーヤね」
マーヤ「そんなあっさりと?全く…酷い妹だ…」
私「前から考えたに決まってるでしょ!失礼ね」
口とは裏腹に、お姉ちゃんは少しニヤついている。
喜んでくれたようで良かった。
私「よし!名前も決まった事だし、明日いいものあげる」
マーヤ「何で急に?」
私「明日はお姉ちゃんが16歳の成人になる日よ、多分ね…」
そしてお姉ちゃんとのお別れの日だ。
自分の部屋に入り、名前を彫る。最後の最後で失敗したく無いから、慎重に細やかに彫る。
私「出来た」
ドライフラワーと、今出来た櫛を袋に入れる。
村長の娘として、恥じない自分になろうとした。理想の姿を演じ、虚偽の自分を作りあげた。
息苦しくて、辛かった。
でもお姉ちゃんと居るのは楽しかった。
だから悲しい
まだ…
まだ、私はお姉ちゃんと居たい
鳥の鳴き声で目が覚めた、枕が少し濡れてる気がするが、きっと気のせいだ。
乱れた髪を整える、姉を送りだすというのに、酷い顔だ。
大丈夫、私なら笑える。
こっそりと家を出て、お姉ちゃんの所へ行く。
一歩一歩の階段が酷く憂鬱だ。
扉の前に付いて、少しだけ立ち止まってしまったが、意を決して扉を開ける。
私「お姉ちゃん」
踏み締めるように前へ進む。
ん?どうしたんだろう?
顔が強張り、何かに怯えてる
お姉ちゃん「う、うし」
私「牛?」
お姉ちゃんの視線の先を見る
私「ッッ!…お父さん!」
いつ見つかった、何故バレた。
お父さん「ルーヤァァ゙ァ゙ァ!」
お父さんに平手打ちをくらった、あまりに唐突で脳が追いつかない。
倒れ込むようにお姉ちゃんの足元に転がる
お姉ちゃん「止めて!」
両手を広げ、私の前に行くお姉ちゃん。
お姉ちゃん「止めて…下さい…お願い…します」
お父さん「んだよその態度!悪魔憑きがしゃしゃり出てくるんじゃねぇ゙!」
頭を蹴られ壁に打ち付けられるお姉ちゃん。
お母さん「ルーヤ…なんて事をしたの…」
お父さん「これを見ろルーヤ」
気絶したお姉ちゃんの前髪を引っ張り、瞼を吊り上げる。
赤い目が見える
お母さん「いい゙!?この目には悪魔が宿っていると!何回もお母さん言ったよね゙!?なのにこの娘は…そんなのウチの娘じゃない゙!」
狂ったように、お姉ちゃんにお父さんが蹴りを入れる。
私「嫌っ…止めて…」
体に針金が入ったかのように、何かが縛りつく。
私「ごめん…ごめんなさいッ!私が全部悪かったです…だからこれ以上止めて!」
頬を母親にビンタされた
母親「いい!?ルーヤ、私は」
母親「あなたを心配して言っている゙のよ!?」
分からない、分からナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ。
なんで姉なのに一緒に居ちゃ駄目なんだろう、なんで目の色が違うだけでこんな目に合わされているんだろう。
あれ?
家族って
なんだっけ?
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